「もう働きたくない」47歳編集者が卵巣をとって『女性の覚悟』に触れるまで(前編)

6月30日に左の卵巣をとった。

5月23日夜に胃腸の激痛に襲われ、発熱、嘔吐。PCR検査で陰性がでたのち、緊急搬送された入院先で診断されたのは「麻痺性イレウス」。はじめてきく病気だが、「腸閉塞」といわれると、症状がなんとなく想像できる人もいるだろうか。

異物や便秘、炎症、腫瘍などにより腸管が閉塞(つまる)したせいで、激痛や嘔吐が起こるのだという。最悪、腸管に血液が届かず、組織が壊死したりすることもあるそうだ。壊れる死。おっかない。

イレウスの激痛治療(鼻から腸まで管を通し、2週間飲まず食わず、点滴のみ)はまたいつかお伝えするとして、そもそもなんでイレウスの診断から卵巣をとることになったんだろう。

 

【47歳、あまりに急激な人生の転機。『女性の覚悟』に必要なことは#1】前編

突然、イレウスと「チョコ」がやってきた

通常、卵巣は左右にあり、各2センチほど。ここから女性ホルモンがでる。

MRI、そして「造影(ぞうえい)CT」という、なんだかかっこいい名前の検査を重ねた結果、私の左の卵巣は8センチにまで肥大・炎症していた。このせいで、卵巣のそばにある腸管が刺激され、イレウスにつながったのだ。

 

このでっかくなった卵巣の中には袋ができ、排出されなかった生理の血が溜まっていた。周囲には膿がたまり、激しい炎症を起こす。袋の中で固まったドロドロ血がチョコのようにみえるので、「チョコレートのう胞」という名がついた、子宮内膜症の一種だ。

 

子宮内膜症は子宮筋腫と並んで、女性にはよくある病気だそう。それにしても「チョコレートのう胞」とは、三度の飯よりチョコ好きな私にぴったりの病気ではないか。出産経験がないのが「チョコ」の引き金になったのか、ストレスからなのかは医師でもよくわからない。ちなみに、この病気は不妊症の原因にもなるそうだ。

驚くのが、ここまで大きくなって激しく炎症しているにも関わらず、卵巣がある部位にはさほど痛みがでないことだ。

そういえば、半年くらい前から、きっちり28日周期だった生理が、出血量が増えたり、1回スキップしたりしていた。PMSも生理時の腰痛も2回に一度はひどい。頻尿になり、おなかにガスが溜まり、パンパンに張っていた。今思えば、すべて卵巣炎症の影響だったのだろうが、「お、いよいよ更年期カモン!」くらいにとらえていた。

 

働きたくないのは更年期のせい?

30代後半から10年以上、シニア向けの雑誌編集をしている私にとって、「はやく50代になりたい、更年期も経験したい」という思いが常にあった。

どんなに企画をだしても、原稿を書いても「まだ若いから更年期や閉経した女性の気持ちがわかってない」とダメだしをされることも多く、(今思えば、ダメだしの理由が若いから、というのは、ただの思いこみだが)、「はやく大人になりたい、更年期、グレイヘア、はよこい」なんなら、「もう定年して、もう働きたくない」と思っていた。これは、常に若々しくいたい同級生に言ってもあまり共感されない感情だった。

 

今回、卵巣を片方とってはじめて、更年期の恐ろしさの淵を垣間見た。「卵巣が片方なくなったことで、今後、更年期の症状が強くでるでしょう」と、鈴木福くん似の担当医にも言われている。これから本格的にやってくるであろう、更年期。「更年期カモン」とか呑気に構えていた40代の自分に、ダウンタウン・浜ちゃん並の、頭つっこみを入れてやりたい気分だ。

 

ちなみに、47歳の今でも、いまの部署では私が一番若輩、新たな人員投入もないので、永遠の下っ端、もちろん給料もあがらない。いじわるな先輩や同僚がいないのはかなり恵まれているが、いかんせん、お金が働くモチベーションにはならない。残業代が付き放題だった20代のころに買ったブランドバッグやジュエリーは、すっかりくたびれて、今、売っても二束三文だ。

 

月に一度(特に生理前)は、仕事をやめたいと思うが、老後資金が貯まっておらず、やめられない。それに、たまにはジャンポールエヴァンのチョコレートを、財布を気にせず買えるだけの「自分だけの稼ぎ」がほしいのだ。とはいえ、特別な資格も体力もないので、転職する勇気もなければ、ましてや年金がもらえる65歳まで仕事を続ける覚悟もない。

はやりの異世界転生モノで、働かずにチョコレートだけ食べる日々がやってこないだろうか。

グレイヘアだけはおかげさまで、順調に育っている。

 

そんな私が、『女性の覚悟』を説く坂東眞理子さんという巨人に出会った

6月30日に腹腔鏡手術で左卵巣をとった。

この日は、私が2年以上かけて担当した『女性の覚悟』という本の発売日だった。著者は、坂東眞理子さん。血やザクロを思わせるワインレッドカラーに、どーんと「女性の覚悟」というタイトルだけが載っていて(帯には坂東さんの顔写真もあり)、発売前、社内のおじさんスタッフからは「なんだかコワイ」といわれたデザインだ。

私はこの本を、「護符」だと思っている。

 

▶【この記事の後編】突如卵巣を切除した編集者が『女性の覚悟』から受け取り続ける「自分を励ますためのシンプルなメッセージ」

 

 

 

『女性の覚悟』
 坂東眞理子・著 1350円(税込) 主婦の友社

後半期の人生をより輝いて生きるために、自分の人生の責任者である覚悟をもとうと坂東さんは呼びかける。覚悟が決まれば、自ずと自分がやれることがわかってくる。自分の人生を誰より自分がいとおしみ、これからの日々を大切に生きようという、女性へのエールが詰まっている一冊。

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執筆者:井頭 博子
1974年生まれ。編集者。書籍『女性の覚悟』(坂東眞理子著)編集担当。ファッション誌「Cawaii!」「Ray」「mina」を経て、現在は50代向け雑誌「ゆうゆう」で老後資金、片づけ記事などを担当。好きなものは、清水白桃、ビターチョコ、昔ながらの魔女。

 

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この記事を書いたのは
主婦の友社 ゆうゆう編集部

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