「参考になりました」はNG?さりげなく失礼な敬語3選

敬語というものは、頭では分かっていても、いざ目上の方やお客様を相手にした時に、口からパッと出てこないもの。また出てきても、目上の人に失礼な言葉を言ってしまうこともあるでしょう。ただ、正されるチャンスがないと、そのまま使い続けてしまいます。そして、そのまま身分も上がり、恥ずかしい敬語を使い続ける人も少なくありません。失礼な敬語の代表的なものが、尊敬語の代わりに謙譲語を使ってしまうものです。

今回は、その中でもさらに代表的な「参」という漢字が付く言葉についてまとめてみますね。

 

「筆記用具をご持参ください」

これは、ある文章講座のご案内にあった言葉です。目を疑いました。一般の方から来たメールなどでは、目をつむることもありますが、文章講座でこれはないと思います。ではどうして「ご持参ください」はNGなのでしょうか。

「持参する」は「持って参る」つまり、この「参」は「参る」の「参」です。
つまり、自分の行動に対して使います。相手の、特に目上の人の行動に対しては使いません。
「(私が)筆記用具を持参します」などのように使うのが正しい使い方です。

  • 飲み物は各自ご持参ください。
  • 当日は雨具をご持参ください。
  • 資料をご持参くださいますようお願い申し上げます。

おそらく「ご」や「ください」が付いているので、丁寧な印象を持つのでしょう。けれど、「持参」という言葉が謙譲語ですので、いくら「ご」や「ください」を付けても、丁寧に「お願い申し上げます。」を添えても、尊敬語にはなりません。

ではどう言い直したらいいのでしょうか。

 

「お持ちください」でOK

ご持参くださいは、謙譲語にお願いが交じったおかしな日本語です。「参」がついたらちょっと怪しいと思ってください。

  • 飲み物は各自お持ちください。
  • 当日は雨具をお持ちください。
  • 資料をお持ちくださいますようお願い申し上げます。

ね。シンプルで意味も通じやすいですし、敬語としても正しいです。「ご持参」という言葉自体を使わないように気をつけましょう。

 

「参考になりました」

こちらは、有名な誤用なのでご存知の方も多いのではないでしょうか。

  • 今日の講義は、大変参考になりました!
  • 先生のお話は、参考になります!
  • その方法は素晴しいですね。参考になります!

とっても感激してくださっているのは感じるのですが、軽くずっこけてしまいます。

「参考」というのは、「自分の考えの『足し』にすること」です。
先ほどの例で言うと、

  • 今日の講義は、大変参考になりました!私の学びの足しにしますね。
  • 先生のお話は、参考になります!自分の意見を確立する時の足しになりそうです。
  • その方法は素晴しいですね。参考になります!足しにしてみます!

ちょっと大げさですが、こんな感じです。失礼だということが分かると思います。

本来は「その文献を研究の参考にする」「反論も参考意見として受け入れる」のように使います。
自分には論じたいものがあり、それを補助的に支えるもの、というような意味があります。

ではどう言い直したらいいのでしょうか。

 

「勉強になります」でOK

謙虚な姿勢で相手の言動などを学ぶ時は「勉強」を使います。
先ほどの例ですと、

  • 今日の講義は、大変勉強になりました!
  • 先生のお話は、勉強になります!
  • その方法は素晴しいですね。勉強になります!

これでOKです。自分の話が「勉強になる」なんて言われたら、大抵の人は良い気分になりますよね。
「参考にする」とは程度が違うことが分かります。
ですから、逆に、自分のことをへりくだって言う時には使えます。

  • 参考になれば幸いです。
  • 参考にしていただけますか?
  • 参考までに目を通してくださいますようお願いします。

こちらの「参」は「集める」という意味で、謙譲の意味はありませんが、気をつけたい熟語です。

 

