
44歳、まだでしょう?と思ったけれど、このめまいは【100人の更年期#3】
一般に、閉経の前後5年を更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は50歳なので、45-55歳の世代は更年期に当たる人が多いもの。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。
初潮を迎えた人ならば必ず誰しも迎えるのが閉経、そして更年期。なのに、親しい友人と生理の話はできても、「更年期の具合はどう?」とはなかなか話せないものです。私は正常なの?みんなどんな経過なの?この状態、治るの?
主婦の友社オトナサローネ編集部は、ごく普通に日々を暮らす同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材していきます。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)
【100人の更年期♯3 44歳・営業職】
プロフィール
44歳、独身、東京都在住。2歳上の姉、几帳面な専業主婦の母、 厳格な自営業の父の下、にぎやかで明るい家庭に育つ。 大学卒業後、パティシエの修行をしたのち、28歳で激務の営業職に転身。 36歳でヘッドハンティングによる再転職。42歳ごろから体調に変化が。 主訴・猛烈なめまい、だるさ、生理痛。
母は「まだ早い、違うわよ!」と言うけれど…
私の母は20代前半に結婚し、姉、私を産みました。私は26歳のときの子どもなので、母が50歳前後のころはまだ10代後半。
母が真冬に「暑い、暑い」と言い出して不思議に思っていましたが、今思えばあれはホットフラッシュですね。でも、母も私たちには更年期だとは言いませんでした。
私も42歳くらいに体調を崩し、母に更年期がどうだったかを尋ねたら、「私は50過ぎだったからあなたはまだ早いわよ、違うわよと」言われました。
個人差もあるし、そっか、私は50歳からか、じゃあこれは単なるストレスかなと思ってました。
でも、44歳になって、これはストレスではないなと気づき始めました。
ずっと付き合ってきた盲腸レベルの腹痛
中学2年ごろから、盲腸かなというくらい右のお腹が痛くなることが何度もありました。のちに、右側の卵巣のサイズが大きいと判明します。高校くらいから生理周期は安定しましたが、この腹痛と胸の痛みには今でもまだ苦しんでいます。
私は28歳までパティシエの修行をしていたのですが、突然IT業界の営業職に転職して、そこから38歳くらいまではアッという間。猛烈な激務の日々でした。
激務とストレスが原因の病気にもかかりました。頸椎椎間板ヘルニアと診断されたのは35歳。あまりに忙しくて、尿意を催さなくなるんです。何度も繰り返す膀胱炎や、帯状疱疹にもかかりました。ストレス性の蕁麻疹も。急成長業界の花形営業だったので、チャンスはたくさん与えていただきましたが、同時に壮絶なストレスももらっていました。
36歳のとき、別の会社にヘッドハンティングで転職。すると、今度は仕事の忙しさの質が変わりました。徹夜も海外出張もあるし、いろんな人からいろんな理不尽を言わてイライラもする。ある日突然、「髪を染めたほうがいいわよ?」と言われたのは37歳だったかな。すっごいショックでした。鏡をよく見ると右ヨコに固まって白髪が出ていて、眉にも白髪が。そのうち「白髪が目立つわね」と指摘されるようになりました。とにかく、お給料をもらってストレスを買っている状態。で、限界まで働いて納得もいったので、43歳で再転職しました。
ある日突然始まった強烈な「めまい」、人生の不安
40代に入ってから、ガラリと生理が変わりました。3日で終わったり、逆に長いときがあったり。今回は軽いのかなと思っていたら突然驚くほど出血したりと、不安定になりました。それまで安定していた周期がちょっとずつずれ始めたのが42歳になる手前くらいです。
生理の不調もですが、私は40歳ごろから急に「めまい」が出ました。ある日道を歩いていて急にふわっと襲われたんです。43歳になってからはそれがいっそうきつくなりました。
たとえば、今日なんかも、オフィスで仕事をしていて、座っている最中にいきなりふわっとめまいがきました。それが大地震なのか自分が揺れているのかがわからなくて。机とか壁とか安定したものを手でつかんで、やっとめまいだって気づきます。
いまコピーを取りにいかないとならないけど、立てない。すっごく喉が渇いていて、ペットボトルを持とうとするけれど、手がうまくつかめなくてペットボトルまで口を持っていけないとか。そんなことも頻繁です。
めまいは朝から夜まで場所を問わずいつでも起きます。今日はもう出勤せず自宅に引き返そう、でも駅から歩いて帰れないかも……と、途中の駅で下車してタクシーに乗ったこともあります。
以前は家に帰るとめまいは落ち着いていたのですが、この頃は家にいてもふらふらします。週末、スーパーに買い物に行った帰り、荷物が重いせいでふらふらしてるのかと思ったら、私が揺れていたことがありました。
家に帰ってしばらく座ってもめまいが収まらず、一人暮らしなのでこのまま収まらなかったら救急車を呼ぶのかな、どうするのかなと、ものすごく不安になりました。
