「貯蓄2700万円でも安心できない」60歳女性・夫の急死で年金が月25万円→14万円に⁉ もしも今、夫が亡くなったら「おひとりさま」でも生きていけるお金はある?
おひとりさまで亡くなるまでに、いくらかかる?元気なうちに、高齢期のおひとりさま対策を検討する
国立社会保障・人口問題研究所の報告※によると、65歳以上の世帯に占めるひとり暮らしの割合は、2050年には45.1%に増えると予想されています。今ひとり暮らしの人だけでなく、家族と暮らす人もパートナーに先立たれるなどしておひとりさまになる可能性は高いといえるでしょう。
高齢期のひとり暮らしに備えて考えておきたいのは、体力や判断力が衰えたときのこと。元気なうちから、体調の不安を相談できるかかりつけ医や、入院や施設の入所時に必要な身元保証人を決めておきましょう。
身元保証人を頼める人がいない場合は、住んでいる自治体や社会福祉協議会(社協)が提供している高齢者向け支援サービスをチェック。認知症で判断能力が衰えたときに備えて司法書士などと任意後見契約を結ぶ、亡くなったあとの事務処理を民間の高齢者等終身サポート事業者に依頼するなどの方法もあります。
自分に合った方法を検討して、費用を見積もっておくと安心です。
※「日本の世帯数の将来推計(全国推計) 令和6(2024)年推計」
おひとりさま向けの終活支援
【自治体・社会福祉協議会】
・見守りサービス・家事支援など
ひとり暮らしの高齢者に通報機器を配布したり、トイレなどに人感センサーを配置したりして、安否を確認。高齢者の家事支援や配食サービスを行う自治体も。急な体調不良やケガに備えて、持病や服用している薬の情報、かかりつけ医、緊急連絡先などを書いておく「緊急医療情報シート」を配布している自治体も多数あります。
・日常生活自立支援(認知症支援)
社会福祉協議会(社協)が、預貯金の出し入れや公共料金の支払いなどをサポートしてくれます。通帳や印鑑の預かりも可能。認知症初期で、判断能力があるうちに依頼するのが条件。
・終活支援
エンディングノートを配布する自治体が多数。かかりつけ医、墓の所在地などの情報を登録すると、いざというときに支援してくれる自治体も。
また、2024年度から、高齢のおひとりさまの支援として、①相談・調整窓口をつくり、見守りや法律相談、終活支援などを行う、②十分な資力がない人向けに身元保証、日常生活支援、死後事務支援を行う、2つのモデル事業が始まり、川崎市や岡崎市など9の自治体が実施中。
費用:自治体や委任内容によって異なる。社協の日常生活自立支援事業は、相談は無料、サービスは有料。
注意点:自治体や社協によって、サービスの有無、内容が異なる。
【司法書士などの専門家】
・任意後見契約
認知症などで判断能力が低下したときに備えて、自分が信頼できる人(任意後見人)を選び、財産管理や施設入所の契約などしてもらいたいことを契約しておく制度。任意後見人は、家族、弁護士、司法書士などから選ばれます。任意後見人への報酬は通常無料または謝礼程度。任意後見監督人(司法書士や弁護士など)への報酬月額は2万~6万円。他に公正証書作成の手数料などが必要。
・身元保証サービス
入院時や施設入居時などに身元保証を行うサービス。「見守り・財産管理・運営・任意後見・死後事務委任」をセットで提供するところも。
・死後事務委任契約
亡くなったあとの事務処理を依頼して、委任する契約。
費用:身元保証料30万~50万円、月額費用3000円~1万円(サービス内容などで異なる)。
注意点:任意後見契約では、任意後見人が代理で契約できます。ただし、本人がまちがって売買契約などを結んだ場合にその契約を取り消す権利はありません。地域包括支援センターや法テラスに相談を。身元保証サービスは、入会金などが高額でないか、セットに必要ないサービスが多く含まれていないか確認を。
【高齢者等終身サポート事業者】
・身元保証や見守り、日常生活支援、死後事務委任契約など
費用:契約時に、預託金100万~200万円など、サービス利用料1時間3000~5000円など
注意点:料金体系がわかりづらいこともあるので、入会時にしっかり確認を。契約時に必要な費用と報酬をまとめて預ける「預託金」の保管先もチェック。運用資金と同じ口座に入れていると、万一破綻したときに費用が戻らないリスクがあります。
【銀行・信託銀行】
・代理出金機能つき信託
体力の低下や認知症などで口座の管理ができなくなったとき、指定した代理人(家族、弁護士、司法書士など)が出入金を行える信託。アプリを使って、出入金の記録を家族で共有できる銀行も。年金から、毎月指定額を指定口座に払い出す機能なども。
費用:設定時と毎月の手数料がかかります。金額は金融機関で異なり、設定時に信託金額の1~3%、月額管理料500~5000円など。
注意点:お金の動きを知るのが代理人だけだと、トラブルの原因になりがち。他の家族と情報を共有することが大事。
他に認知・判断能力が低下したあと、家族に資産管理を任せる「家族信託」、代理人(たとえば家族)による有価証券の売却などができる「予約型代理人サービス」などがあります
ここまでの記事では主に、考えておくべき「老後ひとりになったときのプラン」について事例とともにご紹介しました。つづく関連記事では、「子どもがいない夫婦の老後の家計」をお届けします。
つづき>>子どもがいない夫婦ほど「老後資金は多く必要」って本当?50代夫婦の失敗例から学ぶ!DINKs家計の見直し方・公的年金の増やし方【お金のプロが解説】
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■井戸美枝(イド・ミエ)
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、社会保険労務士。講演や執筆、テレビ・ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門に情報を発信。厚生労働省社会保障審議会 企業年金・個人年金部会委員を歴任。国民年金基金連合会理事。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに数々の雑誌や新聞に連載をもつ。著書には『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(日経BP社)、『知らないと増えない、もらえない妻のお金新ルール』(講談社)、『ゼロ活 お金を使い切り、豊かに生きる!』(扶桑社)など累計刊行部数96万。
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