一家全滅してわかった「これが軽症なんて私は言えない」オミクロン

マユリさん一家のオミクロン感染体験。前編「『ママ、怖い。寒くて熱い』オミクロンに感染した娘は悶えながら訴えた」で聞いた子どものオミクロン罹患から発症までに続き、後編です。小3娘、小1息子、47歳ご主人の4人家族で都内近郊に暮らし、「この2年間は念入りに感染対策を続けてきた」という山内マユリさん(仮名・45歳)でしたが……

 

よかった、子どもは急激に全快。しかし私が倒れ込んだ

ところが、明けて30日(日)、朝起きると子ども2人はいきなりけろっと全快しました。

 

「2人とも元気いっぱいで、ママ、熱下がったよ!と嬉しそうに言うんです。のどは痛いし、咳も残っていますが、突如として元の元気な子どもたちに戻りました。悪化しないとは聞いていたけれど、万が一にもうちの子だけがという可能性も頭をよぎっていました。力が抜けるほどホッとしたのですが、ここから入れ替わりで私の体調が急激に悪化します」

 

この日にやっと保健所からの連絡が入りますが、すでに自宅療養を始めていたため、注意事項を説明されて終了。

 

「私に咳が出てきたため、30日の午後に夫婦で検査を受けました。抗原検査では2人とも陰性でしたが、子どもが峠を越えて一安心した我が家は、ここではじめてお金の問題を認識しました」

濃厚接触者が自宅隔離される最長17日、歩合ならば補償が何もない

一家が否応なく向き合うことになったのは隔離期間の問題です。もしこの段階でご主人が夫がPCR陰性の場合、子どもの隔離期間終了にご主人の隔離期間が7日プラスされるため、全部で17日の隔離。

 

「歩合給の夫の場合、17日というと、ほぼ1か月分の給与が吹き飛びます。なのに感染すれば10日で済む。ならば、いっそここで陽性が出たほうが嬉しい、そんな話になりました」

 

この心配は杞憂ではありませんでした。日曜の夜に出たPCR検査の結果は、マユリさん陽性、ご主人が陰性。

 

新型コロナウイルス感染症に感染した場合、一部の保険会社では自宅療養も入院保障の対象と定めています。幸いにしてマユリさん一家が入っている保険は対象でした。ですが、濃厚接触による隔離期間は保障されません。

 

子どもが感染している間の看護は小学校休業等対応助成金があるものの、マユリさんのご主人は歩合制なので使えません。マユリさんのパート先からは支払われますが、もとが週3日のため家計を支えられる額ではありません。

 

「あらゆる公的助成や補助を調べ上げましたが、我が家は融資を受けるにしてもなかなか該当するものがない。幸い、私の保険があるためガスや電気は止まらず済みそうですが、こんなに助成がないなら感染を隠して働く人だって当然出てきます。いくらエッセンシャルワーカーと持ち上げられたって、日雇いなら休めばもう生きていけません。政府はこの2年何をしてきたのか、これだけ支援を作りながらもまだ抜け落ちている人がいることに気づいていないのかと怒りを覚えました」

 

ご主人は隔離が始まって以来ずっとお金の心配を続け、気が休まらないままなのだそう。

 

「しまいに『俺が具合悪くならないと保険もおりない、いっそ感染したい』と言い出したんです。恐ろしいことだと思いませんか? 夫はこの国の物流を担う一人だというのに、そんなことを思ってほしくない」

 

これでも軽症って信じられない…?味覚障害が出ています

「そんな問題に直面しながらも、30日の夜に私37.5℃の発熱。続いて頭痛、咳、倦怠感に襲われました。そのまま朝まで眠れませんでした」

 

ここで子どもたちの言っていた「寒い熱い」の意味がわかったとマユリさん。

 

「確かにこの症状は『寒い熱い』なんです。寒いからと着こむと熱いし、暑いからとちょっと冷たいものを触ると寒い。何をしていても、このイヤな感じからはどうしようもなく逃げられません」

 

ろくに眠れなかったマユリさんですが、朝はすっかり回復した子どもに、ママ!お腹すいた!と叩き起されます。

 

「熱は38.5℃、ロキソニンを飲むと37.5℃に下がりますが、症状が強くて起き上がれません。咳が出るたびに額の上が痛み、咳のせいなのか胸の筋肉も痛く、肩を回すと両腕が取れてしまいそうな関節痛。熱を測る体力もないのに、子どもたちはお腹すいたと言ってくる、そして夫はなぜか自分の袋めんだけゆでるし……『こんなときもママってくたばっちゃいけないんだな』って弱気になりました」

 

これまでインフルエンザには4、5回感染したというマユリさんですが、オミクロンの辛さはそれとはまた違うと言います。

 

「経緯をおさらいすると、30日の夜、咳が出始めたと思ったらみるみる喉が痛くなり、数時間でボンと39℃近く発熱。その直後から腹痛と下痢、頭痛が同時に襲ってきました。少し遅れて、2月2日に味覚障害が現れました」

 

味覚障害は「味がおかしい」とはっきり認識できたのでしょうか、それとも微妙な症状?

 

「はっきりわかりました。というのも、朝、歯磨きをしたら、歯磨き粉の味も匂いもまったくしなくて。あれっ?何が起きたんだろう?とパニックになりました。突然嗅覚を失うと本当に驚きますし、いまも味覚は戻っていません」

 

熱は2日になって37℃台前半に下がり、咳も少し収まったものの、子どものときと同様に症状には波があり、具合が良かったり悪かったりを1時間おきに繰り返すそうです。その間、咳をはじめたご主人が再度PCR検査を受け、ついに陽性の判定が出ました。

 

「我が家にとって生命線である夫の保険はPCR陽性の判定がないとおりないため、この診断を受けるためだけに外に出ないとなりませんでした。完全に行っていた自宅内の隔離も、感染したほうがいいのかもという話が出た瞬間からは甘くなりました。夫の感染がこれだけ遅れたことから、隔離はできていたこともわかります。結果的に夫も陽性となってしまい、あとは軽く済んでほしいと祈るばかりですが、このようにして全員が感染した一家は我が家だけではないと思います。どうすればよかったのか、正解はわかりません」

 

この話の前編>>>「『ママ、怖い。寒くて熱い』オミクロンに感染した娘は悶えながら訴えた

(個人特定を避けるため一部を編集していますが、コロナの病状にまつわる部分はご本人の体験通りです。また、体験を可能な限りそのまま迅速に伝えることを目的とするため、内容は生の声をそのまま納め、感染症専門家の査読を経ていません。趣旨ご理解の上お読みください)

*この記事は2022年2月に公開した記事のリバイバル配信です

 

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この記事を書いたのは
OTONA SALONE編集部 井一美穂

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