判明した病名は「重度の貧血」。えっ、どうして…?【100人の更年期#15後編】
こんにちは、美容やファッション、ヘルスケアの分野を執筆する田中です。現在47歳です。前編では「なんとなく体調の悪かった私があわや黄疸?病院にかかるまでの大騒ぎ」をお伝えしました。結果、私の身体に判明したのは…。
>>(前編)それって本当に更年期? だるさ、疲れ、動悸の原因は別にあるかも?
【100人の更年期 ♯15(後)】
内視鏡検査では胃と大腸からの出血がないかを見る
手が黄色いことは黄疸でないことがわかったので、まず一つ心配ごとがクリアになりました。ただ、ひどい貧血、動悸が激しい心臓、という新たな2つの心配が浮上。
「子宮筋腫があるんですよね? 本当にこれが貧血の原因なのか、胃と大腸を見る必要があるんですよ」
内臓から知らないうちに出血があるとこれも貧血の原因になるので、一つずつ貧血の原因をつぶしていくのが目的だと、消化器内科の医師は話してくれました。
胃の内視鏡検査と大腸内視鏡検査を立て続けにうけましたが、幸いどちらも出血箇所はなく、貧血の原因はもともとある子宮筋腫が原因ではという結論が見えてきました。
モニターで胃壁の画像を見ながら、医師は
「普通はもっとね、胃の中はピンク色なんだけど、あなたの真っ白でしょ。これも貧血だからなんだよね」
確かに、私の胃壁はうすベージュ色。なにか見覚えがある。何だろう。そうだ、血抜きしたホルモンだ…
「体の中の鉄分がほぼ空っぽ」の状態だった私
胃と大腸からの出血もなく、心配ごとがまた一つクリア。あとは、循環器内科での心臓のエコーと血液検査の結果を聞きに行くだけ。胎児の心音は聞いたことがあっても、自分の心音を聞くのは初めてで、画像を検査技師とチェックしていきました。
「エコーで見ると、血流もいいし、静脈も太くてよく動きが見えたし、心配ないですね。ですが、血液検査の結果を見て貧血がひどいのがわかったので、追加して調べたんですが、ここ見てください。貯蔵鉄も空っぽなんですよ」
血液検査の項目で赤血球の数が極端に少なかったため、検査項目を追加したんだそう。全然知らなかったのですが、血液中だけでなく、実は肝臓にも貯蔵されている鉄分があって、その検査をしたら、見事にそこも基準値ギリギリ。全く足りてない状態だったのです。
少し前に胃と大腸の内視鏡検査を受けて、出血がなかったこと、子宮筋腫があること、過多月経の傾向だということも伝え、先生に指示を仰ぎました。
「鉄分が足りてない状態が続いていると、ゆくゆくは心臓に負担がかかってくるんです。いまのうちに治したほうがいいので、鉄剤をひと月分処方しますから、飲み続けてください。飲んだらすぐよくなると思いますよ」
子宮筋腫、過多月経由来の貧血が疲れやすさ、動悸の原因だったのかも
過多月経になったのも40超えてから、ここ数年のこと。数ヶ月前の不調で、いくつか婦人科にかかったときは、閉経までゆっくりと向き合っていくしかないですね、とふわりとした感じで「子宮筋腫にもいいから」と漢方薬を処方されてはいました。
ただ、今回、皮膚が黄色いこと、心臓の動悸が激しく心配になったことで受診した消化器内科や循環器内科では、先生からこの貧血はまずいですよ!という気配が感じられ、貧血の治療のために通常の倍の鉄剤が処方されました。
先生にも貧血のことについて聞きましたが、自分でも調べ始めると思い当たる症状が続々と。どれも更年期に見られる症状と似ていて、「疲れがとれない」「だるい」「イライラする」。「動悸が激しい」ももちろんありました。
脳内物質にも影響を与えて、うつ病にまで発展する?ということまで書いてあるものも。あと、忙しさにかまけて、栄養が偏った食事ばかり、しかも食べる量も多かったり、食べないときもあったりとぜんぜん気に留めていなかったことも、貧血を加速させる原因になったと思います。
鉄剤を飲み始めて数日で効果は現れました。「全然心臓がバクバクいわない!」「ダルさが減った?」
貧血対策をすれば必ず結果が現れる
女性は貧血の人が多いので、貧血当たり前のような感じがして、とくに対策をとっていない人が多いのでは?という気がします。
今回貧血がすべての原因だったみたい、と友人知人に話してみても、「脳貧血でよく倒れた(鉄分不足の貧血と別物)」とか「いつも健康診断で貧血って言われる」など、反応が軽いことが多かったです。
そんな私もそうで、筋腫も過多月経もあるのに、このなんとなく不調は全て年齢と更年期のせいにして、貧血とは全く結びついていませんでした。
今回、あまりなじみのなかった診療科にかかったことで、「貧血=治療がきちんと必要ですよ!」と喚起してもらった気がします。
生きるための基本中の基本「血液」の質、大事なんですね……。鉄欠乏性貧血ということは、簡単にいうと酸素を運ぶ赤血球、ヘモグロビンの数が極端に少ないので、体を動かすと酸素が回っていかないわけなのです。
すると血液をどんどん体中に回さないと!と心臓が頑張って動いてしまい、動悸が激しくなるわ、疲れるわという状態に。これが貧血=心臓に負担がかかることの意味か、と体をもって理解したのでした。
原因がよくわからない不定愁訴「だるい」や「疲れがとれない」という同世代の皆様、その不調は更年期かなとひとくくりにしてしまわず、一度貧血を疑ってみてほしいなと思いました。
貧血対策をするだけで、私のようにあのだるさや動悸の激しさ、息苦しさ、疲れやすさがみるみる改善していくのですから。多少は更年期もあるかもしれないけど、隠れ貧血によるものだとしたら、不定愁訴への対策ができるというのは朗報だと思います。
それにしても、私の黄ばんだ手のひらはなんだったのか。貧血による赤みが全くない分、皮膚の色がダイレクトに見えており、つまりただの超絶イエベ肌が判明しただけなのでした。
周囲の反応、とりわけ家族の反応
友人知人の反応としては、貧血に対する軽い認識と反応だったことはお伝えしましたが、いい機会だと感じ、当記事の原稿を夫に読んでみてもらうことにしました。
すると案の定、「すごい!あらためて大変だったのか、申し訳ない」とメッセージがきました。
すごいって何が、とはツッコミませんでしたが、救急外来にいくときも、検査結果も随時伝えていたのですが、メッセージのやりとりが主。結果を伝える文面だけ見れば「異常なかった」「よかったね」と簡素なもの。
大病ではなかったものの、その裏であーでもない、こーでもないと病院選びに頭を悩ませたり、安堵したり不安になったりした心の動揺っぷりまでは、詳細に伝えない限りわかるわけないかぁーと至極当たり前のことを思いました。
「結果OKなら大丈夫!」って思う男性と、「結果OKだけど、色々あって大変だったのをわかって!」と思う女性、の違いも浮き彫りになった気がします。その単純さに救われることもあるので、男女の違いってよくできてるなと。
思い返せば不安が強いときは些細なことで子どもにあたってしまったときもあり….。割り切っているようで、できてなかったという、めんどくさい自分が出てしまっていたのも確か。できるだけ客観的にいようとしていましたが、もう少しSOSを出してもよかったのかもしれません。
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