
青木さやか、あの毒親との確執話の「ホントの深イイ部分」とは?
日本における毒母ブームのはじまりは2012年だと私は認識しています。母親は愛情深く忍耐強く、自己犠牲をいとわない絶対神とみなされてきた日本で、「うちのお母さんはオカシイ」ということは「ありえないこと」だったと言えるでしょう。
「ウチだけだと思ってた」毒親持ちの共通点
個人的なお話でアレですが、私は2006年に会社員時代に書いていたブログを書籍化する形でデビューしています。
会社での出来事、友達について書いたことをブログから抜粋して書籍にしましたが、その際にバッサり抜いたのが自分の母親のことでした。
私の母は感情の起伏が激しく、高校生くらいから家を出る29歳まで毎日怒鳴られていました。高校時代は「頭が悪い」と怒られ、大学生になると「ブスには金をかけても無駄」とののしられ、メイクなどのおしゃれは禁止。新しい服、髪型は「似合わない」「おかしい」と全否定でした。
男女交際にもうるさく、電話をかけてきた男子とはなぜか全員とカラダの関係があると思い込んでいました。お母さん、あなたの娘にそんな甲斐性はありませんことよ。アルバイトも禁止で、かといってお金をくれるわけではない。反抗すると「学費を止める」と実力行使に出るから、こちらは言いなりになるしかない。
が、就職するようになると、今度は「早く結婚しろ」「彼氏を作れ」と怒鳴られる。それでは彼氏ができればいいのかというと、そう単純ではなく「遊びに違いない」「結婚する気があるのか、私が確かめてやる」と変なおどしをかけてくる。
社会的な上下と同級生との比較が大好きで、常に私とだれかを比べ「勝った」「負けた」と言っていました。被害妄想がひどく、話は全部悪いほうに解釈する人で、とてもではないけれど話が通じないのです。
しかし、怒らせると、家中のものをぶっ壊したり、部屋のものを庭に投げるなどして面倒なので、表向きはおとなしくしていました。この人に本当のことがバレたらまとまるものもまとまらないなと私は秘密を守ることに全精力を傾けていました。
そういう母とのエピソードを編集者は本に載せたかったようですが、さすがの私も若かったので、母親を悪者にする勇気はありませんでした。怒られるのは私に悪いところがあるからだ、と本気で思っていましたし、こんなおかしな母は日本でうちだけだと思っていたからです。
しかし、実際にはいっぱいいたのです。漫画家・田房永子センセイが2013年「母がしんどい」(KADOKAWA)において、突然キレる、ヒステリックでエキセントリック、思い込みが激しい母親を描いたことで、「うちの母とソックリだ!」と大きな話題を呼びます。アメリカのカウンセラー、スーザン・フォワードは「毒になる親 一生苦しむ子供」(講談社文庫)において、こういう親を“毒親”と名付けましたが、日本にも毒親ブームが起こりました。
女優・遠野なぎこ、タレント・小島慶子など「毒親に育てられた」と名乗りをあげたことで、女性誌に毒親特集が組まれていましたし、ワイドショーで取り上げられることも多かった。カウンセラーなどの専門家は、ともかく毒親とは物理的な距離を取ることを勧めていましたが、これが毒親問題第一期です。
青木さやかも、母親との確執に悩まされた
今は毒親問題第二期に入ったのではないかと思っています。
毒親が介護や闘病が必要になると、さすがにずっと距離を取り続けることは不可能になります。しかし、接触を持つとこちらのメンタルが持たない。いったいどうすればいいのか。
この問題に対する一つの答えが、タレント・青木さやかが「婦人公論」(中央公論社)で告白した、親の看取り方ではないでしょうか。
記事によると、青木と両親の関係は「お世辞にもいいものとは言えなかった」そうです。青木は「両親にほめられたことがない」そうですが、ご両親は学校の先生をしていて、お母さんは校長先生までされたそうです。自分にも他人にも厳しい優秀な方だったのでしょう。
ご両親は離婚をしますが、「何よりも世間体を気にし、嫌というほど私にいろいろなことを注意してきた」お母さんに納得がいかず、「就職するなら公務員」というお母さんの嫌がる道をわざと選んできたそうです。
「いま思うと、私は親にありのままの自分を認めてほしかったんでしょうね。ここにいるだけでいいよ、と言ってほしかっただけだと思います」「両親に認められなかったことがコンプレックスだったのか、私は自己肯定感の低い人間になっていました」「タレントのお仕事をして、ほめていただいても、自信がないから信じられない。いくらスケジュールが埋まっていようとも、苦しかったですね」と語っています。
