40代、50代はローンを「平均何年」で返済している?みんなのローンの実態は

生活費で支出を占める割合の高い、住居費。賃貸に住んでいるとローンを背負わない気楽さはあるけれど、この先ずっと家賃を支払い続けることを考えるとマイホームを購入した方がいいのではないかと迷う人も少なくありません。マイホームの購入を検討するにあたって気になるのが住宅ローンの借入れ状況です。今回は、住宅ローン事情についてお伝えします。

 

■住宅ローン利用年齢の平均は40.1歳

住宅支援機構の「2018年度 フラット35利用者調査」によると、住宅ローン利用年齢の平均は40.1歳です。年代別にみてみるとどうでしょうか。

 

【年代別】

全体平均 40.1歳
30歳未満 14.3%
30歳代  42.3%
40歳代  25.5%
50歳代 10.7%
60歳以上 7.1%

 

40歳以上は約4割と高齢化が進むにつれて住宅ローンの利用年齢層も高くなっています。
マイホームを購入するといっても、注文住宅、マンション、中古戸建などさまざまですが、それぞれ融資区分別の年齢割合をみてみましょう。

【融資区分別】

〈注文住宅〉
全体平均 42.7%
30歳未満 10.5%
30歳代  39.5%
40歳代  23.9%
50歳代  12.9%
60歳以上 13.3%

〈土地付注文住宅〉
全体平均 37.5歳
30歳未満 17.9%
30歳代  50.4%
40歳代  20.7%
50歳代  6.5%
60歳以上 4.4%

〈建売住宅〉
全体平均 39.1歳
30歳未満 16.0%
30歳代  43.2%
40歳代  26.2%
50歳代  9.3%
60歳以上 5.4%

〈マンション〉
全体平均 42.4歳
30歳未満 10.2%
30歳代  38.4%
40歳代  26.4%
50歳代 14.4%
60歳以上 10.6%

〈中古戸建〉
全体平均 42.2歳
30歳未満 10.4%
30歳代  34.3%
40歳代  32.8%
50歳代 14.7%
60歳以上 7.8%

〈中古マンション〉
全体平均 40.9歳
30歳未満 13.7%
30歳代 35.5%
40歳代 30.7%
50歳代 14.1%
60歳以上 5.9%

 

マンションでは30歳代の割合が上昇(38.4%、前年度比2.0ポイント増)し、注文住宅及びマンションでは、60歳代以上の高年齢層の割合が1割を超えています。
それではどのくらいの年収の方がローンを借り入れているのでしょうか。

 

【世帯年収】

全体平均 598万円
400万円未満  22.3%
600万円未満  41.1%
800万円未満  20.1%
1000万円未満 8.7%
1200万円未満 3.6%
1200万円以上 4.2%

年収600万円未満の世帯は、約63%を占めております。マネー相談の現場では、年収400万円未満の方からもローンの借り入れをしてマイホームを購入することについての相談は少なくありません。家賃住まいの方は今後も家賃を支払い続けるより購入した方が良いのでは悩まれるようです。

■ローンの目的は、単身世帯と二人以上の世帯に違いが

ローンの目的を単身世帯、二人以上の世帯それぞれ見てみましょう。

【単身世帯】

〈借り入れの目的(単身世帯)3つまでの複数回答〉
医療費や災害復旧資金 5.6%
子供の教育・結婚資金 2.8%
住宅の取得・増改築資金 12.3%
日常の生活資金 40.0%
耐久消費財の購入資金 14.0%
旅行・レジャーの資金12.3%
株式等金融資産への投資資金 3.0%
土地・建物等の実物資産への投資資金 2.6%
相続税対策の資金 0.0%
その他 34.6%
無回答 0.0%

 

シングルの人は住宅の取得・増改築資金は12.3%と、お金の借入れの目的では、日常の生活資金が40.0%と一番多いことがわかります。
次に、二人以上世帯ではどうでしょうか。

 

〈借り入れの目的(二人以上世帯)3つまでの複数回答〉
医療費や災害復旧資金 2.2%
子供の教育・結婚資金 9.2%
住宅の取得・増改築資金 65.8%
日常の生活資金 10.6%
耐久消費財の購入資金 26.1%
旅行・レジャーの資金 2.1%
株式等金融資産への投資資金 0.1%
土地・建物等の実物資産への投資資金 4.5%
相続税対策の資金 1.0%
その他 10.6%
無回答 1.8%

