岩井志麻子 40代「オバサンと呼ばれたくない」女性がいて

2018.06.12 LIFE

オバサンと呼ばれたくない。と、真剣にいう一回りほど下の女性がいて、きょとんとしてしまった。

誰も呼んでないじゃん。

そりゃ世間一般的にはギャルじゃないけど、おしゃれだしきれいだし。

私も彼女が年下というのもあるが、オバサンなんていわないよ。

韓国では「アジュンマ」だけど

韓国では娘さんはアガシ、中年女性はアジュンマで、ごく普通にウェイトレスや店員やその辺の女性にアガシ~アジュンマ~と呼びかける。それを失礼ねと怒る女性はいない。

日本国で、ウェイトレスなどにそこのネエチャン、と呼びかけたり、たまたま近くにいた見知らぬ中年女性を、何か用があってもそこのオバサン、と呼び止めたりはしないよね。

あの~、すみません、そこのあなた、と曖昧に呼びかけるのが一般的かつ常識だ。

面と向かってはいわれない

私も韓国に行けばアジュンマと呼ばれるけど、それが文化の国だとわかってるから問題なし。

我が国ではごく親しい友達に、このオバサンやばい、などと冗談でいわれることはあっても、仕事関係者やそこまで親しくない友人知人、店員などにオバサンと面と向かっていわれたことはない。

私に限らず、ないよね、普通は。

だから、オバサンと呼ばれたくない、という四十路の女性の発言が不思議だった。

思われるのは仕方ない

誰に呼ばれてるの?と聞けば、呼ばれたことはない、という。

要はオバサンと思われたくない、ということなのだった。

気持ちはわかるけど、そりゃ不可能でしょ。

他人の心や気持ちはコントロールできないし、どう感じようが思おうが、それは個人の自由。

そういうあなただって他人を見て、口には出さなくてもそれこそオバサンぽい、とか、肥ったなぁ、とか、カワウソに似てる、とかいろいろ失礼なことを思うはずだ。

どんなに若く見えても

思われたくない、というのが、いわれたくない、に直結するのもわかるけど、その間にはかなり距離がある。

あなただって他人にいわないよね、思ったまんまを。

この国の人は忖度と遠慮はかなりのものがあるので、「思う」と「言う」の距離の長さは世界一かも。

だから、思われたくないにこだわりすぎ、その距離が一気に縮められる、つまりオバサンと呼ばれるのはイヤだ!なんてむやみに不必要に恐れるなら、人魚の肉でも食って永遠の若さを手に入れるしかない。

どんな若作りしたって、四十過ぎは娘さんではない。

いや、四十すぎて娘さんと思われたいなんて、オバサンぽいことよりヤバいよ。

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この記事は
作家 岩井志麻子

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