更年期はどう終わっていくの?60歳、ホルモンに翻弄された私の15年間

閉経の前後5年を一般に、更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は50歳なので、45~55歳の世代は更年期に当たる人が多いもの。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。

私ってもう更年期なの? みんなはどうなの?

オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)

【100人の更年期#43】

Mさん プロフィール

60歳。大学時代の同級生の夫と都内に二人暮らし。イラストレーターとして活動中。絵画のグループ展を開催したり個展のプロデュースなどをしている。

 

20代、倒れたまま「引きこもり」になって過ごした私

私が更年期症状を感じ始めたのは46歳のときでした。でも、そのずっとずっと前のお話からさせてください。

 

実は私は、大学を卒業して就職したものの、激務と対人ストレスで2年で心身を壊してしまいました。休職もしましたが、結局は3年目に入る前に会社勤めを辞めてしまいました。

 

メンタルの病で倒れたことがある人なら、外に出たい気持ちはあるけれど出られないジレンマをわかってもらえると思うのですが、私も同様でした。何度も打ちのめされ、「自分は社会には必要ないんだ」という思いから逃れられず、それから約10年間引きこもり生活をしていました。

 

その後、いくらか体調が戻った頃に、大学の同級生だった夫と33歳で結婚しました。徐々に調子が戻り始め、夫の「自分の楽しめることを探してみては」という勧めで絵画を始めることになりました。

 

子供の頃から夢だった絵本の挿絵画家になりたいという夢も後押しになりました。

 

外に出ることで気持ちも活発になり、個展を開いたり、バンド活動を始めるように。20代に引きこもっていた時間を取り戻そうという勢いで活動し始めました。

 

ここまでが私の人生の「いちばんいい時期」だったかもしれません。

 

46歳、首が動かなくなった。でも、更年期だとは思わなかった

私が再び不調を感じ始めたのは46歳の夏頃からでした。

 

まずは朝起きて急に首が回らなくなりました。痛みがあったので慌てて整体へ。

さらに生理の周期が不安定になり、いつ来るかわからないという不安な日々が始まります。

 

下腹部に違和感を感じると「生理かな?」とナプキンを準備したり下着の替えを持ち歩いたりと面倒だったのを覚えています。

 

首が回らないことが呼び水となったのか、この夏以降は連鎖するように次々と不調が起こり始めます。

 

夜、大量の寝汗で起きてしまいます。

それまでなかったアレルギーが出始め、腕や足に湿疹が出ました。特に足の湿疹はジュクジュクとかさぶたを繰り返し、ストッキングを履くこともできません。

アレルギーのせいかハードコンタクトも結膜炎で入れられなくなり、メガネ生活になりました。

 

この頃から美容や健康に全く興味が持てなくなり、外に出ることも減ってきてしまいました。

 

半年ほどでこんな変化にバタバタと襲われたものですから、気持ちがついていかず、再び私は塞ぎ込むように。

 

追い打ちをかけるように、冬には最愛の父が世を去ってしまいました。その死をなかなか受け入れられず、塞ぐ気持ちに拍車がかかりました。

 

こんな具合に、あまりにも大きな事件が起きすぎて、私は自分の身体が更年期にさしかかったことに気づけなかった。

 

だから、20代の苦しんだ日々の悪夢だけが蘇り、またあの日々に戻るのかと恐怖で怯えました。体育座りで1日過ぎてしまうことも多くなっていきました。

 

47歳、漢方医の言葉でやっと認めることができた「更年期」の症状

家に閉じこもる毎日は1年ほど続きましたが、47歳の最後の月になぜかふと「活発だった頃の自分を取り戻したい」と思いました。

 

気力を振り絞ってジムやヨガや気功にも行きましたが、どれも長続きしません。特に水泳は冷え性が酷くて逆効果に。

水泳を終えた後のずぶ濡れの自分を見て「まるで濡れ鼠のよう…」と情けなくなりました。

気持ちも削がれてしまい、また引きこもる毎日に逆戻り。

 

