48歳、ヅカファンの彼女が「階段」を怖がる理由とは?【100人の更年期#25】
一般に、閉経の前後5年を更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は50歳なので、45-55歳の世代は更年期に当たる人が多いもの。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。
私ってもう更年期なの?みんなはどうなの?
オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)
【100人の更年期#25】
宇野さゆりさん(仮名)/団体職員 72年、東京都目黒区生まれ。趣味は宝塚歌劇を観ること。 日々忙しく働いているが、宝塚のことを忘れる日はない。
美少女だった同級生がハマった美しい「カレ」
友人のさゆりちゃんは高校入学に合わせて関東から転校してきた。目が大きくて顔が小さくて、地元では見たこともないような美少女だった。あれから幾星霜、いまはおたがい関東圏に住んでいることもあり、数少ない交友関係の続いている同級生の1人である。
同じクラスになってから30年ちょっと経つが、美少女は相変わらず美人。ただし独身である。「おひとりさま」を満喫しているとはいえ、やっぱり独身の友人が1人でも多いとなんとなく安心するのだから不思議だ。不思議? 性格が悪いだけともいう。
ところで、さゆりちゃんの趣味は宝塚観劇である。ドハマリしている。ひいきのトップスターが歌ったり踊ったりする姿を、家でもずっとブルーレイや専門チャンネルで見ているらしい。そのおかげなのだろうか、彼女エストロゲンは枯渇するふうもなく、つやつやしている。「疲れる~」と言いながらも節約(チケット代とグッズ代の捻出!)のためにお弁当を作って仕事に通っている。すべてはひいきのために。
疲れるから怒るのやーめた
そんなさゆりちゃんいわく、
「まえはすぐイライラしたけど、最近は経験かさねてきたから、あんまり仕事で起こる気持ちが失せて、ニュートラルな気持ちが多くなった。っていうか、気力が失せてきたのかな」。
たしかにわたしも以前ほど怒ることがなくなった。怒ることでよくなることもそんなにないし、ただ心身がつかれるばかりだ。怒らなくなる、というのは大人になることと同時に老化現象もはらんでいるのかもしれない。ちょっと怖い。
そんなことを思いながらさゆりちゃんの更年期事情をさらに聞いていたら、意外なことを口にした。
まだ更年期ではないと思うんだけどね、明らかに老化を感じる時がある。
――え、それはどんな時?
危険! 足元があやしいのはどうして?
さゆりちゃんは言う。
階段を降りるのがこわいのよ。なんだか足元がおぼつかなくって、手すりを求めてしまうんだよね。
――どうして? 細いからじゃない?
困惑してしまった。自分にはバランスがとりづらいなと思う時はあるけれど、おぼつかないほどではなかったからだ。だいじょうぶなの?
うーん、たぶん筋力の低下だと思う……。両足のリズムが合わなくなって、落ちそうになるような気がするの。
そうかあ。運動して常にトレーニングをしていないとだめなのかな。そういえば先日も棒のように細い実家の母が転んで顔を打ったそうだ。数年前にも転んで、その時は頬骨を骨折してしまった。わたしたちの年代から筋力には気を遣っておかねばならないのかも。筋トレが流行するのもある意味合理的なのかもしれない。やりすぎてムキムキしたおばあちゃんになりそうな予感もあるけど。
仕事の都合がつけば必ず宝塚大劇場に行き、入り待ち・出待ちに参加しているさゆりちゃん。雨の日も風の日も贔屓が来るまで立って待っている。
他のスターさんが来る時はしゃがむのが決まりで、まるでスクワットのような動きを繰り返しているが、それでは足りないんだろうか。足りないんだろうなあ。階段落ちは怖い。「蒲田行進曲」(古っ)にはなりたくない。涙。
入り待ち・出待ちに必須なのは?
「あとやっぱり生理の変化はあるよね。周期が少し短くなって、そのかわりに1回ずつの期間が長くなった。ちょっと前までは痛みは最初のころに集中してたんだけど、期間中はずっと平均的に痛いから、終わるまでずっとお医者さんでもらった薬を飲んでるよ」。
あー、ずっと痛いのはつらいね。さらにさゆりちゃんは視力が気になっているので、コンタクトも眼鏡も度数の違う数種類を使い分けている。いまは8倍のオペラグラス持っているが、10倍のに変えようかと言っていた。それは視力とは関係ないか。でもよく見えるに越したことはない。
いろいろサプリも試しているさゆりちゃん。
「『命の母』は結構いいよ、入り待ち出待ちをすこし楽にしてくれたと思う」と話していた。
宝塚大劇場の大階段は、普通の人の足のサイズよりのずいぶん幅が狭い。それをスターさんは足元も見ずに踊りながら華麗に降りてくる。けれども年をとるとふつうの幅広な階段を加齢で降りられない。若いころには手すりなんてあることすら気がつかなかったけれど、その存在が愛しくなる日が来るなんて。
「納豆と命の母と運動は欠かせなくなってきた」
美少女も等しく年をとるのが世の中だ。けれどまだまだ大きな瞳は健在で、一重のわたしは相変わらずうらやましい。命の母では二重になれないけれど、今度試してみよう。
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