6月「小満」のころに「食べておくといい」意外なものって?まさかのアレ【田野岡メソッド・二十四節気のかんたん養生】

2024.06.01 LIFE

こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。

私は研究開発部に属し、さまざまな商品に携わってきました。その過程で、たとえば漢方原料が土地土地で少しずつ性質を変えること、四季のうちでも変わることを知り、やがて人間の心身そのものが気候風土に大きく影響を受けていることに深い興味を持つようになりました。中医学を学び、国際薬膳調理師の資格も獲得、いまもまた新たな活動を続けています。

1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、隔週でここ熊本からメッセージをお送りします。

 

【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】6月編(上)

あらゆる命が満ちていく、過ごしやすい時期が到来

写真は熊本の5月の麦畑。小麦は収穫期に入ります。麦は梅雨までの間に収穫します。いま、麦畑は金色の穂を揺らし、収穫のときを待っているんです。こうした、あらゆる命が満ちていくこの時期は「小満」。今年は5月20日にはじまり、6月4日までです。ここから夏至までの間、陽気がだんだんと増して真夏への階段を駆け上がります。

 

この過ごしやすい季節には万物がすくすくと育ちます。つばめの巣ではふ化したひな鳥が力強く鳴いていますね。自然界での子育てがあちらこちらで目に見えるぐらい過ごしやすい時期なのです。

 

春のイライラが高じて「5月病」になっていませんか?

5月にもお話したとおり、東洋医学には「五臓六腑」という言葉があります。「五臓」とは肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)。「六腑」は胆(たん)・小腸(しょうちょう)・胃・大腸・膀胱(ぼうこう)・三焦(さんしょう)です。

 

「肝」はイライラ担当です。イライラの許容量を超えてしまうと「脾」に影響が出るようになり、消化機能がいじめられてしまうぐらい影響が及ぶ……ともイメージします。「脾」は体のパワーを作り出す場所。これから過酷な夏を乗り越えるためのパワーを作り出す源に影響が常に及んでしまうようでは、身体の各所はパワー不足が顕著になって困ってしまいます。

 

五臓を統率する身体の君主は「心」です。「脾」でパワーを作り出すことができないとなると、「脾」と母子関係にある「心」が助けを出します。春は「肝」、夏は「心」に特に季節の影響が顕著に見られやすくなります。春の疲れを残したまま「肝」がイライラの許容量ギリギリで夏を迎えてしまうと、ちょっとした影響が身体のパワーを作り出す「脾」に及びやすくなってしまい、君主の「心」が見かねて「脾」を助ける……そんなイメージの助け合いが起きた結果、夏は「心」に気遣いたい季節とも言えます。

 

「心」の機能は睡眠とも深いかかわりがあるので、寝つきが悪くなってしまうなどの眠りの不調も夏にかけて見られやすくなります。これも5月病のひとつです。5月病の不調が見られる状態のままだと、夏の環境に立ち向かえなくなってしまいます。夏は「心」を気遣うことを意識してみましょう。今、ハスの花が満開を迎えています。このハスの実は不眠におすすめの食材です。旬とは季節の必然があるのです。

 

シナモンと玉ねぎがこの時期のキーワード

「肝」「脾」「心」がそろって疲れが見られる5月病のような状態におすすめなのは「シナモン」、もうひとつが「玉ねぎ」です。「肝」がイライラの許容量を越えて「脾」をいじめ始める、それはつまり「肝」の気が滞っているとイメージします。例えると……毛糸が絡まってしまって簡単にほどくことが難しい、そんなイメージの働きをしてくれるのが玉ねぎです。気をめぐらせる働きをしてくれます。

 

シナモンを使って玉ねぎと合わせて何か美味しいものを…そんなことを考えていたら「ドライカレー」に行き着きました。日々のイライラで「脾」がいじめられて、「心」まで影響してしまう5月病のような傾向が見られるようでしたら、シナモンと玉ねぎを使ってドライカレーなんていかがでしょうか。

 

カレーにはウコンが入っていますよね。カレーの黄色い色素です。中医学の世界には「帰経(きけい)」という、どこの経絡に働きかけるかを示した大切な考え方があります。 玉ねぎは「肺」に働きかけて気をめぐらせますが、「肝」に働きかけるウコンと一緒にすると「肝」にも気の巡りが期待できます。このように、身体のことを想って食材を組み合わせる…って面白いですよ。

 

 

お話/田野岡亮太さん

2003年、再春館製薬所に入社。化粧品の開発に10年間従事した後、再春館食品ブランド”Lashiku(ラシク)”の商品開発の担当へ。「お客様のイキイキを食からも応援したい」という想いから国際薬膳調理師を取得。「人生100年キレイ」を支える食の充実を目指して中医学を学び続けながら日々商品開発を続けている。

 

 

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