「預金すれば資産が減る」知られざる現実。超低利時代の意外な落とし穴って?

あなたは貯蓄をしているでしょうか。多くの方は銀行で預貯金をしていると思います。しかし、預貯金だけでは、お金は増えません。

 

実は、「預貯金には利子がつく」という認識は昭和のものです

その昔、日本は経済成長が著しく、給与も増え続け、預貯金の金利だけでも十分にお金が増える時代がありました。例えば、郵便貯金(現在のゆうちょ銀行の貯金)の定額貯金の10年利回りなどは12%近い時期もあり、また通常貯金でも4%程度ありました。

資料出所:日本銀行「経済金融統計月報(第2図 郵貯等の金利推移)」より

 

しかし、今はどうでしょうか。同じく定額貯金の金利を調べてみると、2022年2月末現在のその金利は0.002%ととてもじゃないですが、お金は増えいくレベルではありません。今ではATMが駅、コンビニ、スーパーなどに当たり前にありますので、指定時間外手数料を考えなければ手軽にキャッシュアウトすることも可能です。手数料分の金利を稼ごうとすると預貯金に預ける金額を相当多くするか、超長期間お金を預入しなくてはなりません。とても非効率と言ってもいいかしれません。

 

定額貯金金利一覧(2022年2月末現在)

図表出所:ゆうちょ銀行金利一覧「定額貯金」

 

恐ろしい…むしろ「預金だけでは資産が減る!?」のが現実!

さらに、預貯金だけをしていても、お金は増えるどころか減っているという認識がない人が多いのも現実です。

 

預金しているだけでお金って減る!? 何を言っているの? 預金しているだけでは手数料は取られていない(預金の預かり額に応じて、手数料を取るところもあります)という方もいるでしょう。

 

しかし、見た目の額が減っていなくても、資産は減り続けているのです。どういうことかというと、その正体は物価の変動です。

 

日本も物価が少なからず上昇しています。あなたの子どもの頃のことを想い出してみてください。駄菓子屋で100円持っていけば10個のお菓子が手に入りましたが、今ではそうはいきません。1本100円だった缶コーヒーやジュースも自動販売機で購入しようとすると130円かかります。30円値上がりしたのかというと、それだけではありません。量が昔よりも減らされていますので、実質それ以上の値上がりがされているといわけです。

 

今の日本は物価上昇率2%を目標に掲げて金融政策を打ち立てて施行していますが、仮に今後2%の物価上昇が現実味を帯びた場合、それ以上に金利がともなわなければ、実質的には資産は目減りしていくことになります。

インフレ率2%が10年続いた場合の100万円の資産価値の推移

銀行の仕事はお金を預かることではない

資産を減らさないようにするためには、いくつか方法があります。1つは収入を上げ続けること、もう1つが資産運用です。

 

あなたが預金をしているお金は、銀行に預けている感覚があると思いますが、銀行はあなたたちから預かっているお金を上手に運用しています。例えば、取引先の企業に貸し出したり、国債を買ったりしています。これを少し難しい言葉で言うと間接金融と言います。間接的にお金を様々なところに融通をしている、つまり投資をしているということになるのです。

 

間接金融より直接金融の方が有利か!?

今の時代、預貯金などの間接金融によるリターンは、銀行の預金金利を見ても分かる通り微々たるものです。しかし、直接金融を行えば、リターンは増える可能性があるのです。

 

2022年2月現在の大手銀行の普通預金金利は0.001%、5年のスーパー定期預金で0.002%です。100万円で毎年得られる利子は5年間で100円(税別)です。しかし、個人向け国債に直接購入した場合はどのくらいでしょうか。5年固定第131回債を見てみると、同様に100万円を投資して5年で得られるリターンはなんと2500円(税別)です。このような投資手法を直接金融と呼びます。

もちろん、途中換金してしまうと手数料が発生しますので、注意は必要ですが、しっかりと理解をして投資をすれば偉えるリターンは預金以上であることが分かると思います。

 

あなたもちょっとした知識得て工夫をするだけで、資産運用が格段に上手になるはずです。まずは預金だけの資産運用がから脱却し、直接金融を活かした資産運用をはじめてみましょう。

 

 

文・監修/市川雄一郎

グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産運用設計業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。
1969年生まれ。グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、金融機関の職員や顧客に対する講義や講演も行う。
「日本経済新聞」「日経ヴェリタス」「朝日新聞」「東洋経済」「週刊ダイヤモンド」などへの原稿執筆・コメント提供のほか、ラジオ日経などのメディア出演も多数。

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