「聞く力」意外にシンプルなその極意って?【山内惠介×阿川佐和子】
小説家として、雑誌やテレビの対談番組のインタビュアーとして、そして近年は女優としても大活躍の阿川佐和子さん。自身も喋りに定評のある山内惠介さん、今日は先輩・阿川さんに、語りの極意について教えを乞いに――。
いいトークができたときは
歌も、ものすごく乗ってよくなる。
不思議に比例するものなんです(山内)
山内:実は僕、こうして雑誌で対談をやらせていただくのは、今回の連載が初めてなんです。
そこで今日は、たくさんの方にインタビューされてきた阿川佐和子さんに、対談の術をいろいろ教えていただけたらなと思いまして。
阿川:いやいや、ないですよ、そんなものは(笑)。
たまたま長く続いちゃったというだけで。
山内:僕、阿川さんの書かれた『聞く力』(文春新書)を昨日も読んだんです。
これまでの対談の経験が綴られているんですけど、勉強になりながら、5分に1回は笑えるんですよね。これって、あえてそう書かれているんですか。
阿川:まあ照れの裏返しっていうんでしょうかね。この本が出たのは『週刊文春』のインタビューが20
年目のときだったんです。
新書というからには、少しは役に立つものでないと申し訳ないと思っていたんですけど、担当編集者に「20年の経験の中にはいろんなことがあっただろう。それが取扱説明書のように整理されていなくても、その経験を語るだけで何かしらためになることはあると思う」と言われたんです。
言われてみれば失敗したこともあるし、意図せず成功したこともあるし、気づいたこともある。
それで記憶に残っていることを書いてみたら、基本、笑っちゃうねっていうことだらけで。そのときは泣いたりしていますけど、あとから見れば笑っちゃう。
山内:それが素晴らしいですよね。実は僕も喋る機会が多いんです。コンサートは2時間ちょっと自分で回していきますし、ラジオ番組で、かつては週に2回、中継に出ていたりもして。でも、それですごく鍛えられました。
実は師匠の水森英夫先生には「歌い手は喋るな」と言われるんですけど、でもいい喋りができたときは、歌もいいんですよ。比例するんですね。ならば、「歌い手らしい喋り」を目指せばいいのかなと。
阿川さんのご本を読んで、今日も実際こうやって僕自身が楽しくお話しさせていただいていると、生意気ですが、僕のやっていることも、これでいいのかなと思えてきました。
阿川;いや私が教えてさし上げられることなんか何もないですけど、対談でもステージでも、やっぱり相手から「大丈夫よ! 楽しいよ」というサインをもらえると嬉しいですよね。
昔ね、作家の遠藤周作さんにインタビューしたとき、遠藤さんが帰り際にこうおっしゃったんですよ。「今日話した愚にもつかないような話の中に、キラキラ光る宝物を見つけることができる読者と、見つけることができない読者がおられるだろう」って。これいいでしょう? 使えるのよ。これを言うと、面白くないと思っている人も笑ってくれるから(笑)。
山内:あはは、それはいいですね。
今度、ステージでトークに行き詰まったら、使わせていただきます!
気になる「山内惠介の会いたい人」対談の全編は発売中の『ゆうゆう』2020年10月号(こちら)に掲載されております。「山内惠介の会いたい人」は、2020年10月号より短期集中連載中です。是非チェックしてみて下さい!
ゆうゆうは親子で楽しめる雑誌です。お母様へのプレゼントとしても是非ゆうゆうをご活用下さい。
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『ゆうゆう』2020年10月号137ページのアンケートつき読者プレゼント応募用紙の「希望の商品番号・商品名」欄に「山内惠介色紙」と書き、必要事項を記入してご応募ください。
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【プロフィール】
あがわ・さわこ●1953年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部西洋史学科卒業。99年檀ふみさんとの往復エッセイ『ああ言えばこう食う』で講談社エッセイ賞、2000年『ウメ子』で坪田譲治文学賞、08年『婚約のあとで』で島清恋愛文学賞受賞。12年『聞く力─心をひらく35のヒント』が年間ベストセラー第1位&ミリオンセラーに。14年菊池寛賞受賞。最新刊は『アガワ家の危ない食卓』(新潮社)。
やまうち・けいすけ●1983年福岡県生まれ。2001年「霧情」で歌手デビュー。09年「風蓮湖」がオリコンで50週ランクイン、14年「恋の手本」で初のオリコンTOP10入りを果たす。15年、日本レコード大賞で日本作曲家協会選奨を受賞。15年より5年連続「NHK紅白歌合戦」出場。現在、最新シングル「残照」が好評発売中。11月6日(金)「山内惠介デビュー20周年記念リサイタル・ファイナル」日本武道館公演決定! 詳細は山内惠介公式HPにて。
撮影/橋本 哲 スタイリング/高山良昭(山内さん) ヘア&メイク/小林葉子(山内さん)、田中舞子(阿川さん) 取材・文/北 菜穂子
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