「体毛を残す自分らしさ」とは?「剃る」立場の剃刀メーカーが敢えて提唱する深すぎる理由
こんにちは、オトナサローネ編集部井一です。
この連載は22年4月に歯列矯正の記録としてスタートしましたが、6月に私が更年期障害でホルモン補充療法(HRT)を始めたこと、11月に主婦の友社が更年期世代のエンパワメント活動「アフタヌーンエイジプロジェクト」を始めたことから、「アフタヌーンエイジ日記」と間口を広げ、更年期世代のお役立ち情報をお届けしています。しばらく多忙により配信が止まっていましたが、少し落ち着いたのでまた再開させていただきます。
さて、先日、シェーバーでおなじみのSchickによる「5月10日はVIOケアの日」トークショーに参加したのですが、ここでのお話がとっても心に残ったので共有させてください。
【連載・更年期50代のアフタヌーンエイジ日記・】♯30
「押し付けられた画一的な美ではなく、自分らしい美を自分で選ぶ」ということ
トークショーに登壇したのは、ランジェリースタイリストの中根菜穂子さん(写真右)と、Schickのウイメンズ製品担当・島梓無子さん(写真左、以下敬称略)
中根「ランジェリーは他人が着けている姿を見る機会がないため、何が正解かがわかりにくい。スリムな芸能人、モデルのランジェリー姿しか目にしないので、それが当たり前だと潜在的に感じ、自分の身体は違うと悩んでしまう方が多いんです」
そう語る中根さん。身体のお悩みは人それぞれ違うが、このように「潜在的に作られた当たり前像」からくる悩みは本来なくてもいい種類の悩みだと感じるそうです。いっぽうの島さんも、ランジェリーと体毛は人の目を気にして「当たり前像」を自分の中で作り上げてしまうのが共通点と言います。
島「体毛というカテゴリには、必ずつるつるにしないといけないんじゃないか、美しさってこうしないとならないんじゃないかという、いわば他人目線の基準が大きく残っています。でも、それぞれの美しさ、価値観をもっと提案できるほうがいいと思うんです」
Schickが提唱する#BodyHairPositive、「どんなボディヘアも自分が気に入っていれば美しい」というプロジェクトはまさにこの体現なのだそう。
島「婦人科医の先生も言っていましたが、身体に無駄な毛というものはなく、身体の成長に合わせて毛が生えてくるのは成長の証。自分らしさを選んでほしいのです」
そう語る島さんに、大きくうなずく中根さん。
中根「正解は1つじゃないんですよね。ランジェリースタイリストのお仕事をしていると、お客様に『いいブラジャーの条件を1つあげるならどれですか?』と聞かれることがあります。でも、この世にたった一つのいいブラジャーがあるのではなく、ひとりひとりにとっていいものがあるんです。私はそれを一緒に見つけることにしています」
体毛ケアのスタートは低年齢化している。10~12歳「いじめられた」がきっかけという衝撃
こうした「見えない部分のケア」は、体毛ケアにも通じるところがありますと島さん。
島「自分を大事にするという視点が共通しています。じつは体毛ケアは年々低年齢化していて、まだ自己が確立されていない10歳、11歳、12歳がスタートになっています。しかも、悲しいことに『周囲から毛が生えているといじめられた』のがケアのきっかけになることもある。自分はこうしたいんだ、これでいいんだという意識を持つ必要があります」
ですが、指導するはずの親世代もあまりに知識がない。とりわけVIOケアは、そもそも私たちの世代には概念自体が今ほど強く存在していなかったので、「教わった記憶がない」と思います。
島「VIOケアを何らかの形で始めている人は非常に多いが、やりかたの正解、特に安全なやりかたの『定番』があるわけではありません。私たちは安全なケア方法の解説動画を作っていますが、こうした正しい知識がないまま何十年も自己処理を続けている方が大勢います。これからは自分に心地いいケア方法を見つけていくことが大切です」
そんな島さんのコメントに、中根さんも同意。最後に「そういえば」と大切なことを教えてくれました。
中根「年上のお客様から聞くことがあるお話です。若いころにすべてツルツルにVIOを永久脱毛した方は、年齢を重ねたり、子や孫が生まれたりすると『ちょっと残しておいたほうがよかったかな?』と思うことがあるそうです。自分で体毛ケアできる選択肢があるということは、ライフステージが変わったあとも自分らしさを考えてケアできるメリットがあるんですね!」
そうですよね、ツルツルもいいのですが、それはそれで困るシーンも先々起き得るんですよね。
私のまさに娘が10歳です。そうか、この子たちは
私はいま52歳で、新小学5年生の娘と暮らしています。
先に私とVIOの話をしますと、42歳での出産前後、とある男性芸能人の「日本人はまったくヘアのお手入れをしていないのが不潔であり、世界の常識と反する」という大意の発言を目にしました。
世界の常識や、この男性のご意見の是非は置いておいて、私はこの発言で「20代から繰り返していた毛嚢炎がもしかして止まるかな?」と思い当たりました。さっそく「ほどよく」医療脱毛をしていただいたところ、おかげさまでぴたりと止まりました。毛根がなくなれば炎症も止まるのです、本当にやってよかった。
私は昨年から歯列矯正を始めていますが、私たちの世代はこれら「自分の身体に対するケア」に積み残しがとっても多いのはご存じの通りです。
たとえば「貧血の放置」「生理痛や過多月経の治療の迷い」「歯周病含むデンタルケア未着手」、きっと1つは思い当たるでしょう。一方で、外見にまつわる項目、「美白」や「痩身」などはとても常識水準が高い。でも「体毛」の知識レベルはちょっと微妙。
この世代が親になると……あれ、体毛処理って子どもにどう教えたらよいの? そもそもいまどんな製品が市販されているの? と、また右往左往が始まりますよね。生理にまつわる諸々は学校が教育の一部として手掛けてくれますが、体毛はそうはいきません。
ちなみにまで、性交に関しては、解釈変更が行われたとはいえ学習指導要領に「はどめ規定」が存在したため、「扱ってくれないと思ったほうがいい」状況です。(参考/日本医師会『学習指導要領上の規定と望ましい性教育の在り方の考察』)
というわけで、小さな娘さんを持つお母さんたちに、小学校5年時点で気が付いた「この先小学校で起きてくるだろう語られざる問題」を挙げておきますと……。
・小3~4 下着の入れ替え問題 保育園時代からずっと大量のユニクロタンクトップを洗い替えてきた下着。いつからブラ的なものに変えていくのか?
・小4 生理の説明と性教育問題 学校では4年生のタイミングで介入してくれたが、生理という事象についてのみ。そこから先をどうするか?
・小5 体毛問題 確かに、画一的な「無毛」を教えるのはこれからの時代に合わないことに気が付いた。しかし、どう伝えるべきなのか?
・小6 生理痛問題 もう苦しむ子が出てくるらしい
このあたりはこれからも個人的なテーマとして追及していきますので、よろしければ皆さんのお知恵もお貸しください!
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