#145 何か起こる⁉ 40代独女、初めての「二人きり」【40代編集長の婚活記】
ソファに座ってあたりを見る
部屋の片隅に置かれたソファをさしてジェントル「どうぞ、そこ座っててください。コーヒー淹れますね」
ソファに座りながら、アトリエに置かれている彼のものであろう作品を眺めていた。
こんな作品をつくるんだ……すごいな。スケッチブックに描かれた絵は、彼の繊細な感性とやさしさがにじみ出ているような気がした。
二人きりの空間で……
静かなアトリエに二人きり。一つの空間で彼と二人きりになるのは初めてだ。なんだか緊張する。
コーヒーを持って彼が来た。
ジェントル「砂糖やミルクは使いますか?」
アサミ「いいえ、大丈夫です」
ジェントル「OK。はい、じゃどうぞ」
彼も一緒のソファに座った。めっちゃ近い。さっきのエスニック料理店での距離より近い。
お店で飲んだカクテルが少し強かったのだろうか、それとも彼との距離感のせいなのか。トクトクトク……脈が早くなっている。
ぴったり隣に座るジェントルさん
近すぎる距離に照れてしまう……! 沈黙の状況を避けるように、急いで次の言葉を探した。
アサミ「ここに置いてあるの、ジェントルさんの作品ですよね? ステキです。こんなすごいものを作るなんて」
ジェントル「そんな、僕はたいしたことないですから」
アサミ「いえ、すごいです。私は手先が不器用なので、こういう才能ある方を尊敬します」
ジェントル「ありがとうございます。アサミさんは魅力的な文章、書かれるじゃないですか」
アサミ「文章は誰でも書けますもの」
ジェントル「いいえ。魅力ある文章は誰にでも書けるわけじゃありませんから」
アサミ「ありがとうございます……」
なんか誉め合いになってしまって、また照れてしまうのだった。
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