実は国民は「クロい皇室」に救われるのではないか。その正体とは?
悠仁さまや愛子さまのその「報道」は本当に必要なのか?と疑問を提示した前編「悠仁さま、この合格でも秋篠宮家バッシングが再燃すると思うワケ」に続き、皇室のあり方について「思うところ」をエッセイストの仁科友里さんがつづります。後編です。
「クロい皇室」が、育児に悩む母親を救う?
小室眞子さんの結婚以降、週刊誌や国民は皇族方に対して、何か隠し事をしていないか、ズルをしていないかというような疑いの目で見るクセがついてしまったように感じます。それは、ネットにはもともと「恵まれた人を匿名で叩く」という文化があることに加え、「シロい皇室」を望んでいる人が多いことの表れだと思うのです。
私は夫の仕事の都合でヨーロッパ某国に住んでいたことがありますが、そこでこんな話を聞いたことがあります。上皇さまと美智子さまがいらっしゃることになり、日本人チームで大挙して旗振りに出かけたそうです。ご夫妻のお出ましを待っていると、とうとう雨まで降ってきた。しかし、君が代が流れたとたん、雨がやんで雲の切れ間から明るい光が差し込んできて、気づいたら日本人チームの頬を涙が伝っていたそうです。
単なるノスタルジーもしくは偶然である可能性も否めませんが、この方々は天から遣わされたのだ、この国は特別でそこに世を受けた私たちは幸せなのだと思わせてくれるのが「シロい皇室」でしょう。
けれども、「シロい皇室」を望む人しかいないなら、ブームはここまで盛り上がらないと思うのです。このブームを支えているのは、掲示板やSNSに書きこむことはしないけれど、熱い視線を注ぐ「母親」のようが気がしてなりません。
女性の社会進出が進んでいますが、男性の家事や育児参加は同じように進んでいるとは言えず、特に多くの働く女性は、仕事と家事育児を一手に引き受けているのが実状ではないでしょうか。日本では子どもの出来は未だに「母親のがんばり次第」と考えられていますし、子どもが問題を起こせば「母親が至らないから」と責められる風潮はなくなっていません。日々ぎりぎりのところまで追い詰められながら、家事育児仕事をしている女性にとって、皇族方というのは感情移入するポイントがまるでないかもしれません。
しかし、経済的な不安や受験のストレスもなく、高い教育を受けて、国民にも愛されていたプリンセスが、結婚においてちょっと常識的に考えられない選択をし、ご両親ですらそれを止めることはできなかった。
育児ストレスではちきれんばかりの母親には、このエピソードは「子育ては貴い人にとっても難しい」「いわんや、一般人の私は失敗してもいいのだ」というメッセージとなり、皇室がぐっと身近なものと感じられるのではないでしょうか。
「シロい皇室」が庶民の手の届かない憧れを担う存在なら、「クロい皇室」とは「人目にさらされる宿命や義務を背負っているが故に、しくじりを隠せない人たち」のことを指すと思うのです。
人々が「シロい皇室」だけ求めるなら、悠仁さまや愛子さまの恋愛や結婚はほぼ不可能になるでしょうし、「クロい皇室」的な視点ばかりがはびこれば、小室眞子さんがニューヨークに旅立ったように、皇族方が先に国民を見捨てることもあるかもしれません。
そんな不幸な行き違いをなくすのは、「あえて報道しないこと」も必要なのではないでしょうか。庶民の世界には「便りがないのは、良い便り」という諺がありますが、皇室報道もこれでいいと思うのです。お誕生日会見と決まったことの事後報告のみでよいでしょう。
伸び盛りの悠仁さまや愛子さまが静かな環境でご成長されることを願うばかりです。
前編>>>>悠仁さま、この合格でも秋篠宮家バッシングが再燃すると思うワケ
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