二人以上の世帯については、住宅の取得・増改築資金は65.8%と単身者と比べて住宅ローンを借り入れてマイホームを購入する意識が高いということがうかがえます。

■70歳以上でも住宅ローン残高が残っている

借入金額があると回答した世帯の平均住宅ローン残高を年代別にみてみましょう。

〈単身世帯〉267万円
〈二人以上世帯〉1350万円

20歳代:1476万円
30歳代:2121万円
40歳代:1671万円
50歳代:1074万円
60歳代:615万円
70歳以上:884万円

住宅ローンは定年までに完済し、ローンの無い老後を過ごせたら安心ですが、ローンを借り入れる年齢が高くなると、おのずとローンの完済の年齢も高くなります。ただし、なかには住宅ローンには団体生命保険を付帯していることで借主が万が一の場合は、ローン残高がなくなるため、住宅ローンの金利が低い今、無理にローンの完済を定年前にせず、保険代わりにローンを残すことで、ローンのないマイホームと貯蓄を残したいという人もいます。

 

〈住宅ローン、住宅ごとの平均返済期間〉
国土交通省「平成29年度住宅市場動向調査報告」よると住宅ごとの返済期間は次の通りです。
注文住宅 建物31.1年・土地購入33.2年
分譲戸建住宅 30.7年
分譲マンション 29.7年
中古戸建住宅 26.3年
中古マンション 24.7年

注文住宅、分譲戸建住宅は30年を超え、住宅ローンの返済期間は長期間におよんでいます。たとえば、平均返済期間では中古マンションを35歳で住宅ローンを借り入れて購入すれば、60歳までに完済できるこということになります。一方45歳で住宅ローンを借り入れて購入すると完済は70歳というイメージです。

■40代、50代で住宅ローンを利用してマイホームを購入してもいいのか

40代、50代になり住宅ローンを利用して、マイホームを購入するとなれば、返済が老後も続くとなると不安になるため購入時期についてのマネー相談は少なくありません。
住宅ローンを利用するとなると返済期間が長期間におよぶので、年齢が低いほど借入れすることへの不安は少ないかもしれませんが、年齢だけにとらわれず返済計画がきちんとできるかどうかが大切です。
一番気をつけたいのが、退職金を見越しての住宅ローンの借入れです。退職金で完済すればいいという考えもひとつですが、老後の生活資金を退職金で補う必要がなく別で貯蓄ができているのであれば退職金を住宅ローンの完済にあててもかまいません。
ただ、これから老後資金も貯めていくということであれば、借入金、返済期間をしっかりと検討した上で住宅ローンの借入額等を決めることが大切です。

■住宅ローン借入れ時の注意点

マンションを購入する際に不動産会社の広告などに月々の返済額○万円などの表記がされていることがあります。家賃と比較して返済できるかどうかイメージしやすいので参考にするのは良いですが、表記されている月々の返済額は低い金利で長期間続くことが想定された返済シミュレーションになっていることが多いです。住宅ローンの金利には大きくわけて変動金利、固定金利があります。変動金利は、市場の影響を受けて金利が変動するため、金利が固定となっている固定金利と比べても低い金利で設定されています。
今は、低い金利が続いていますが、住宅ローンの借り入れは長期間におよぶため、10年後の金利が何%になっているかわかりません。つまり、金利が上昇した場合もふまえて返済できるかどうかをしっかり検討する必要があります。

■物件を選ぶ際の注意点

長い人生ライフプランの変化はあります。結婚する、しないだけでなく、親の介護により実家に戻らなくてはならなくなった、高年齢になった際に一人暮らしが難しくなり介護が必要となり介護施設での入居を希望するようになるケースも考えられます。
特に単身者の場合は、ライフプランが変化したときに、マイホームを売却、貸しやすい件を選ぶことも大切です。いざ介護施設に入居するとなっても、マイホームの売却資金や家賃で入居代にあてることもできます。
一方、介護施設に入居する必要がなく生活することを想定すると病院やスーパーなどが近隣にあると生活しやくい環境といえます。

■まとめ

住宅ローンは平均からみても返済期間は長期間となります。住宅ローンを利用してマイホームを購入する際はライフプラン、家計の収支をしっかり把握し、無理のない返済計画を立てることが大切です。

 

今関倫子
ファイナンシャルプランナー
外資系保険会社勤務中に、AFP資格取得後、独立系FP事務所に転職。ファイナンシャルプランナーとして活動し、女性を中心に年間のべ200件以上のマネー相談、執筆、講演など多くの経験を経て独立。現在は個人マネー相談、執筆、講演を中心に活動中。 FP Cafe登録パートナー

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