
40代女性が「更年期かも」と思ったら「最初にしたほうがいいこと」って?女性ヘルスケア専門医に聞く(前)
明るいお人柄と、軽快な語りからあふれるポジティブなオーラに、「お話するだけで元気を分けていただける」とファンも多数の産婦人科医・小川真里子先生。このたび福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センターでの診察をスタートされました。
長年に渡って更年期のトラブルに向き合ってきた小川先生に、改めて「更年期という時期だからこそ気を付けたいこと」を伺いました。
それでも更年期障害で「婦人科を受診しにくい」理由は何なのでしょう?
長年に渡り、秋桜(コスモス)外来というすてきな更年期外来を手掛けてきた小川先生。いまや更年期障害での受診は珍しくないと感じるそうです。
「ですが、みなさん昔もいまも深く悩んで来院なさいます。仮に受診のハードルは下がったのだとしても、更年期という時期の悩みが軽くなったとは思っていません。たとえば働く女性ならば『仕事に支障があって困っている』と、本当に悩み抜いて来院します。相談する相手がいない上、仕事にどんな影響が出るかわからないので症状を隠したいというケースもまだまだ多いのです」
仕事の場でほてりや汗に恥ずかしさを感じ、緊張してしまうため不安が強くなるケースや、発汗のせいで睡眠の質が下がり、日中に眠気が残るせいで仕事に支障が出るケースなどもまだまだ数多く相談を受けると言います。
「振り返ってみると、更年期障害で受診するのは働いてる女性の割合が多めです。もちろん専業主婦もいらっしゃいますが、家にこもって誰にも悩みを話せないという主婦の割合は少しずつ減り、そのかわりに働く女性が増えました。例えばですが、他人といっしょに職場にいるからこそ、発汗の悩みが表面化してきたのだと思います」
また、地域差の実感もあります。地方だとそもそもお産だけを手掛ける産婦人科しかなく、更年期症状ではなかなかかかりにくい例もまだまだあるのだそう。
「思い詰めて来院なさる方が結構多いのは、そうした受診機会のハードルが残るせいかもしれません。まずは仕事に行けなくなる前の、『少し辛いな』くらいで受診を考えてほしいのです」
「障害」の定義は「生活に支障があること」だからと、そのレベルまで一生懸命がんばってしまう人が多いのですが、がんばらなくていいのです、と続けます。
「ほてり、汗は『苦痛』なのだと感じていいのです。夜、汗で目が覚めるなら『苦痛』ですから来院していただきたいし、更年期のことで悩みがあるならそれも『苦痛』、来院に値するのです。ただし、同じ汗でも、汗がつらくてお友達と外出がおっくうなど、苦痛があるなら更年期障害ですが、辛くないなら障害ではありません。受診せねばならないとも感じなくていいのです」
更年期障害を「予防」するためには、早めに対策を始めるべきですか?
最近では更年期の予防意識が高まり、40代に入るやいなや、更年期準備に何をすればいいか情報収集を始める人が増えつつあります。
「予防的な受診は確かに増えています。オススメは区市町村の婦人科検診を活用した相性のいいクリニックを探しです。検診の案内が届いたら、近隣の産婦人科を何か所か受診して、そろそろ更年期が不安なのですがと相談してみてください。気の合う先生を見つけておくことが更年期前の準備にはいちばんです」
更年期が近づいてきたら、血液検査なども頻繁に受けて、ホルモン値をチェックしたほうがいいのでしょうか? その場合、何歳くらいから意識するのが正解なのでしょう。
「採血して数値を測ってくださいという方もよくお見えになりますが、更年期かどうかは採血では決められず、むしろ月経の乱れが重要な目安です。月経が乱れる前は採血しても更年期の診断に至らないと思ってください、ですのでそもそも予防的な受診は不要です。年齢関係なく、月経が乱れて不調が出てからでOKです」
とはいえ、この症状が果たして更年期なのか何なのか、判断つかないというときは来院していただくといいそうです。
「治療を受けることそのものはいいことなのですが、昨今は更年期を少しでも軽く乗り切りたいという意識が高まるあまり、40代に入るやいなや不調や症状を探してしまう気配があります。リストの不調に何個当てはまるからきっと私は更年期だ、と先手を打って症状を探してしまうのです。しかし、リストの条件に当てはまるから更年期と決まるわけでもないんですね」
更年期障害は除外診断といって、更年期の時期にみられる不調について、その不調の背後に他の疾病が隠れていないことを一通り検査し、なにも異常がなかった場合に診断します。月経が乱れていない場合は更年期である可能性はまだまだ低く、医師も依頼されれば採血はするものの「違うだろうな」とは感じているそうです。
「日本の健康保険では予防的な医療はできないうえ、月経が順調にある間はHRTを行ってもあまり意味がありません。エクオールなど大豆イソフラボンサプリメントは飲んでもいいのですが、大豆イソフラボンのエストロゲン様作用は弱いので、まだホルモン分泌がある段階ではあまり変化は感じないのではと思います。将来の更年期症状の予防になるというエビデンスも現状はありません」
むしろ、食事の栄養バランスに気を付け、夜たっぷり睡眠をとり、また今のうちに運動習慣をつけることのほうが重要なのだそう。
「この場合、ビタミンBやCはあまり更年期症状とは関係ありません。飲むなら骨粗鬆症予防も兼ねてビタミンDがよいでしょう」
もうひとつ大事なのは、前述のとおり、更年期障害を感じるからといって、必ずしも受診をしなければいけないというわけではないこと。「受診しない自由」もあるのです。更年期だから病院に行かないとならないと強迫観念は持つ必要もありません。
スポンサーリンク
【注目の記事】
- 「予約がとれないブランディングスタイリスト」が50代女性に向けて提言する「自分をもっと好きになる方法」って?
