「かねてからの懸案事項」この日本語の間違いズバリ言える?

「頭痛が痛い」という言葉を耳にすると、なんかダブっている感じがしますよね。「頭痛」の「痛」と「痛い」の「痛」は同じ意味だからです。では、「一番最初にすることは~」というセリフはどうでしょう? 目くじら立てるほどでもないけれど、「この子、言葉知らないな」と思われてしまう可能性もあります。このような言葉を「重言」といいます。「重言」は誤用ではありません。でもちょっと恥ずかしい言葉なのです。そんな「重言」の中からビジネスシーンで見られる重言を「10選、選んでみました!」(著者注・これも重言)

 

その1 〇〇様各位

「様」と「各位」は宛名に付ける敬称です。簡単に説明すると「〇〇様様」「〇〇各位各位」のような状態。
「〇〇様」か「〇〇各位」でOKです。

 

その2 今日中に返事を返さないと

「返事」は返すもの。ですから「返す」と繰り返さなくても良いのです。頭痛が痛い、馬から落馬すると同じタイプの重言です。
「返事をする」でOKです。上の文は「今日中に返事をしないと」となります。

 

その3 各部署ごとに対応をお願いします

「各部署」の「各」と「ごと」が同じ意味を表します。よく見かける言葉ですね。
「各部署で」や「部署ごとに」でOK
「各部署で対応をお願いします」か「部署ごとに対応をお願いします」となります。

 

その4 全て一任します

「一任する」とは「全てを任せること」です。「君に一任する」などと使います。ですのでそれに「全て」が付くと重言となります。「君を信頼して『全てを』一任するよ!」などと熱を持って伝える時には効果的かも知れませんね。文章上ではさけた方が良いでしょう。

 

その5 今の現状を説明します

「今」と「現状」の「現」が重なっています。「今の今の状態」と言っているようなもの。どちらかで十分です。
「今の状態を説明します」か「現状を説明します」でOKということです。

 

その6 あらかじめ予定していた通りの行程で

「あらかじめ」を漢字で書いてみましょう。「予め」ですよね。すると「予定」の「予」と重なっていることが分かります。「あらかじめ予約するといいでしょう」という言葉も同様に重言です。最近は、難しい漢字を使うのをやめて、ひらがなに開くことが増えています。そのことで重言に気づかない場合も増えているようです。

 

その7 一番最初・一番最後

ビジネスシーンのみならず、私が一番多いと感じる重言です。私自身もつい使ってしまう時があります。「最初」や「最後」の「最」には「一番」という意味があります。「最高=高さ・位置・程度がいちばん高いこと」「最悪=一番悪い状態であること」「最適=一番適した状態であること」からも分かりますよね。ですから、この表現は重言なのです。
「一番最初に」は「一番初めに」か「最初に」、「一番最後に」は「一番終わりに」か「最後に」でOKです。

その8 かねてからの懸案事項である

「懸案」とは「かねてから問題になっていて、まだ解決のつかない事柄」です。ですから、「かねてからの懸案事項」はいってみると「かねてからのかねてから問題になっている事項」ということになってしまうのです。この場合は「かねてから」を省いてOKです。どうしても「かねてから」という意味を付け加えたいのであれば「かねてから問題となっている事項である」と書き換えるといいでしょう。

 

その9 およそ20名ほどの参加者

「およそ」と「ほど」が同じ意味です。ですから、どちらか一方でOKです。「およそ20名の参加者」「20名ほどの参加者」のどちらかで良いということです。数字を使う場合は、気をつけるようにしましょう。

 

その10 違和感を感じる

「違和感」の「感」がダブっている状態です。この形は非常に例が多いです。「親近感を感じる」「疎外感を感じる」「圧迫感を感じる」「閉鎖感を感じる」「解放感を感じる」などなど、きりがありません。これらの例はどう直したら良いでしょうか。そうですね。「覚える」にすれば良いのです。「〇〇感を覚える」で全て解決できます。「〇〇感を持つ」「〇〇感がある」でもOK。
「違和感を覚える」「親近感を持つ」「疎外感がある」「圧迫感を覚える」「閉鎖感を持つ」「解放感がある」どうですか?バリエーションがあって素敵ですよね。

 

重言は誤用というわけではありませんが、ちょっと恥ずかしい言葉なので気をつけるようにしましょう。

 

【もっと読む】

日本語

マナーの基本

スポンサーリンク

目上の人に「お体ご自愛下さい」は失礼?NG敬語メールと文末の正解7ポイント

以前、目上の方に帰りしなに「これからも頑張って下さい!」と伝えたら、「あなたがね」と失笑された経験があります。頑張って成果を出している人に対し「頑張ってください…

「伺います」と「参ります」どちらを使うべき?意外な敬語の間違いと意味

仮に、アポイントの確認をするとしましょう。「明日、オフィスに伺おうと思います」「明日、オフィスに参ります」。メールでも電話でも、どちらも正しいように感じますが、…

敬語の3大間違い。「させていただく」「よろしかったでしょうか」「おっしゃられる」

敬語はとにかく丁寧であればいい、だからたくさん丁寧な要素を入れればいい。そう考えているなら、おそらくあなたの敬語はだいたいが間違っています。中でも代表的な間違い…

