親を扶養に入れただけなのに…?意外と多い「税務署からの連絡」実例

元国税局職員さんきゅう倉田です。

芸人になって10年目になります。昔は、品川駅の中でお酢を売ったり、ビックカメラで携帯電話を販売したりしていましたが、たくさん勉強をして、大勢の人の話を聞いて、しこたま発信していたら、アルバイトをしなくても生活できるようになりました。

一定の信頼を得たからなのか、知らない人から相談を受けることがあります。税務相談になりそうな場合は、こちらからのアドバイスはせず、一方的にお話を聞いて気持ちを鎮めてもらいます。

人に話すと楽になりますよね。お金の話は、知り合いに話すと、老婆心を持たれたり、馬鹿にされたりするので、何の負い目も引け目も友情もない他人に話すほうが、舌が回るようです。

 

 

サラリーマンなら見たことがある「扶養控除等申告書」

読者の中には、お母さんやお父さんを、あなたの扶養家族にしている方がいると思います。10月くらいになると、勤務先の会社から提出を求められる「扶養控除等申告書」。昔は緑色だったこの紙は、今は、中身はそのままに、白黒になってみなさんの元にやってきます。

 

この紙には、扶養家族がいれば、その氏名、住所、所得の見積りを記入するようになっています(所得が“見積もり”なのは、来年のことを書くからだよ!)。

記入すると、あなたは扶養控除が受けられます。つまり、あなたの納める所得税が減ります。

 

不正な記入は許されませんし、正しく記入しないと損をしてしまう大切な紙です。正しく理解して、正確に書きましょう。

 

実例・母親を扶養にしていたら、突然の連絡が

都内に住むA子さん(50)は、同居の母親の名前などを扶養控除等申告書に記入し、会社に提出していました。親を扶養に入れることに、何も問題はありません。A子さんは、生活費のほとんどを負担しており、母親を扶養しているという自覚がありました。

 

しかし、ある日、どこかのお役所から連絡がありました。

 

「A子さんが扶養されているお母さん、お父さんの扶養にも入っているようなのですが…」

 

なんと、A子さんのお父さんも、お母さんを扶養にしていたのです。

 

お父さんは、どこか遠くに住んでいるわけではありません。ひとつ屋根の下で、あんちゃんやカズヤ、小雪のように一緒に住んでいました。

 

お父さんは、年金暮らし。仕事はしておらず、毎日、朝は新聞を読み、昼は病院をサロン代わりにして生活しています。どうして、お母さんを扶養にすることになったのでしょう。何もわからないA子さんは、お父さんに話を聞きました。

 

知らなかった!いまは「年金暮らし」の人でも確定申告が必要

昔は、ほとんどの年金受給者は、確定申告が不要でした。しかし、何年か前にルールが変わって、多くの老人が、税務署に行って確定申告をするようになりました。何もわからないお父さんは、そこで、職員の方の言うとおりに年金の所得を申告していたそうです。

その時、配偶者がいること、配偶者に収入がないことを伝え、配偶者控除の適用を受けていました。

所得税のルール上、同じ人を対象にして、複数の人が扶養控除を受けたり、配偶者控除と扶養控除を同時に受けたりすることはできません。

 

A子さんはこれにひっかかりました。A子さんかお父さんが、確定申告をして、お母さんの扶養を外さなければいけません(A子さんは扶養控除、お父さんは配偶者控除)。

 

この場合は「脱税」に当たるの?確定申告をするとどうなる?

控除がなくなるので、どちらかがいくらかの納税をすることになります。脱税でもなんでもないただのミスなので、怒られたり警察が来たりすることはありません。ちょっと多めに払って、おしまいです。何も心配する必要はありません。

 

 

誰にでもミスはあると思います。特に、学校で教えてれくれない税金のことは、ミスをして当然です。一つ言えるのは、A子さんは、もう少しだけ、家族と情報交換をしておいても良かったかなとは思います。

 

みなさんは、自分のお父さんやお母さんがどのような申告をしているか把握していますか??

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