「医療崩壊を防ぐ受診方法」とは?都内医院勤務の女性のホンネ

新型コロナウイルスによる医療崩壊が懸念される東京都。

 

新規感染者数は2週間は減らないと見られるので、少なくとも4月18日までは厳重な外出自粛が必要でしょう。

 

高度な医療アクセスを誇る日本ですが、いっぽうではその高度さが災いし、「病院ならどこでも同じように診断してくれるものだ」という誤解も蔓延しています。

 

悲鳴を上げているのは感染者対応を専門に行う病院ばかりではなく、また医師や看護師などフロントに立つ人たちだけにも限りません。医療を支える人たちにかかる「二次感染」を防ぐための負担について、都内で働く40代女性から実例を聞きました。

 

どの病院でも隔離に慣れているわけではない

話を聞いたのは、都内の区部にある健康診断専門の病院で受付に勤務するCさん。1年を通して企業の健康保険組合からの健康診断、人間ドッグを引き受ける、地域では最大規模の病院です。

 

「内科や循環器、糖尿病、婦人科などの専門外来もありますが、基本は二次検査になった患者さんの精密検査と経過観察のためのもの。具合が悪いから診てくださいという初診はめったにありません。

 

もしかして、普段からインフルエンザやノロの患者さんが来院する一般内科のほうが隔離に慣れているのかもしれません。そういう前提にない当院では、コロナ疑い患者さんが1人きただけでもパニックになってしまうんです」。

 

1人来院のたび、背後ではこれだけの手間をかけている

いったいどんなことが起きるのでしょうか? ちょっと長くなりますが、あまりの手順の多さに驚いたので、詳しく説明してもらいます。

 

「3月末から当院では、入り口に『37.5℃以上の発熱者や症状ある人の診断はできない』掲示をしています。

 

さらに、来院者は例外なく全員、最初に熱を測って問診記入をしてもらっています。

 

この記入とチェックだけで、受付完了までにいつもの倍の手間と時間がかかります。

 

実際に発熱や症状があれば、すぐに臨時隔離室になった会議室に連れていき、看護科に連絡。まず手袋とフェイスガードを装着した看護師が問診に行きます。

 

明らかに症状ありの場合は、厚労省の案内を渡してご帰宅いただき、自宅隔離へ。

 

微妙な場合はドクターに報告。ドクターが看護師の報告を聞いて判断し、診るとなったら手袋とフェイスガードを装着します。そして、隔離室に出向いて診察します。患者さんは隔離室から出ず、スタッフ側が出入りするのです。

 

コロナに該当しないようなら薬の処方をします。そこからまた、新しい手袋とフェイスガードに交換した看護師が、隔離室まで診察後の会計までの流れを説明に行きます。

 

カルテにそって会計処理し、処方箋を発行してから、看護師が患者さんの元へお金もらいに行き、会計を済ませます。

 

そこから手袋とフェイスガードは廃棄し、念入りに手洗いをします。

 

さらに患者さんが帰ったら外来窓口や滞在した隔離室を消毒。事務スタッフが手袋をして出向き、消毒を終えたら再度手洗い。

 

私の病院にはそれほど該当事例の患者さんがこないからやっていられるけど、こんな手間を正直、他の一般外来はどうやっているのか……。

 

近隣には外来を閉めた病院があり、かわりの処方を求めて来院する患者さんも少々いらっしゃいます。もう防げないよね……と同僚とため息です」。

 

「自分だけは」の気持ちが医療を追い詰める

死のリスクがある感染症ですから、自分が感染していないかと不安になるのはじゅうぶん理解できます。基礎疾患のある人は優先的に受診してほしい。ですが、どこでも対応できるわけではない、と彼女は再三説明します。

 

「あれだけテレビで、症状のある人がどうしたらよいかを案内していても、ごくごく普通に『とりあえず』という感じで一般の病院に来ちゃうんです。

 

3日前にきた患者さんにはパニックになりました。もともと糖尿病外来の予約があって来院したシニア男性です。

 

受付で味覚がないと申告され、すぐ隔離室に連れて行ったものの、発熱はなく、そのまま一般の診察室に入りました。

 

ですがなんと! ドクターの前で初めて『昨日までコロナ疑いで自宅待機していた』と告白したんです。そういうことは先に申告してください!!

 

ドクターが真っ青になり、すぐにフロアー全ての窓開けて換気。ソファーから何から消毒!と指示が出て、院内がバタバタと大騒ぎになりました。生きた心地がしませんでした」

 

厚労省の指示以上のことは現実にできないんです!

有名人の感染や死の報道に接すると、もしかしてと不安に思う気持ちはわかります。でも、その行動がいたずらに感染を拡大している可能性も。

 

「とにかく、今のところ、発熱した・症状がある場合は厚労省の案内に従ってしかるべき機関へ電話して、指示をあおいでください。当院に関しては、これだけ言われているにもかかわらず、いまだ『先に電話をしてから』来院なさった方はゼロです。いま、専門病床のない病院はどこも『来院したことで感染させる』院内感染リスクと戦っています」

 

日本の医療機関は高確率でCTやレントゲンを所有しており、肺炎の感染についてはPCR検査の前にかなりの精度で診断が可能とされます。今回話を聞かせてくれたCさんの勤務先も、健康診断を実施する機関ですから、CT・レントゲンを備えています。しかし、仮に撮影したとしても、次の検査の前に前述のような消毒と保護具の交換、破棄が必要です。

 

「現段階でコロナに対する処方薬はありません。こんなリスクを背負って診断したところで、結局私たちには何の対応もできないのです」とCさんは悔しがります。

 

基本は自宅隔離。何より、他人に感染させないことが重要です。どうか厚労省の案内をよく読み、パニックにならず行動してください。

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この記事を書いたのは
OTONA SALONE編集部 井一美穂

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