ワクチンはカードの1つでしかない。自ら考えて「コロナと戦うカード」を足していく時期がきた

新型コロナウイルスの次の感染拡大「第8波」の見通しについて、感染症の専門家から次々と警鐘が鳴らされています。いっぽうで、すでに市中は「ウィズコロナ」の感覚。

外科医・免疫学者・漢方医と3つの専門を持つ新見正則医院の新見正則先生は、免疫学者の立場から「第8波」をどう見ているのでしょうか。併せて漢方治療に詳しい+kampo(プラス漢方)の代表薬剤師・笹森有起先生に「第8波」に備える漢方を伺いました。

前編『コロナ第8波「もうワクチンは切り札ではない」後遺症を診る医師が警鐘を鳴らすワケ』に続く後編です。

 

すでにコロナ後遺症のほうが問題だと思う。減疫のメリットと副反応は天秤にかけたのか

新見正則医院 院長 新見正則先生

――新見先生はコロナ後遺症の漢方でのケアも手掛けています。深刻な訴えが増えているのでしょうか?

専門分野の1つである漢方での治療法を全国の医師に共有するため、コロナ後遺症を漢方で治療するための書籍『フローチャートコロナ後遺症漢方薬』(3190円/新興医学出版社) を9月に緊急で出版しました。すぐ重版がかかったことから、全国の医師たちがコロナ後遺症の治療に困っている様子が見て取れます。現在のところ決め手となる治療薬がないので、目の前で苦しんでいる患者さんにしてあげられることが少ないんですね。

 

これまで国内で2200万人以上が新型コロナに感染しました。規模感を掴むために昨年12月に広島県が行った後遺症調査の数字を単純に掛け合わせて仮定してみると、34%の740万人が後遺症を経験、そのうち38%の280万人が生活に影響のある症状、同15%の110万人がロングコビッドと呼ばれる強い後遺症を持っている可能性があります。110万人が就労不能の状態とは、大変な人数です。

 

出典・新型コロナ後遺症(罹患後症状)の実態調査結果と相談・診療体制について(こちらから

 

――そんなに強い後遺症に苦しむくらいなら、やっぱり「減疫」レベルでもいいからワクチンは接種すべきと感じます。

それも各自の判断の一つです。ただ、不確かなことを疑いながら生きる免疫学者の立場からは「mRNAワクチンだから安心という理屈は何だ?」と感じます。先ほどワクチン接種を重ねるごとに副反応が強くなっていると言っていましたが、実際そういう人は多い。悪くするとワクチン全体に対する免疫反応が起こってしまって、新型コロナウイルスにはついていないという可能性すら否定できないんじゃないですか。

 

ぼくは反ワクチンではないが、ワクチン推進の立場でもない。mRNAワクチンが理論上安全であろうと、その結論は本来は接種者が自然寿命を迎える80年後あたりまで追跡してはじめて言えること、それまでは「わからない」という答えが研究者として誠実だと考えています。体外受精だって、第一世代が結婚し出産し次世代が生まれて成長して、ようやく不利益は起きなかったという医学的な結論が出せました。本来であればそのくらい慎重なんです。

 

ワクチンはカードの1つでしかない。自分で「いいな」と思うことを足していく時期がきた

――結局のところやれば絶対OKな種痘のような唯一解はないから、自分で考えるようにということですね。先生は納得解という言葉をお使いです。

「第8波」はきますし、もしかしてまったく違う新・新型コロナが来襲するかもしれません。インフルエンザも今年は流行するかもしれません。多くの人にとっては恐らく命には関わりませんから、ワクチンを信頼しても否定してもどちらでもいい。ただし、打ったほうが守りの札が1つ増えます。

 

どの状況になっても信用できるのは自分自身の免疫です。免疫力を上げていくため、自分でいいなと思うことを1つずつ足していけばいいのです。免疫学者の立場から助言できる納得解は、「ワクチンだけに頼らず、ほかにも身体にいいことをプラスしてください。ましてやワクチンというカードを捨てるつもりなら、その分だけ免疫アップの努力が必須です」。

 

――ひとくちに免疫と言っても、どのようなことを努力すればいいのでしょうか?

