「起業なんて全く考えていなかった」けど、39歳で起業した女性。その意外な理由とは?(後編)

2022.03.15 WORK

職場復帰は産後3か月という早さ!

編:「なるほど~。特に会社を引っ張る立場だとオンオフという感覚はなくなるのかもしれませんね。さらに今だと部下からは業務内容はもちろんですが、”働き方”の相談なんかも受けるのでは?」

谷:「そうですね。今やっているW societyというプロジェクトでも女性の心身的課題と社会課題の両面から女性活躍をデザインする、ということを行っているのですが、仕事をしていく上でハードルとなる身体の悩み相談もけっこう受けますね。あとは、やはりライフステージが変わることでの仕事への影響についても。

私自身は目の前の課題が片付かないのがどうしてもいやで、ノンストップで走り抜けてしまいがちです(笑)。おそらく仕事の仕方としては抱え込んでしまうタイプ。それを周囲が見たときに『谷村さんみたいに頑張れない』と思わせてしまう場合もあるだろうし、『子供がいてもこんな風に仕事に全力投球していいんだ』って思ってくれるかもしれない。結婚や出産などライフステージの選択を迫られるときに、たまたま自分は仕事と一緒に歩む道を選んだだけで、逆にこういうやり方しかできなかったんですけどね」

編:「うかがっていると仕事一筋という感じがしますが、ご出産後の復職はスムーズでしたか?」

谷:「長女のときは、まだ3か月くらいで復帰しました。もちろんフル出社は難しかったので、基本的には家でできる範囲で、ですが。生まれる前から自分の中でこれは決めていたことでした。産後の経過が良かったので、できたことですけどね。どちらかというと、妊娠中のつわりがきつくて、でもそんなつわりの中でも仕事に行くとマシになるんです。体調悪くて家にいたほうが無気力というかメンタル的にも下がってしまって…その経験からも、『あ、これは私やっぱり働いていることがエネルギーにつながるんだな』って痛感しました。

ただ、すべては家族含めて、周囲の理解や協力なしにはできなかったこと。当時はまだ在宅の制度なんかも整ってなかったですし、出産したての私のわがままを聞いてくれた会社にも感謝です」

谷村さんが事務局長を務めるW societyでは、3月8日の国際女性デーにちなんだW weekというキャンペーンも実施。

やる恐怖とやらなかったことの後悔、どっちをとる?

編:「産後3か月で復帰!!スゴイの一言です…。オトナサローネでも産後の職場復帰に対して様々な不安の声を聞くこともあります。育児・家事との両立できるのか?などなど」

谷:「女性のほうがライフステージが変わることで起こる影響ってどうしても大きいですよね。でも逆にいうと、ある程度大人になってきたら、どんなときでも不安とか悩みと向き合い続けてるとも思うんです。結婚する?しない?、子供産む?産まない?、仕事辞める?続ける?、体の不調はどう解決する?…etc.

これらは経験してないことからくる”不安”。で、私が一つ言えるとしたらとにかく飛び込むしかないってことかなと。自分自身の転職も出産も起業も、今振り返るとすべて最初から勝算があってやってたわけではなく、えいやって飛び込んだからこそ、ここまで到達できたなと思うんです。やることの恐怖か、やらなかったことに対する後悔、どっちをとるか。私は前者をとるタイプなんだと思います。

2人目の出産のときも不安ももちろんありましたが、結局なんとかやれています(笑)。こんな母親のもとに生まれてきてくれて、こんな私にも合わせてくれる子供に育ってくれてありがたいです」

寝顔がほほえましすぎる、仲良し姉妹。

起業なんて全く考えていなかった30代

編:「いろんな肩書きを谷村さんはお持ちですが、今盛んに言われてるキャリア構築、中でもパラレルキャリアや副業などに対してご自身なりのプランを持って進められてきたのでしょうか?」

谷:「全然、プランとかはありませんでした。起業したことについてもそうですね(笑)、ある意味偶然が重なりました。

たまたま思いついたアイディアが世の中の時流にあっていて、たまたま社内外でそれなら会社起こしなよってアドバイスくださる方が多くて、いろんなご縁があって。やらない理由がなかった、って感じです。あと一番強かったのは、このアイディアを事業化するのは絶対私じゃなきゃいやという気持ち。他の人に託したくなくて、それが起業しようという最後の決め手でした。

なので、会社を経営するとか事業を推進するなどの答えを私自身が持って進めているわけではなくて、本当に手探りの日々。これは子育ても一緒のことだと思います。

29歳で長女を出産したのもあって、私の30代は仕事と家庭の両立がテーマでした。そして、いまある程度自分の中でその両立はどんなものか、が消化できた。これからの40代は子供達が成長してきたので、ママがやってることはどういうことなの?って調べたときにこんなことをしていたんだ、って納得してもらえるように仕事がしたいなと思います。家族だから余計にシビアかもしれないけど、負担をかけたぶん子供たちに誇れるような仕事をしたいです。50代、60代はうーん、まだそこまで現実的にイメージしていないけど、今より時間的な余裕をもって働いていたいですね(笑)」

編:「最後に、谷村さんの働くモチベーションってなんですか?」

谷:「うーん…。仕事がなかったら、自分はものすごい生産性の低い人間だと思っているんです。家事や育児で貢献できる人、そこにモチベーションを見出す人もいますが、私はたぶんそれがでできなくて。自分の価値を仕事の中に見出すのが性に合ってるんですよね。自分自身の存在理由を考えちゃうと、やっぱりそこにいきついてしまうんです。だから、死ぬまでなんらかの形で働き続けると今は思っています」

編:「ありがとうございました。『働くことがすごい』のではなく、そういう選択が自分にはたまたま合っていたという部分に、非常に共感できました!」

 

まとめ

自分の考えたことを自分で形づくりたい、世の中にクリエイティブな発信をしていきたい、という谷村さんの想いの強さが自然と起業という方向に導いたんだなと思うお話内容でした。また、「仕事を持つことも持たないことも選択」というのが、今の働く女性の価値観を言い表す言葉な気がしてなりません。

 

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