日本人の34%が誤解している?「鳥肌」の意味

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「その映画、どうだった?」「いやー、鳥肌立ったわ~!」

実はこれ、ホラー映画などを観たときだけに使えるせりふ。うすうす分かるかと思いますが、ここでちょっとおさらいをしておきましょう。

 

そもそも「鳥肌」って何なの?

立毛筋の反射的な収縮により、皮膚に鳥の毛をむしり取った後のようなぶつぶつを生じる現象。立毛筋反射。
(広辞苑第6版)

 

関西の方では「さぶいぼ」と表現されることもあるようですね。立毛筋によって毛を逆立てることで、毛と毛の間に空気の層ができます。空気の層で身体から体温が奪われるのを防ぐのだそう。寒いときには身を縮めますし、ありとあらゆる筋肉を総動員して体の熱を守ろうとします。震えて歯がカチカチなるのも、顔の筋肉の収縮が原因。少しの熱でも良いので発生させ、それを逃がさない生命の工夫なのです。

 

寒さ以外でも「鳥肌」が立つわけ

この立毛筋の収縮は、交感神経の興奮・緊張によるものなので、寒さだけはでなく、恐怖や強い喜び、ショックなことがあった場合にも引き起こされます。いわば、身を守るために全ての体の機能を総動員している状態です。また、交感神経の興奮によるものなので、嫌いな音を聞いた時にも同じ反応が起きる場合もあるそうです。ちなみに、私の場合は「りんごを噛む音」。検索したところ、私と同じ「りんご」で鳥肌が立つ人も存在するようです。

 

感動する意味でも「鳥肌」が使われる?

強いショックで、交感神経が興奮することが原因なので、あまりに感動した時にも鳥肌が立ちます。本来、「恐怖」「寒さ」などマイナスイメージで起きるのと同じ現象が、刺激が強すぎる「歓喜」や「感動」にも使われるわけです。「この作品は鳥肌モノです」なんて使い方もしますよね。

 

「鳥肌たったわ~」の年代別データ

文化庁「平成27年度『国語に関する世論調査』の結果について」によると、「言葉に対する感覚」の項目で、次のような問いがあります。

 

どちらの言い方を使うか<問 22>

(a)余りのすばらしさに鳥肌が立った

(b)余りの恐ろしさに鳥肌が立った

 

 

「どちらも使う」を振り分けると、平成13年度の結果と比べ「余りのすばらしさに鳥肌が立った」を使う人が40.6%から62.0%に増加、「余りの恐ろしさに鳥肌が立った」を使う人が64.6%から56.6%に減少しています。

つまり、ここで本来の意味から逆転現象が起きているのです。

年齢別に観ると、比較的新しい使い方とされる「すばらしさに鳥肌が立った」を使う人の割合は、40代以下で6割台後半から7割強となっています。

逆に「恐ろしさに鳥肌が立った」を使う人の割合は、70歳以上で「すばらしさに鳥肌が立った」を使う人の割合を、6ポイント上回っています。

当然ですが、年齢が上の方ほど、正しい使い方をしている結果となっています。

 

日本語の誤用は、変化?退化?

先日美輪明宏さんがテレビで、日本語の誤用乱用について、「これは言葉の変化ではなく退化です」と断言しておられました。

私もそれに同意します。

人間にとって「変化」は大切なものであり、このような言葉の変化は原因を探る必要があります。そしてその原因が「楽だから」「みんながそう使うから」「使っている人が多いから」という安易なことでしたら、本来の意味で踏ん張るべきだと考えます。しかしそうは言っても流されてしまいますよね。なので、こんなコラムを読んだときに「ああ、鳥肌って、本当はマイナスイメージの時だけに使うんだな」とちょっとだけ復習してくれれば嬉しいです。

国語教師・文章コンサルタント・文章力養成コーチ

松嶋有香

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