これを飲めば、やればOKという決定的な切り札はありません。まずは健康的な生活を送ることです。規則正しい生活、ビタミン・ミネラル・たんぱく質を含むバランスのよい食事、深酒はしない、適度に日光に当たってビタミンDを体内生成し身体も積極的に動かす。強すぎない有酸素運動も週に何度か行います。ストレスをオフすること、気分転換を行ってメンタルをよいコンディションに保つことも大切。また、早寝早起きを心がけ、適切な睡眠をとります。

 

そんな模範的な生き方は難しいワ、という場合はわざわざカードを減らさずワクチンを打っておいたほうがいいでしょう。逆に言うと、現状のワクチンはこのような健康維持のカードと同等でしかない。

 

ちなみにぼくは、普段インフルにかかったかなと思ったら漢方を飲みます。『麻黄湯』。お湯を飲み、1枚多く着こんで寝て、汗をかくことで免疫の力を発揮させます。そのほか、週に2回朝プールで3㎏泳ぎ、ジョギングと筋トレを継続。炭水化物はそれほど食べずBMI22をキープするようにしています。

 

加えて、ぼくは漢方を勉強したため、日頃から漢方も飲んでいます。医師の処方ならば先に病気の診断が必要ですが、薬局で売っているOTC薬は予防として飲めます。もう一つ、ぼくは抗がんエビデンスを持つ生薬・フアイヤの普及も行っており、これも飲んでいます。免疫を底上げしてくれるカードは何でもたくさん手に持つことです。

 

薬局で売られている漢方薬も強い助けになる。準備しておいて困ることはない

+kampo(プラス漢方) 代表薬剤師 笹森有起先生

――漢方薬にも詳しい薬剤師の笹森有起先生に伺います。私たちが医師を受診せず薬局で手に入れられる漢方薬のうち、いまから飲んでおくべきものは何なのでしょう?

薬局で売られているOTC薬品としての漢方薬のうち「満量処方」とあるものは処方エキス剤と同じ量だけ成分が入っていますので、まずは満量処方を探してみるのがいいでしょう。

家族みんなの体力を底上げしてくれるのは『補中益気湯』(ほちゅうえっきとう)。人参と黄耆(おうぎ)を含む参耆剤(じんぎざい)で、元気を維持する漢方薬です。ちなみに、新見先生が2009年の新型インフルエンザ流行時に行った臨床研究がBMJで参照できますが、「補中益気湯」の服用者は179人中1人、非服用者は179人中7人が新型インフルに感染したそうです。(*ランダム化試験ではない)

私も夏の第7波から『補中益気湯』を飲んでいます。また、風邪かなと思ったときは『葛根湯』を、個人的なおまじないで1回に2袋飲みます。こうした調整は1日の上限量を守っていれば大丈夫です。

 

――新型コロナ感染時にも漢方の助けを借りられるとのことですが、どんな漢方を用意しておけばいいでしょう?

あまり知られていませんが、漢方薬の中には急性の発熱症状が得意なものもあります。『葛根湯』『麻黄湯』が好例です。状態に応じて飲みかえていくことができるのでご参考までに。新型コロナだけでなく、インフルエンザの感染時にもこの流れでいいでしょう。

 

いずれも発汗させて体内の熱を外へ出すことを第一とするため、おかしいなと思ったらまずは『麻黄湯』を服用、汗が出るように促します。寒気がそこまで強くないときは、『葛根湯』をよく使います。麻黄湯に比べ、葛根湯には体を冷ます作用のある生薬も配合されています。熱が出ているのに寒気が強い、咳が止まらない、関節など節々が痛む場合には、温める力の強い麻黄湯がおすすめです。

 

すでに発汗しているなら『柴胡桂枝湯』や、のどの痛みに対応するためには『桔梗石膏』と併用。さらに、症状が落ち着いたら『補中益気湯』で体力回復につとめるといいと思います。ちなみにまで、ワクチン接種時の接種部位の腫れには『治打撲一方』がおすすめです。

 

いずれも、お子さんが服用する場合は記載の用量を確認のうえで、親の管理下で。ネットを検索するとさまざまな工夫を凝らしてお子さんに漢方を与えているお話が出てきますが、チョコ味のものと混ぜるのがいちばん好評のようです。

 

 

pluskampo株式会社 代表薬剤師 笹森有起先生

青森県出身。東北医科薬科大学を卒業し薬剤師免許を取得。調剤薬局での勤務を6年経験。薬剤師として働く中で漢方薬に出会い、自身の自然治癒力を最大限に引き出し、結果として症状が緩和する漢方薬の効果や考え方、哲学に感銘を受け、フリーランス薬剤師を経て起業。

+kampoブランドサイト:https://www.pluskampo.jp/

 

新見正則医院 院長 新見正則先生

1985年 慶應義塾大学医学部卒業。98年 移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)2008年より帝京大学医学部博士課程指導教授。2013年 イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在は乳がん患者に対するセカンドオピニオンを中心に、漢方、肥満、運動、更年期など女性の悩みに幅広く寄り添う自由診療のクリニックで診察を続ける。がん治療に於いては、明確な抗がんエビデンスを有する生薬、フアイアの普及も行う。

https://niimimasanori.com/

 

 

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この記事を書いたのは
OTONA SALONE編集長 井一美穂

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