「甘味処」は「かんみどころ」じゃない⁉簡単なのに読み間違える熟語10個

「重版出来!」という速報を読んで、「○○さんの本、じゅうはんできだって!すごいね!」と伝えてくれた友人。ツッコミどころ満載でしたが「へー、すごいね!」と流しました…

こんな会話をする人は嫌われる!言語哲学者に学ぶ「4つのNG」

クリスマス・パーティ、忘年会シーズンですね。気の置けない仲間とワイワイするのもよし、職場の仲間と一年の労を労うもよし。そういう中で、自然と人が集まる素敵な会話を…

丁寧なつもりが無礼に!3つの危険な日本語「了解」「大丈夫」もう1つは

礼儀正しく言っているつもりが、実は「失礼」にあたる言葉だった。そんなガッカリなことはありませんよね。もちろん、人間なのでつい言い間違えてしまうこともありますが、…

「さすがです」は実は失礼?相手をうんざりさせる3つの敬語

敬語に関して、使う立場としては、本当に色々気を遣っているのですが、果たして敬語を受ける立ち場の方から見ると、どのような感じなのでしょうか。私も年齢を重ね、人並み…

言葉遣いを直したいあなたへ。今すぐできる2つの対策

元女性議員の暴言が話題ですが、あそこまでひどくないにしても、言葉の悪さは育ちの悪さに対するイメージと直結します。いわゆる「お里が知れる」とはこのこと。ほんの少し…

「させて頂く」とは失礼!そのワケと改善案を解説

あなたが今朝送ったメールに、「させて頂く」という言葉は何回出てきましたか? そして「いただく」を「頂く」としていませんでしたか? 今日はその2点について、どうし…

「過不足」は「かぶそく」ではない!ありがちな濁点がらみの誤読5つ

新年号が「令和」に決まりましたね。清音か濁音かという間違いがない熟語で良かったです。「平成」に元号が変わった時は、「へいぜい」ではなく「へいせい」でいいの?のよ…

「腐っても鯛ですね!」この日本語はOK?NG?

生活の中で生まれた知恵などを言い伝える「ことわざ」。ところがTPOをきちんとわきまえないと、とんでもなく失礼になることも! 今日はそんなことわざを3つ選びましたよ。1・溺れる者は藁をもつかむ解説「溺れる者…

え、「危機一発」じゃないの?オトナも間違う四字熟語5

普段使っている四字熟語なのに、読み書きする機会ってなかなかないもの。特に書く方になると怪しい人も多いのでは?今日はそんな四字熟語を5つ選びました。1・いみしんちょう解答と解説正解は「深」。「意味深長」で…

「じがじさん」を「自我自賛」って書いてない?みんなが間違える四字熟語5つ

知っている四字熟語なのに、読み書きする機会ってなかなかないもの。特に書く方になると怪しい人も多いのでは?そんな四字熟語を5つチェック!1・いきとうごう解答と解説正解は「意」。「意気投合」です。「意気投合…

「ぜったいぜつめい」「絶対絶命」でOK?簡単な割にみんな間違える四字熟語5

普段使っている四字熟語なのに、読み書きする機会ってなかなかないもの。特に書く方になると怪しい人も多いのでは?今日はそんな四字熟語をテストします。1・いしんでんしん解答と解説正解は「以」。「以心伝心」で…

「ちこ」じゃない!「知己」の読みは?大人も誤読しがちな漢字10選

読めるには読めるけど、かなり不安~。こっそり答えをググっちゃう。そんな、小学生の時に習ったはずなのに、読み方を忘れている人が多い漢字を集めてみました。1・蝉時雨答え解説時雨とは、主に秋から冬にかけて起…

「速やか」は「はややか」じゃない?即答できない漢字の読み間違い10選

今週は小学校レベルなのに読み間違えがちな熟語10選です。一つでも間違えていたらちょっと反省して!1・この町には風情がある。答え解説あいまいに「ふうぜい」と読む人もいますが、スパッと「ふぜい」と読みましょ…

「直ちに」って正しく読めてますか?意外に間違える漢字10選

「読めそうなのに、意外に読めない熟語」をリストに挙げていくと、いわゆる難読熟語だけではなく、「まさかそれが」と驚くものが出てきます。今週は小学校で習う「読めないかも?」な熟語を10コチェックしましょう。…

「発足」って正しく読めますか?意外に間違えるNG日本語10

どれも知っている漢字なのに、熟語になった途端読めないことってありますよね。そんな読めそうなのに間違っていそうで発音できない熟語を10個集めてみました。今日は有名な文学作品から引用。つい飛ばしてしまう次の…

「さかあがり」って書けてる?みんなが間違えがちな漢字の書き方10選

さかあがり。坂を上るわけではないので、「さかあがり」の「さか」は「坂」とは書きません。ではどう書くのでしょう?今日はそんな熟語を10個集めました。1・子どもの頃は、日が暮れるまでさかあがりの練習をしたも…

「きゅうきゅうしゃ」って書ける?意外とみんな間違える漢字

今日は読めるのに、書けそうで書けない熟語を集めました。いざというときに「あれ?どう書くんだっけ?」と慌てないよう、しっかり準備しましょう。下線部のかなを漢字に直しなさい。そう、漢字テストですよ(笑)1・…

スポンサーリンク

スポンサーリンク

注目の記事

WORKに関する最新記事