
50歳、ある日突然「乳がんステージⅡA」と診断され、息つく間もなく「全摘か温存か」選ばねばならなくなる。出した結論は
がんと宣告された後、どう考えてどう生きるかは、2人に1人ががんにかかるといわれる現代社会のテーマの一つです。約1年間の小葉がんの治療に全力で向き合い、その体験を赤裸々に語り続けた梅宮アンナさんが先の5月に突然の結婚を報告したのは本当に喜ばしいニュースでした。
今回は、がんと向き合うことで結婚を決意するに至ったひとりの女性の実話をご紹介します。
50歳、見つけたしこりに「乳がんじゃないとお墨付きをもらいたいから」病院に行きました
都内で化粧品会社を経営する板橋理恵さんは、幼いころから体が丈夫で、大きな病気をしたことがありませんでした。病気とは無縁な学生時代を過ごし、旅行代理店や議員秘書などのキャリアを経て、30歳で今の会社の前身となるサプリメント会社を始めました。自社のサプリメントを自らが積極的に摂るようになったことも加わり、板橋さんはますます健康に自信を持つようになりました。
そんな板橋さんが50歳になった年のある日のこと。何気なく右胸に手が触れたとき、しこりのような塊があると感じました。
「実は、前にも一度、右胸に何か硬い異物を感じたことがありましたが、そのときは大して気にしていませんでした。ですが二度目ともなると、さすがに『乳がん』の言葉が頭をよぎり、不安になりました」
とはいえ、これまで大きな病気とは無縁で、30代からサプリメントを摂り続けている板橋さんにとって、乳がんなんてありえないこと。板橋さんは、自身が乳がんでないとお墨付きをもらうために、乳腺外科に行きました。
ところが結果は「乳がんステージⅡA」。突然「部分切除か、全摘出か」選ぶ日がきた
乳腺外科で検査をした結果は、まさかの「乳がんの疑い」でした。健康のお墨付きをもらうための来院が、まさかの逆お墨付きをもらうことになったのです。
「触診、マンモグラフィー、エコー検査の結果からしこりが確認されたため、もう少し詳しく調べるための検査をすることになりました。検査結果は1週間後だったので、結果を聞くまでずっと、これからどうなってしまうのか、別の場所に転移していないかと、不安な気持ちになりました。同時に、なんで自分が乳がんになったのか、原因が分からずもやもやしました。もしかすると、女性ホルモンの分泌をよくするサプリメントを摂っていたので、それを摂り過ぎたのかもしれないと思いましたが、真の原因ははっきりしていません」
1週間後、検査の結果、正式に乳がんと診断されました。これまで健康自慢だった板橋さんにとって、ある日いきなり乳がん患者になる現実は受け入れがたく、一瞬、思考が停止したような感覚になりました。
乳がんと診断されると、次に転移の有無や範囲を調べる検査を受けることになります。結果は、ステージⅡAでした。ステージⅡAとは、しこりの大きさが2センチから5センチ以下で、他へ転移していない状態をいいます。
板橋さんに提示された治療法は、患部の部分切除か右胸の全摘出の二択でした。
部分切除の場合、切除した部分以外のバストの形は残りますが、悪性細胞を体内に残さないために、手術後に放射線治療を行うことになります。
全摘出すれば、放射線治療は不要で再発リスクも低くなりますが、 右胸がなくなります。また、乳房を再建する場合は、二度の手術が必要です。
「究極の二択でした。そして熟考の結果、私は全摘出を選びました。理由は、放射線治療を受けたくなかったことと、全摘出して再建するほうが、私にとっては気が楽だと思ったからです」
ちょうど、全摘出に限り人工乳房の再建が保険適応になったばかりのころだったことも後押しになり、板橋さんは右胸の全摘出を決めました。
私の体から「右胸」が消えた。でも、悲しいよりも「無事に成功してほっとした」気持ちが大きかった
大抵の人が「私もそうだった」と振り返るようですが、板橋さんもまた手術が決まってから当日まで、セカンドオピニオンに相談したり、乳がんについて勉強したり、無数に押し寄せてくるTODOをこなして休む暇もなく多忙に過ごしました。ただ、痛みは特に感じなかったため、仕事も変わりなく続けていました。幸か不幸か仕事が忙しく、仕事をしている間は病気や手術への不安を忘れられたといいます。
そして板橋さんは入院して手術を受け、右胸を全摘出しました。全摘出と同時に再建術を受けたため、目が覚めたときにはエキスパンダーが入った状態の胸がありました。エキスパンダーは、胸の皮膚を引き延ばす風船のような器具で、皮膚を伸ばした後にシリコンと入れ替えます。(自分の組織を使う方法もある)
「右胸を見たら、無事に手術が成功していたので、ほっとしました。がんが取れてすっきりしたので、ドレーン(体内に貯留した血液や浸出液などを体外に排出する管)を早く取って明日にでも退院したい気持ちになりました」
手術翌日から、退院に向けて歩行リハビリが始まりました。入院中は時間に余裕があったため、板橋さんは1日1万歩を目指し、病院内を歩きまわりました。看護師からは「さすがに1万歩はがんばりすぎです」と言われたそうです。
人はだれでもがんになり得る。がんの予防・早期発見啓もうもスタートした
1週間の入院生活を終え、無事に退院した板橋さんは、徐々に体を慣らしながら普通の生活に戻っていきました。
「がんになったことはショックでしたが、ちょっと無理をしすぎという警告だったと今は思います。幸い発見が早くて命はつながりましたが、人はいつか死ぬと再認識しました。そのときに後悔しない人生をおくろうと、このとき強く思いました」
誰でもがんになる可能性があること、早期発見で治る病気であることを経験した板橋さんは、自身の会社『MTコスメティクス』を、乳がんの予防・早期発見・早期治療を啓蒙するピンクリボン運動のオフィシャルスポンサーにし、自らも啓蒙活動を始めました。
「病気や薬の投与で、肌がひどく乾燥したりニキビができたりして悩む人がたくさんいます。私自身もそうでした。私は自社(化粧品会社)の次の使命として、病気や薬の影響で肌の状態が変わってしまった人たちに、少しでも健やかな肌状態を保って、明るく笑顔で過ごせる化粧品を作ろうと決意し、現在開発を進めています」
ここまでの記事ではがんの発見から治療までをお聞かせいただきました。関連記事では乳がん治療後に「結婚」を思いたち、みごとゴールインするまでの「驚きばかりの」エピソードを伺います。
▶▶「生涯独身で生きていく」つもりだった50歳女性社長が乳がん治療後に「結婚相手の条件リスト」を作った納得の理由
板橋 理恵さん
MTコスメティクス 株式会社 代表取締役 「結果の出るスキンケア開発」を決意し、美容医療プロフェッショナル向けメディカルコスメカンパニー「MTコスメティクス」を起業。美容施設専売の化粧品にも関わらず、国内外の女性誌で数々の賞を受賞。現在、国内約6,500軒のクリニック・エステへの導入の他、世界11か国に展開中
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