「一緒に参りましょう」

「〇〇さん、会議室は何階だったかね?」
「8階です。部長、一緒に参りましょう」

部長さんは怪訝な顔をされたのでは?
こちらの「参」には「参る」という意味があります。「ご持参」の「参」と一緒ですね。
「行く」「来る」の謙譲語、丁寧語です。
面白いのが「行く」と「来る」という二つの相反する行動、どちらにも使えるという点です。「来る」の丁寧語となると、相手の行動にも使えるのかと思いますが、そうではありません。「行く」「来る」の意味の「参る」は、自分の行動に使います。

  • 私が参ります。(行く)
  • お迎えに参りました。(来る)

部長さんと一緒に8階に行く時は、自分もそこに入るのですが、「参る」は使いません。
例外的に、この部長さんもこちらと同等になるような場合、例えば、二人で、もっともっと身分が上の人と会う場合などは、この部長さんも一気に自分の「身内」感覚になります。日本語は複雑ですね。
身分が上の人が皆を統率し「参りましょう」という場合は使えます。「それではみなさん、そろそろ参りましょうか」というように使えます。

ではそうではない場合は、どう言い直したらいいのでしょうか。

 

「参ります」「お供します」で

この場合は、そもそも「呼びかけ」をする状態が失礼ということなんですね。「一緒に行きましょう」と呼びかけること自体が失礼というわけです。

「〇〇さん、会議室は何階だったかね?」
「8階です。私も参ります。」

 

自分のことにしか使えない言葉を、相手に使っていいのか、相手も仲間にしてしまって良いのか?という視点で考えると分かりやすいと思います。

 

【松嶋さんの人気記事トップ3は……】

「ご自愛下さい」は実は失礼?デキる社会人のメール文末7ポイント

「伺います」と「参ります」どちらを使うべき?意外な敬語の間違い

敬語の3大間違い「させていただく」「よろしかったでしょうか」あと1つは?

この記事を友達に教えたい!と思ったら、シェア!

 

この記事が面白かったら

「いいね!」してね

 

「ご自愛下さい」は実は失礼?デキる社会人のメール文末7ポイント

以前、目上の方に帰りしなに「これからも頑張って下さい!」と伝えたら、「あなたがね」と失笑された経験があります。頑張って成果を出している人に対し「頑張ってください…

「伺います」と「参ります」どちらを使うべき?意外な敬語の間違い

仮に、アポイントの確認をするとしましょう。「明日、オフィスに伺います」「明日、オフィスに参ります」。どちらも正しいように感じますが、本当はどちらを使うべきなので…

敬語の3大間違い「させていただく」「よろしかったでしょうか」あと1つは?

敬語に自信がある人はそういません。でも、スマートに使えたら、どんなにいいか!今日は、不安から来る「させていただく症候群」「よろしかったでしょうか症候群」「二重敬…

こんな会話をする人は嫌われる!言語哲学者に学ぶ「4つのNG」

クリスマス・パーティ、忘年会シーズンですね。気の置けない仲間とワイワイするのもよし、職場の仲間と一年の労を労うもよし。そういう中で、自然と人が集まる素敵な会話を…

丁寧なつもりが無礼に!3つの危険な日本語「了解」「大丈夫」もう1つは

礼儀正しく言っているつもりが、実は「失礼」にあたる言葉だった。そんなガッカリなことはありませんよね。もちろん、人間なのでつい言い間違えてしまうこともありますが、…

「させて頂く」とは失礼!そのワケと改善案を解説

あなたが今朝送ったメールに、「させて頂く」という言葉は何回出てきましたか? そして「いただく」を「頂く」としていませんでしたか? 今日はその2点について、どうし…

「さすがです」は実は失礼?相手をうんざりさせる3つの敬語

敬語に関して、使う立場としては、本当に色々気を遣っているのですが、果たして敬語を受ける立ち場の方から見ると、どのような感じなのでしょうか。私も年齢を重ね、人並み…

「すみません、私にはできません」とか言ってない?いつまでも若者気取りの敬語5選

四月。真新しいスーツに身を包んだ新入社員らしき若い人達をよく見かけます。スーツだけでなく、バッグやかばんも新品で、初々しさが全身にあふれ「がんばって!」と心の中…