そんなある日、友達に誘われて漢方薬のお店に行きました。

 

私は湿疹を抑えるためにステロイドを服用していましたが、体質に合わないのかひどくむくんでしまい、見た目が全く変わってしまっているのを見かねて連れ出してくれたのです。

 

漢方医の話では、こうした私の症状は全て更年期に現れる症状だとのこと。

更年期といえばホットフラッシュ、そしてイライラだと思い込んでいたのですが、自分にはそういう症状はなく、まさかこれが更年期だとは思ってもみなかったので、目から鱗です。

心身が弱いのは自分のせいだと思い自分を追い詰めていたので、漢方医の先生の話で本当に気が楽になったのを覚えています。

 

この漢方との出会いは私の一つの転機でした。

 

48歳、更年期だと開き直ったら動く勇気が湧いてきた

自分が更年期だとやっと認識してから3ヶ月ほどたった頃でしょうか。

「自分は更年期なんだ、これでいいんだ」と開き直り、部屋にこもって映画を見始めました。

ワイズマン監督の「アメリカン・バレエ・シアター」という映画です。

 

そうしたら、急にバレエがしたくなり、探し当てたバレエスタジオの稽古場をのぞいてみることにしました。

そこで70歳を超えるバレエの先生の凛としさ美しさにハッとさせられました。

 

塞ぎ込む前の私は、身体を動かすことが好きだったはず。ジムやヨガは続かなかったけれど、「美しい」と思える運動ならば続くかも?と、2週に一度通うことにしました。

この時点で、最初の首の痛みの始まりから2年が過ぎていました。

 

ですが、バレエを始めてからも順風満帆ということはゼロ。

寝汗、湿疹、生理の経血の多さは引き続きあり、さらに50歳で閉経を迎えた後の夏にバネ指が始まりました。

 

やがて、親指と中指手の痛みが酷く、洗濯物をたたむのもままならないほどに悪化。

さすがに家事をするのも辛くてたまらなくなり、まったく手伝ってくれない夫に自分の身体の調子を詳しく打ち明けることにしました。

話してみると夫は「そんなに辛いとは気づいていなかった」。長い間の経験で、私が塞ぎこむのに慣れてしまって、調子が悪いのがデフォルトだと思われていたんです。

 

それまでずっと「なんでこんなに辛いのにわかってくれないの」と腹が立つばかりでしたが、そもそも辛いということにすら気づいてもらっていなかった。

夫は基本的に他人なので、わかってくれるとは思わず、「自分はどういう状態だ」「だから何をしてほしい」と言葉で伝えるのが大事だなと思いました。

 

その後、私に任せきりだった家事に参加してくれるようになりました。この助けがなければきっと更年期後半を乗り切れなかったと思います。

 

60歳の今、更年期を卒業してみて皆さんに伝えたい

バレエも、最初の2年ほどは、ただ必死についていくだけでした。

 

レッスンでできるかな?と思っていた友達もできず、家に閉じこもる毎日でしたが、3、4年経つ頃にやっと年齢が上のクラスメイトと打ち解け始めました。その頃、私の気持ちも少し開いたのかな?身体がラクになってきたのを覚えています。

 

運動の効果なのか、ホルモン値の低下に身体が慣れたのかはわかりませんが、55歳を過ぎたころから不調そのものが減り始めました。

 

60歳のいま、バレエを続けて12年です。たまに行きたくないと思うこともありますが、ここでやめたらゼロに戻ってしまうと自分に言い聞かせて続けています。

この自分の頑張りを、誰が褒めてくれなくても、私は自分で褒めてあげたい。

 

更年期卒業生から、頑張っている真っ最中の人たちに、伝えたいことがあります。

今辛くても卒業できる日が必ずきます。

美しく踊る先生や先輩方と出会えたことが、私の勇気になりました。

趣味や好きなことを細々とでいいので続けてください。

私も次の目標は黄色いレオタードを買うことです。

気分を上げられるほんの小さなことを自分に少しずつプレゼントしていけば、乗り切れます。

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