- 女性の毛髪への新アプローチ「S-DSC毛髪再生医療」とは?「毛の成長を促す起点となる細胞の一つを移植する」治療への期待を専門医に聞きました
- 形がきれい!合わせて着るだけで上品見えする【ユニクロ】の黒セットアップ【40代の毎日コーデ】
- 熱中症「頭が痛くなった」はもう危険スレスレ!昨年の倍搬送されている2025年、「この梅雨明けまえがいちばん危ない」これだけの理由【専門家が解説】
- 運動嫌いだった56才、ゆがみを整えたら「ネガティブな性格」を卒業できた。「離婚から立ち直り、推し活も始めました」【鬼軍曹ゆか様ダイエット】
- 48歳独身女性、立ち上がろうとした瞬間「あれ??」。このめまい、もしかして「更年期」なのかな?【マンガ100人の更年期R】
- 「まさか、私が乳がんに?」53歳でがん告知。抗がん剤で動けないつらい日々に、私を支えてくれたものとは
- 大人気【ユニクロ】ワイドスウェットパンツ。オシャレな人が購入しているカラーとは【40代の毎日コーデ】
- 「意地でもシミを増やさない」紫外線対策4つのポイント。「日傘だけでは不十分!?」50代美白のカリスマ美容家さきめぐ先生に聞いた
- 【熱中症搬送数激増中】実は6月下旬からの「高湿度」が最も危険!「さぼると熱中症リスク激増」の意外すぎる習慣とは?
- 「私の老化度、本当に54歳ぶんなのかな?」更年期以降は全員が気にしたい「自分の生物学的年齢」を計ってみたら衝撃的すぎる結果に
- 「体温が1℃下がると太りやすくなる」問題が、更年期世代の女性にとって特に深刻なのはなぜか?「お風呂に入る前たった1分でできるヤセ習慣」とは?【石原新菜先生が解説】
- 超激務ヘアメイク藤原美智子さんが「42歳で思い切って変えたこと」その顛末は?「顔も体も片側だけ引き攣った状態になるまで」働いて
- 「更年期のあと」ってどうなりそうですか?54歳コンビが語る「ここまでは冗談みたいにしんどかったけれど」の話
- 43歳、新しい職場で心が折れた。でも、25年ぶりにピアノを弾いたら胸が熱くなって──そこから私の転機が始まった
- 更年期後に「消える症状」と「そのまま残る症状」って?7万人のデータが教えてくれる「更年期の真実と、これからの人生」
- 更年期、どうやって乗り越える?運動、食事、サプリ、そして注目成分「ゲニステイン」まで、更年期の専門医が教えます
- 今の生活が「しんどい」なら「命の前借り」をしている証拠。知らずに「疲れを溜めてしまう」生活習慣とは【医師監修】
- 【徹底検証Hip Fit】はいて1日23分、ながらで使える手軽なヒップトレーニング!SIXPADの女性向けショーツタイプEMSで「ヒップから健康」は叶う?
- 「1年で約6倍」老化スピードが速い人と遅い人、その違いは?美人女医が伝えたい老化を早める3つの原因【医師監修】
- 「一度使ったらやめられない」人気スタイリストも40代編集もリピ買い中の『涼ブラ』って?「滝汗でも不快感なし」「つけ心地がラクなのに~」続々と魅了される理由とは?