40代が使うと痛い3大クチグセ「○○」「すごく」「あと」

40代ともなれば、世間的にも社会的にもしっかり模範となる立場の年齢。いつまでも若々しくありたいという気持ちは大切ですが、若いときと違い「責任」が出てきます。プライ…

言葉遣いを直したいあなたへ。今すぐできる2つの対策

元女性議員の暴言が話題ですが、あそこまでひどくないにしても、言葉の悪さは育ちの悪さに対するイメージと直結します。いわゆる「お里が知れる」とはこのこと。ほんの少し…

「返信ください」はかなり失礼?敬語・丁寧語、日本語の誤用を防ぐ簡単な2ポイントとは

「〇〇を返信ください」「〇〇に参加くださいまして……」「〇〇を利用ください」。このような誤った日本語が、世の中にはびこるようになってきました。もともとは20年ほど前からネット上でよく見かけた言葉で、私も、…

「大丈夫です」はNG日本語?トラブルの原因になる敬語と丁寧語

「奥さん、この商品をお買い求めになりますか?」こう聞かれて、「大丈夫です」と言ったら、自宅に商品が届いた。そんな詐欺の話を聞いたことがある人もいるかと思います。これは消費者相談センターで解決すべきトラ…

「お座りください」は実はNG!?失礼な敬語と正しい言い換えは

「お待たせしました。時間に少し遅れてしまいましたね」「いえいえ。暑い中ありがとうございます。どうぞこちらにお座りください」「……」。この言い方を失礼だととらえる人がいるということを覚えておきましょう。実…

「領収書をお返しします」は間違い?丁寧なつもりでNGな日本語

「バイト敬語」と呼ばれる敬語があります。もちろん正式な分類ではありませんが、主に接客業で使われ、文法的におかしなもの、言われて違和感のあるものです。日本語の乱れとしてやり玉に挙がっています。言語学的に…

毎回「お世話になっております」はNG? 印象が悪い3つのメール

あなたは、仕事で、一日何通くらいのメールを書いていますか?メールで大切なのはもちろん「用件」です。結論を先に明快な形式でメールを書くことは大切ですが、そのメールの頭に付ける文、時と場合によって、きちん…

「お待たせしました」は実はNG?気をつかったつもりで失礼な日本語

「お待たせしました。レポートを提出します」調査や研究を始め、リサーチでもアンケートでも、イベントでも、確かにレポートは早くほしいもの。その提出が遅くなってしまった場合、「お待たせしました」と言われると…

いい年して「チョー暑い」とか言わないの!普段から気をつけたいNG日本語

暑中お見舞い申し上げます。連日更新される高温記録に驚いていますが、ニュースなどの街角インタビューで「超暑い」という言葉が多用されているのを耳にします。この「超」という接頭語、実は40代の教養ある女性とし…

まさか「感謝です」なんて言ってない?NG敬語の3パターン

ビジネスシーンで「まじリスペクトっす!」なんて言うのは冗談だとして、「感謝です」「ファイトです」「しばらくです」というような、敬語でも何でもない言葉を言っていませんか?中高生ならまだしも、社会に出た人…

「助かります」は実は失礼?軽率な日本語の2つのNG

最近、立場が下の方から、このような文が入ったメールが届きました。「先生のその姿勢、見習いたいな、と思いました。」私は、ちょっと違和感を覚えたのですが、私情も入るのかと思い、こっそり他の方に聞いてみたと…

まさか「行けれる」なんて言わないよね? 教養のなさが見えちゃう「れ足す言葉」って?

「れ足す言葉」という、言葉があります。「ら抜き言葉」は有名なので、ご存じの方も多いと思いますが、「れ足す言葉」とはいったいどのような言葉なのでしょうか。可能を表すのに、ついつい「れ」を入れてしまう「れ…

スポンサーリンク

スポンサーリンク

WORKに関する最新記事