更年期を加速させるストレス対策は今から始める|医師に聞く更年期#6
なんだか漠然とした「更年期」をハッキリさせながら、更年期を楽に乗り切る為の5つの方法を、栄養療法や腸内フローラの最新情報も取り入れながら、医師で予防医療のスペシャリスト・桐村里紗が全6回シリーズでお伝えします。最終回の今回は、ストレス!ストレスこそが、女性ホルモンを減少させる最大の脅威です。
【医師が教える「更年期の乗り切り方」 vol.6】
ストレスは更年期を加速する
掴みどころがなく、幽霊のようにふわふわした更年期障害について、シリーズでお伝えしました。
「卵巣機能が低下して、女性ホルモンが減ってしまうのは、生物として仕方がない!」と諦める前に、女性ホルモンの減少を加速させ、自律神経失調や精神症状を悪化させる原因として、
・慢性的な栄養不足
・腸内環境の乱れ
・自律神経の乱れ
を整えることが大事だよ。
と、繰り返しお伝えしてきました。
ファイナルは、生きていく上で付き合わざるを得ないストレス。
あらゆる不調の根源には、ストレスがあると言っても過言ではありませんが、更年期障害を悪化させるのもまた、ストレスなのです。
ストレスは子宮卵巣機能を低下させる
ものすごくショックな出来事があった場合に生理が止まってしまったという話を聞いたことがあると思います。
ストレスは、生物にとって生命の危機!肉食動物が襲ってくるのと同じ状況だとお伝えしました。
ストレス状況下では、まず自分が生き抜くことが優先です。
のんびりと子孫繁栄のためのアクションを起こしている場合ではないので、子宮・卵巣機能も低下します。
人間にとっては、日常的なストレスこそが、肉食動物との遭遇です。
ストレスで女性ホルモンが減少する
ストレスを感じた時に、対応するホルモンは、副腎皮質から分泌されるコルチゾール。
ホルモン生産工場では、このストレスホルモン・コルチゾールと女性ホルモン・エストロゲンは、同じ原材料から作られます。ストレス状況下では、ストレスホルモンを作ることを優先的に行いますが、原材料の量には限りがある為、女性ホルモンの生産は後回しになります。
その為、ストレスによって女性ホルモンの分泌は抑制されてしまい、更年期前に月経が乱れたり、更年期に更年期障害が悪化してしまったりします。
ストレスが自律神経症状を悪化させる
更年期障害の症状の多くは、自律神経失調によって起こるとお話ししました。
更年期の自律神経失調は、女性ホルモンの乱れによって起こりますが、自律神経失調の一番の原因は、ストレスです。
ストレスがかかると、自律神経のうち交感神経が興奮し、副交感神経が抑制されます。
慢性的なストレスで交感神経が興奮し続けると、動悸、頭痛、肩こり、息切れ、イライラなどの症状が起こります。
また、副交感神経が抑制されることで、胃腸の働きが悪くなり、便秘や下痢、消化不良、不眠などの症状が起こります。
これらは、いずれも更年期障害の典型的な症状ですから、ストレスによってより悪化することになります。
ストレスリリースはどの年代も必須
現代的な生活では、ストレスと無縁でいることは難しいですね。
更年期だけでなく、若い年代からストレス過剰になると女性ホルモンが乱れますから、ストレスリリースは必須。
程度によって対策が違います。
軽度のストレス障害
肩こりや頭痛、イライラ、不眠気味だけれど、日常生活に支障をきたすほどではない場合。
この場合は、交感神経をなだめるだけでなく、副交感神経と交感神経の1日のリズムを意識して生活しましょう。
交感神経は活動のための神経ですから、朝の覚醒から日中の活動モードを作ります。
夕方以降は、リラックスして睡眠モードになるために、副交感神経が活発になります。
このリズムを意識して生活するということです。
◼︎朝しっかり起きる
夜しっかりと眠るためには、朝しっかり起きることがまず大切です。
朝同じ時間に起きて、明るい光を感じること。
脳内の体内時計が整います。約15時間後に、睡眠ホルモン・メラトニンが分泌されるタイマーが自動的に仕掛けられます。
夜、自然に眠りにつけるようになります。
◼︎朝の熱いシャワー
朝の覚醒を促すには、43度程度の熱めのシャワーを浴びること。
皮膚がアチチッ!と感じると、交感神経がシャキッと起きます。
◼︎ゴロゴロ・ダラダラせずにお出かけ
