リバウンドしそう!なときの、万年ダイエッター流「気持ちの切り替え」術

ダイエット、それは終わることがないものかもしれません。ふとその無常を悟る日もあるでしょう。そんなとき、「休む」決断をしてもいいのです!今週はそういうお話になりました。

【人生最後(かもしれない)ダイエット戦記】Vol.8 
あらすじ:「ピンときたダイエット方法はあれこれ迷わず即試す」というポリシーのもと、
ダイエットドキュメンタリー連載を開始した藤井。10/3の第1回では63.8㎏をマーク。
第7回では、禅僧式の食欲コントロールにチャレンジ。が、行ってはいけない世界に行きかけました。
そんなアルティメットダメ人間・藤井が今回もやっぱりコケてます。

親友の指摘・「私が痩せない理由」

 

変わらぬ体重計の数値(骨格筋量は増えているのが不思議)、変わらぬボディライン…。新陳代謝が低下するアラフィフとはいえ、あまりにむごい現実です。

 

前回、登場したSくんにも若い頃から指摘されていることがあります。それは「世の中思い通りにならないから、自分のことぐらい好きにさせろや」という私の自分に対する執着です。

 

Sくん曰く

 

「自分が好きにできるなんて、大きな錯覚だから。思考は流れる。人も流れる。同じでいることもなく、自分の意志も自分の思うようになることはない。コントロールできるものは何もない」

 

頭がガンガンするレベルで正しさが身に沁みます。これが現実です。ダイエットであれこれやってみても、ほぼ満足できる結果を得られていないことがいい見本ではないでしょうか。思い通りになるものはないのです。

 

アラフィフまで、こういう当たり前のことに気が付かないからダメなんだよなあーぁ。しばし、むせび泣きしておりました。

Sadness and emotional distress. Stressful situation in work trouble and anxiety. Young woman in white shirt cry.

 

この泣いている数秒で決めたことがあります。

 

「1週間だけダイエットを休んでみよう」

 

自分というものがあるという幻想から生まれる「自己コントロール」への意志を手放し、1週間だけ流れるままに生きるのです。ダイエットなんて「自己コントロール」への執着でしかありません。英断とあえて申しましょう。

 

ダイエットを休む1週間だけ、なすがままに生きてみよう。なんだか心が軽くなってきました。執着するから、うまくいかないのです。このところオトナサローネも禅な記事が掲載されていますから、こちらにも乗ってしまいましょう。

 

やっちゃうよ。

 

ふふふ…ふふふ…フハハハハハ!

 

ダイエットを休むということは、ずーっと我慢し続けていたものを食べてもいいのよね、となるのも歯止めが効かなくなるのも無理はありません。実はダイエットを決意してから、完全に避けていたものがかなりあったのです。

 

1週間の期限付きだから禁止食品を食べちゃうよ?「おデブ」直行コースなものを食べるよ?ふふ、自らに禁じていたものを食べることを私は決めたぁ!と言い聞かせて厳選しました。

 

まず糖質と脂質の塊であるラーメンです。それも野菜たっぷりでダイエットしているという自覚をキープさせるなんて美しい精神(気休め?)を捨てて食べます。ごっついの食べます。フハハハハ!

miso roasted pork fillet ramen Japan

 

アメリカ人が「トマトが乗っているから野菜」とジャッジしても、日本人には糖質と脂質の塊でしかありえないピザも食べます。野菜らしき存在はトマトソースだけですよ。乳製品アレルギーとも、小麦アレルギーとも無縁だし!フハハハハ!

Pizza Margherita Basilico

 

どうして糖質と脂質の塊はこんなにもおいしいのでしょう。人間の舌は甘味・辛味・酸味・苦味・うま味を感じ取れると言いますが、おそらく炭水化物と油脂の味も感じ取っているに違いありません。そうでなければこんなにおいしく感じるはずがない!