同時に、ものすごく疲れやすくなりました。朝も早くに目覚めるけれどとにかくだるくて起き上がれない。夜も10時に寝るようになり、あれだけ酒豪だった私がめっきりお酒に弱くなりました。
思っていることもすぐ出てこなくなって、ええとアレですとか、あの人あの人とか代名詞で済ませたり。あと、むくみやすくなりました。
指輪がむくんだり、ブーツを夕方はきなおすとパンパンだったり。最近は急にかーっとほてることもあります。リラックスしているのに、手だけ急に汗をかいたりします。
治療したいけれど、自分と相性のいい医師を探すのが大変すぎる
最近痛感するのは、相性のいいお医者さんを探す難しさです。特に更年期はちょっとした言われ方でひどく傷つくことがあると思う。
長くお世話になったお年寄りの婦人科の先生は、「僕の経験ではあなたは病気ではないよ、年齢的なものもあります。子宮も年をとってくるから、うまくおつきあいをしていこうね」と、私の気持ちに寄り添って不安を解消してくれましたが、その先生が引退してからは婦人科ジプシーです。
私、更年期関連ではいやな思いをしすぎました。不調を訴えても、カルテを見直して「ああ」って言われたり、「いくつだっけ」と言われたり。上から目線で「あなたもっと自分の体をわかったほうがいいわ」と言われたこともある。そのたびひどく傷ついてきました。
そもそも更年期は病気ではないし、ましてや女医さんなら女同士なのに、なんでそんな言い方するの? 私は苦痛を取り除いてほしいのに「更年期だからね(我慢して)」って、我慢できないからきているんです。ものすごく傷つきます。もう一つ、出産経験は?ない、ご結婚経験は?ない、じゃあ更年期も早いかもねって、それは事実なんだろうけれども、もうちょっと違う言い方があると思う。その言い方をしないでほしい。
そんな私を救ったのは、話を聞いてくれる先輩たち
ここのところ、50歳をすぎた先輩がたにいろいろ教えていただきます。
「最近ホットフラッシュがきてるのよ、ああ暑い、イライラと暑いのが止まらないの」
「生理?あるならいいじゃない、私なんてもうそろそろナプキン捨てようかと思ってるけど、でもたまにきちゃうんだよね……」
なんて話してくれます。
ある先輩に「あなたはちゃんと婦人科に通いなさい。あと仕事はもうこの年齢で無理しちゃダメ」って言われました。
先輩いわく、婦人科は何としてでも早めに探したほうがいいとのこと。いわゆる名医はいないので、自分と相性のいい医者かどうかを考え、遠慮せず他の医者に変える。まず受付の対応が自分の気持ちに合うかも確認し、医者が最初に話をゆっくり丁寧に聞いてくれるか、またカルテに書いている内容が自分の訴えとあっているかも見たほうがいい。
そういえば、母は子どもを2人産んだので、生理が2年以上は止まっていたんですね。だからその分私のほうが更年期が早い可能性があるのかも。
2歳上でいま46歳の姉も、夏に会ったとき「私も更年期かな」ってぽろっと言いましたが、なんでなんでと聞いたら教えてくれなかったんです。「私もめまいがするんだよね」と言ったら、姉は「私はめまいじゃないんだよね」と言っていました。実の姉妹でも立ち入れない世界です。
更年期に立ち向かっていくためには心構えが必要かな、って
こんな具合に、40代に入っていろんな不調が重なり、人生を急に考えちゃって。自分が大事に持っているものを思い出して、後輩にはこれを形見にあげようとか、断捨離しておこうと考えたりしました。
そして、このまま結婚もせず、苗字も変わらず死んでいくのはいやだな。じゃあこれからは食べたいものを食べよう、飲みたいものを飲もう、自分を大事にしようと思うようになりました。
とある先輩は、旦那さんが妻が更年期であることを認めてくれないそうです。でもだるいものはだるい、眠いものは眠い、イライラもします。子どもがギャーって騒ぐとき、以前のように「それも幸せ」とは思えず、「うるさい」と思うようになるんですって。なんで体操着持ってこないの!と怒鳴ってしまう。「毎日イライラして、子供に当たって、後悔しては朝を迎える繰り返しよ」って。
なんだかわからないけど涙が出てくるという人もいました。さみしくなると怖くなる、旦那と結婚してこんなに月日がたっているけど、私は一人なんだなと思うって。お前は女として終わっていると言われているように感じてしまうので、その人は更年期のことを夫婦間でも言えないんだそうです。
「あっという間にくるわよ、更年期という嵐が。45歳すぎたら何だって、量ではなく質。だらだらと欲張らないで、物足りないくらいがちょうどいいのよ」というアドバイスは心に刺さりました。
自分にやさしくしてあげよう、疲れたらその場で立ち止まろう、いやなことは忘れる努力もする、止まる努力もする。それがいま私にできることです。
今日しなくていいことはしなくてい、しんどいときは休んでいい。でも、まだこうした自分を認めたくない自分もいます。この変化に向き合っていかないと、更年期に立ち向かっていけないんだな、と思っています。
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