一見正しい、でもおかしい毒親の思考回路とは・・・
わかる人にはあるある!ですが、わからない人にはさっぱりわからない、それが毒親問題ではないでしょうか。
たとえば、「就職するなら公務員」というお母さんの考えは、「安定している」「男女の賃金差がないので働きやすい」という意味では「正しい」わけです。なので、「就職するなら公務員」という親は毒親と決めつけることできません。しかし、もし「安定しているから、公務員がよい」と思うのだとしたら、他の安定している職種、国家資格や大手企業に勤務したっていいはずです。
毒親とは「常に答えが一つしかない人」のことをさすと私は思っています。
「子どもに安定した職についてほしい」というのは健全な親心でしょうが、「公務員以外は許さない」と思っているのなら、毒親なのかもしれません。毒親は「常に答えは一つ」しかありませんから、自分の意に沿わないことは全部”失敗”です。
当然、子どもをほめることはしませんし、下手をすると「一生懸命育てたのに、失敗しやがって」と責めてきたり、「〇〇になれないのなら、学費を返せ」と言ってきたりもします。
就職に限らず、「答えが一つしかない」場合、子どもはその条件をクリアすることは難しい。そうなると、子どもをほめることはないでしょうから、子どもが「自分は頑張った」という達成感を味わえません。代わりに「がんばっているつもりだけど、ほめられないのは自分に欠陥があるからでは?」と思いこんでしまうでしょう。
それでは、なぜ親がこのような行動を取るのか。「毒になる親 一生苦しむ子供」はこう解説しています。「往々にして、自分自身が何事につけ完全でないと満足できないタイプの人間であることが多いが、とかく子供を仕事などのストレスからくるフラストレーションをぶちまけるためのはけ口にしてしまうのである」
つまり、単なる八つ当たりであり、子どもに非はないのですが、子どもにとって親は絶対的な存在ですから、「お母さんが怒るのは、私がダメだから」と刷り込まれていってしまうのです。
また、同書ではこういうタイプの親は「子供さえ完璧であれば、自分たちは完璧な一家になれるという幻想を信じなくては生きてはいけないかのようだ」ともつづっています。子どもが何らかの成功を収めれば、親である自分にも価値があると思えるのなら、それは子どもに依存していると言えるでしょう。
毒親問題のゴールは和解ではない
同書では「親を無理に許す必要はない」と書いていますが、介護が必要になり、顔を合わせるようになるとそうもいかないでしょう。お父さんとの最後の会話が口喧嘩だったことを後悔していた青木は、お母さんには違う態度で臨むことを決めます。
毎日楽しく暮らしていることを報告するというアプローチをとることにしたら、前はお母さんと同じ部屋の空気を吸うことも耐えられなかったのに、他愛ない会話を交わせるまでになったと言います。
青木のように亡くなる前にわだかまりがなくなる場合もあるのでしょうが、毒親というのはそんな甘いものではないんじゃないかと私は思っています。だって、そんな簡単に解決するなら、苦しんだ日々はなんだったということになるではないですか。私はうちの母は一生あのままだと思っているのですが、この記事を読んでよかったなと思うのが、青木がお母さんの話ができる人を見つけられたことなのです。
青木は離婚を経験していますが、元夫は母親に対する怒りが理解できず、「自分の母親にそんな感情を持つことが信じられない」と言われ、夫に理解されないことがつらかったそうです。
青木は現在、動物愛護活動を行っていますが、そこの創始者にお母さんの話をすると、「親を大事にしたほうが、自分が楽になれる。生きづらさがきっとなくなるから、やってみたら」と「自分のために」親を労わるべきだと言われたのだそうです。
日本は親子の情を神聖視する国ですから、母親の悪口を言うと「この人、おかしいんじゃないの?」というような言われ方をすることもあります。なので、話す相手を選ぶ必要があります。ある程度、信用している人でないと、話すことはできないでしょう。また、その人の言うことを聞けるというのも、その人を信頼しているからではないでしょうか。
和解するのか介護するのかという問題よりも、血がつながっていなくても、年齢や性別に関係なく、信頼する相手を見つけることができる。ささいなことが、毒親持ちには大きな希望なのではないかと思うのです。
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