 

この「おデブ」直結フードで堪能できる魅惑の味を我慢して生きるなんて絶望の中にとどまるに等しい、と私は高笑いしておりました。さすがに1日3食ラーメンとピザではありませんが、ダイエット中に比べかなりのハイカロリーな食事ばかり選んだのです。

 

この生活を1週間やってもいいのです。案外、ダイエットはこの喜びを堪能するためにあったのではないか、と味わいつつ咀嚼しながらあふれ続ける幸福を感じていました。

 

ところが、自分の消化器に反抗された

 

その数日後、幸せすぎる食後に私は苦しみ始めました。つまりお腹が痛くなってしまったのです。今まで体験したことのない痛みと苦しみに悶える羽目になったのです。

 

「お、おなかいたい…おなかいたい…いたーい…まさにこれはポンポンペイン…?」

 

何をしても痛いし、苦しい。ギャグもうつろに響きます。そしていつもは存在感を消している胃袋が脈打ちながら自己主張し、脈打つたびに痛さと苦しさが倍増。我慢していたおいしいものを食べただけなのに、なぜこんなにも苦しまなければならないのでしょう。

Woman lying in bed holding belly because of the pain in stomac.

 

その翌朝、腹痛の苦しみから解放されましたが、食欲は大幅にダウンです。水分を口にすることもつらいありさま。苦痛からようやく解放された私が白湯を飲みながら悟ったことはただひとつ。

 

「私の肉体がハイカロリーな糖質と脂質の塊の消化を苦痛なく行える強靭さを失っている」

 

自分の消化器機能を過信した私が悪いのです。胃のあたりをさすりながら、1週間のダイエット休止を後悔したことは言うまでもないでしょう。わずか3日で挫折です。

 

英断と断言した自分に後悔しかありません。ダイエットで続けていた食生活は胃腸に負担をかけることがなかったのです。腹痛の翌日から私はおかゆとごま塩という食生活を強いられました。どこの修行僧だよ!永平寺か?総持寺か?怒りだけが空回りです…。

 

ダイエットが教えてくれたこと

 

ダイエットで失敗し、休んでドカ食いでも失敗し…人生は厳しい。しかし学ぶことで人間は賢くなります。今回のドカ食いしただけのダイエット休止の1週間で、私は自らを過信してはいけないことを学びました。

 

自分の身体は思い通りにならないものです。ダイエットも、ドカ食いも、自分で自分をコントロールしていると錯覚していますが、違います。以前の自分ができたことも、変化してしまうのです。そう、自分の意志も自分の思うようになることはない。コントロールできるものは何もない、のです。変化を止められる存在はないのですから。

 

昨年までドカ食いし、ゲラゲラ笑っていられた自分も変わっていたわけです。これも前向きに考えれば、ダイエット方法を変えるチャンスになります。またSくんの警告と助言にも重なる自分をコントロールしようというあさましさを捨てる必要も理解できました。

 

現代の名僧との声も高い南直哉さん(注釈を参照)が繰り返しておっしゃる通り、自分があると思い込んでいるから自分をコントロールできるという思い込みが間違いなのでしょう。自分を過信して行うダイエットもドカ食いも間違った認識での結果です。自己コントロールへの執着が間違いといえます。

 

極楽と思っていたら、苦行になったダイエット休止ウィークは単なるドカ食いウィークでした。これは太っても当然です。によって私は覚悟を決めて体重計に乗ったのです。さあ笑っていただきましょう!…500g減。はぁ?

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『諸行無常』という言葉しか今の私には浮かびません。座禅組みに行こうかな…。

 

今回の体重:61.0キロ(スタートから-2.8㎏)

 

※注釈

南直哉(みなみ・じきさい)

曹洞宗僧侶。

恐山菩提寺院代。

『なぜこんなに生きにくいのか』など著書多数。

なお長らく絶版となっていた名著『語る禅僧』は読み応えあります。

ブログ『恐山あれこれ日記』もおすすめです。

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