女性に多い?「低気圧で不調」の原因と、周囲への理解の求め方は【医師が解説】
こんにちは。「予防医療」のスペシャリストで、医師の桐村里紗です。
この連載では、人生100年時代の折り返し地点、50歳になる前にやめたい悪習慣についてお伝えしていきます。
これから梅雨に入ると、低気圧の影響で具合が悪くなる人も多いのではないでしょうか。理解されにくい場合もある低気圧による不調、周囲にも理解してもらえない状況を何とかしたいものです。
【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」#27】
ならない人には理解されない、低気圧による不調
「あぁ、今日はなんだか頭も痛いし体も重い、その上気分もふさいでしまうわ」と思ったら、やって来ました低気圧。
曇天になる前に分かってしまうほどに、気圧に敏感な方は多いのではないでしょうか。
私自身も、高気圧の時には晴れやかで元気ですが、雨降り前からどんよりと不調を感じてしまいます。
これが、男性にはあまり理解されないのですよね。
宅の主人など「サボってる」「気合が足りん」で片付けてしまうタイプですので、本当にため息ものです。
この「気象病」は女性に多くみられます
気圧の変化によって体調が不良になることを「気象病」と呼びます。
病気というほどではなく、いわゆる不調の類ですが、本人はとても辛い。
女性の方が、外界の変化に影響を受けやすく月経などで自律神経も乱れやすいため症状が出やすいとされています。
原因は気圧変化で影響を受ける「自律神経」
気圧の変化は、自律神経に影響を与えますが、急激に気圧が変化すると体がそれに対して抵抗しようとし、自律神経がアンバランスになります。
それが、頭痛、古傷の痛み、関節痛などあちこちの痛み。倦怠感や重さ、うつうつした気分などを引き起こし、日常生活をままならなくさせてしまいます。
女性の場合は、月経のリズムと重なることで月経痛が悪化したり怠さが増したりしやすくなります。
生理と雨が重なると、どんよりとしてしまいますね。
脳はその不調を学習し、増幅してしまう
痛みなどの症状は、体が一度それを覚えると脳の認識が過敏になって、軽いストレスでも余計に増幅されて痛みを感じやすくなったり、うつうつや不安などの精神的な症状を起こしやすくなります。
このプログラミングが完成してしまうと、ちょっとしたことで痛みや精神症状が起きやすくなるため、本人は辛いのに、周囲は理解しないといった不一致が起こりやすくなってしまいます。
難しいところなのですが、「低気圧で具合が悪くなる」という自己認識がしっかりと潜在意識に刷り込まれることで、天気予報を見るだけで具合が悪くなるといった現象も起こりやすくなります。
可能な限り予防するには「時間帯」を念頭に置く
敏感な人が、完全に気圧に左右されない状態になることは少々難しいのですが、自律神経をなるべく乱さないことで緩和は可能です。
痛みを伴う場合は、リラックスに努めて副交感神経を刺激すること。倦怠感や重さが中心であれば、活発さを取り戻すように交感神経を刺激することです。
副交感神経を刺激するなら、夕方以降に本来、副交感神経が活発になるべき時間帯に。交感神経を刺激するなら、本来朝から日中にかけて交感神経が活発になるべき時間帯に刺激をしましょう。
1・お風呂とシャワーの使い分けを
簡単な方法は、朝は、やや熱めの温度のシャワーを浴びること。これで体に活発モードのスイッチが入ります。夜は、41度程度までのぬるめのお風呂にゆったりと浸かりましょう。肩から頭回りの血流が悪くなると、めまいや頭痛を起こしやすくなる為、よく温めましょう。
スマホやPCはもちろん、夜はなるべく遠ざけて、しっかり睡眠をとり、朝は定時に起きて、カーテンを開け朝の日差しを浴びましょう。
これで、体内時計が整い、自律神経が整います。
2・日誌をつけてみる
あまり意識し過ぎると、逆に症状を誘発してしまう為、神経質にはなりすぎない方が良いものですが、天気予報のサイトで天気や気圧をチェックしながら、自分の症状を記録して、日誌をつけてみるのも一つです。
症状の予想がつくことで、ある程度予定を調整して備えることができ、辛い日に無理をしないなどの工夫もできます。
また、日誌は、他人の理解を促すのにも役立ちます。
自分に症状がない人は、繊細な人の辛さを理解できません。日誌を共有することで、そんな人もいるのだと認識してもらうだけでも気持ちが楽になりますね。
自分の言うことを聞いてくれないパートナーには、第三者の意見も有効です。この記事を見せて頂き、「医者が言ってるのだから」と理解してもらいやすくなると良いのですが。
私自身も困っていますので、何かお役に立てば幸いです。
【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」、週1回、土曜の夕方に配信!】
文/内科医・認定産業医 桐村里紗
tenrai代表取締役医師。1980年岡山県生まれ。2004年愛媛大学医学部医学科卒。内科医・認定産業医。治療よりも予防を重視し、最新の分子整合栄養医学や生命科学、常在細菌学、意識科学、物理学などをもとに、執筆、webメディア、講演活動などで、新しい時代のライフスタイルとヘルスケア情報を発信。著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)ほか。
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