日中にゴロゴロ・ダラダラしないで、活発に出掛けることも大事です。
読書するにもカフェに出掛けるなど、何かしら活動しましょう。
ゆっくり歩くよりも、少し早歩きでキビキビ動いてみても。
のんべんだらりと生活してしまうと、自律神経のリズムを失います。
◼︎日中にエクササイズや趣味のスポーツ
エクササイズや趣味のスポーツなど、活発な運動は日中に。
ストレス解消にもなります。
強度の高い筋トレは、体にとってストレスになりますが、軽度のストレス障害であれば、むしろプラスに働きます。
重度の場合は、NGです。
◼︎夕方以降はスマホ・パソコンオフ
夕方以降は、努めてリラックスモードに切り替えることが大事。
目や指、頭を使うことで交感神経を刺激するスマホやパソコンは、ぜひオフに。
夕方以降は絶対に見ない!と決めると、日中の仕事も案外捗ります。
◼︎ヨガや瞑想でリラックスモードに
ヨガや瞑想は、副交感神経モードに切り替えるためにとても有効です。
自宅でできるヨガや瞑想アプリを活用すると、すんなりと実践できます。
◼︎夜の入浴はぬるめのお湯に睡眠1時間前までに
入浴は、熱いと交感神経の刺激になるので、41度程度までのぬるめのお湯にゆったりと浸かりましょう。
睡眠直前で内臓までホカホカの状態では、眠りにつくことができません。
睡眠は、内臓、脳の温度が下がると起こりますので、入浴は睡眠の1時間前までに済ませて、やや体が冷えた頃が最適です。
重度のストレス障害
慢性的なストレスが続き、性も根も尽き果てて、どうにもこうにも疲労倦怠感がひどく無気力な場合。
副腎が疲れ果てて、ストレスに対応できなくなっているはずです。
リズムを整えるよりも、とにかく先ずは、努めて交感神経を休め、副交感神経を起こすようにリラクゼーションを意識することが重要です。
夕方以降に限らず、とにかくスマホやパソコンなどから離れ、ヨガや瞑想、ゆったりした入浴、休養がマストです。
そして、副腎をサポートする栄養素を補給しましょう。
◼︎ビタミンC
実は、副腎はあらゆる臓器の中で最もビタミンCを必要とする臓器です。
ビタミンCの栄養所要量は、1日100mgですが、ストレス時には100mgなど一瞬で消費してしまいます。
1日1000mgといわず、2000mg〜3000mgでも構いません。
ビタミンCは、ストレスですぐに消耗し、水溶性なのですぐに尿に排泄されますので、摂り方は、1回に1日量を摂らず、こまめに摂取するのが基本です。
食事では追いつかない為、サプリメント補給をお勧めします。
250~500mgずつを数時間おきに摂るのが理想的です。
◼︎タンパク質
ストレスがかかるとタンパク質の消費が多くなります。
この時に、食べやすいパンやパスタ、おにぎりだけなど炭水化物オンリーメニューに偏らないこと。
血糖値の乱高下で、余計に自律神経失調が悪化することは、前回の記事
「糖質で更年期が悪化する?40代は食事のココを気をつけてほしい」をご参考に。
ストレスホルモンや女性ホルモンの原材料は、コレステロールですが、コレステロールのほとんどは、食事由来というよりも肝臓で合成されるものです。
肝臓で作られたコレステロールを使ってホルモンを合成する為に、タンパク質の働きが欠かせません。
肉や卵、魚、豆製品なども食べてバランスよくが基本です。
おばさん化させるのは自分自身
6回シリーズで、更年期を楽に乗り切る為の方法を、栄養療法や腸内フローラの最新情報も取り入れながら、お伝えしてきました。
とにかく、「年のせい」と諦めないで、まず基本を整えてみて頂きたいのです。
必ず訪れる閉経という通過儀礼がありますが、自分を諦めて「おばさん」化させるのは、自分自身。
閉経によって、生物学的に子供を産めなくなったとしても、動物とは違って、人間の女性はそこからいくらでも美しく輝いて生きていくことができます。
無理に「美魔女」になる訳ではなく、年齢なりの自分らしい美しさは、自分に素直に生き、ワクワクした心を持ち続けることで外側に発揮されるものだと思います。
その為に、まずは基本の体と心を元気に。
そして、「らしさ」全開で生きましょう!
★シリーズ「医師に聞く更年期」★
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