なぜ美元の言葉は共感を呼ぶのか?親とのつきあい、育児、喪失体験の克服、「等身大の現在の暮らし」を語る【1万字インタビュー】#4

女優・モデル・ビューティウェルネスコーチの美元(みをん)さん。

考えられないほどの強いバッシングを受けながらも、これまでほぼ弁明をすることはありませんでした。『これからは、自分の経験を伝えて誰かの力になりたい』と言う彼女に、オトナサローネは「シンガポールでの新しい暮らしと娘さんに伝えたいこと」をうかがいました。

離婚騒動の背景を伺った『44歳、モデル美元が語る「あの離婚騒動の背景にあった」事実』、子ども時代のお話を伺った『「ネグレクト、いじめ、不登校」の壮絶な子ども時代』、『妊娠、出産と直面してきた女性ならではのホルモンとの関わり』に続き、「シンガポールでの新しい暮らしと娘さんに伝えたいことのお話を。

ブログ・SNS発信を一度は全部やめたけれど、「何が本当に私たち家族にとってよいことなのか」自問自答する日々

現在のご主人とは、カメラマンの友人を介して出会いました。国際結婚、シンガポール移住、海外での出産、そして初めての育児が続き、過去を思い返す間もないような日々を送ったものの、やはり一度植えつけられた恐怖感はそう簡単には消えることがありません。シンガポールに住み始めてからも、人と会うのが怖いと思う日々が続きました。

 

「実際、離婚後も数年間は空港で待ち伏せされたり、街中で隠し撮りされました。夫や夫の家族のことも憶測で記事を書かれたので、私の存在が再び周囲を傷つけるのではと思い悩みました。友人の結婚式や娘の習い事などで集合写真を撮影するときでさえ、この写真が報道に使われてしまうのではと心配でした」

 

しかし、異文化に住んでいながら日本の因習にとらわれ、自分の友達だけでなく、娘さんの友達のお母さまや習い事の先生にまで「SNSに写真を載せないでください」と言い続けることが本当によい選択なのか。考えに考えて、ご主人ととことん相談したうえでブログとSNSの再開を決めました。ブログを休止してから6年たってのことでした。

 

「最初は自分自身も横顔やサングラス姿で、美元という名前も出すのが怖くて。一つの投稿にも、何回も下書きを直しながら、何日もかかったりして、私にとってはリハビリのような投稿でした。娘の顔もスタンプで隠していました。ですが、幼稚園児のころに『なんで私の顔にヘンなのついてるの?』と泣かれたんです。それをきっかけに、なんで子どもが泣くような投稿をしているんだろうと真剣に考えました」

 

再びご家族で相談し、子どもがいちばん笑顔になる方法、顔を隠さない投稿を選択しました。結果、今では、SNSは家族みんなで作る大切なアルバムのようになり、元カメラマンのご主人が撮影してくれる写真や動画を、娘さんと一緒に編集しているそうです。

 

「相手への忖度ではなく、自分自身の価値観を大切にするようになったら、不思議とバッシング記事が少なくなりました。現在はYouTuberになりたいという娘の希望をくんで、シンガポールの現地情報や3カ国語を話す娘の勉強法、美容健康法など、ありのままの家族の暮らしを母娘で配信しています。たくさんのご相談やメッセージも頂くようになりました。私が経験したことが、誰かの力になるのだとしたら、こんなに嬉しいことはありません」

 

今日の感謝は、今日のうちに届ける。寝る前の習慣「ありがとう会」の背景にある葛藤

現在、10歳になる娘さんをシンガポールで育てる美元さん。そんな娘さんが小さいときから続けている習慣が「ありがとう会」だそうです。かわいらしい名前ですが、どのような習慣なのでしょうか?

 

「娘は寝る前に毎晩、家族みんなに『ありがとう』とお礼を言うんです。この習慣、もともとは娘が眠ったあとで『今日は怒っちゃってごめんね』と、娘の寝顔に向けて私が行う反省会でした」

 

「ごめんね」で一日を終えるのは寂しいので、一緒に「ありがとう」も言うようにしていたという美元さん。

 

「そんな私の言葉を、寝ぼけながら娘が聞いていたのだと思います。いつからか『ママ、おいしいごはんを作ってくれてありがとう』『パパ、送ってくれてありがとう』『えいちゃん(美元さんのお父さまの呼び名)、荷物を持ってくれてありがとう』と家族ひとりずつを回って伝えるようになりました。娘からありがとうを言われると、『こちらこそありがとう』『I Love You』『頑張ったね』などと、みんながとっても幸せそうな顔をするので、娘もそれがうれしいのでしょうね」

 

現在、ご主人の提案によって、美元さんはお父さまと同居をされています。その中で、多くの人が体験する「親とのつきあい方の難しさ」を感じるそうです。

 

「夫や夫の家族が、『なんでお父さんと一緒に住まないの』と当たり前のように言ってくれたときは、日本とシンガポールの文化の違いにとても驚きました。父と同居できることがありがたい一方で、葛藤を繰り返す日々でもあります。今、目の前にいる父は私のことをいつも心配してくれて、孫にもとっても優しいおじいちゃんなのですが、どうしても私は過去のすべてを許し切れていません。なので、素直に甘えられませんし、文句ばかり言ってしまうこともあります」

 

お父さまに対して憤りを感じたとき、美元さんが心がけていることがあるそうです。その怒りは、今、起きている事実に対して呼び起こされたものなのか。それとも、過去のできごとがよみがえって感情が揺さぶられているものなのか。この2つを混同しないように、できる限りひと呼吸考えるようにしているそう。

 

「後者の場合は、父に直接ぶつけることはなるべくやめるようにしています。『ママは昔、こういうできごとがあったから、えいちゃんのこの一言や、こんな行動に、とても傷ついてしまう。ママは、えいちゃんの前で悲しいときに泣くのが苦手だから、怒ってしまうの』と娘に説明しています。そんな私に、『ママは、えいちゃんが大好きだから怒っちゃうんでしょ?わかってるよ』と言ってくれます。そんな娘の笑顔が私を癒やしてくれたり、成長させたりしてくれているのだなと感じます」

 

子ども時代の経験や喪失体験、過熱報道から学んだことも、娘に伝えていきたい

最後に、美元さんに、「もしあの騒動がなかったら、今ごろはどんな暮らしをしていたと思いますか?」という質問をしてみました。

 

「もしもあのまま日本で母親になっていたら、仕事人間だった私は、恐らく仕事を休止して家庭に収まることはしなかったと思います」

 

仕事は手放せないいっぽうで、母親がいつも家にいてくれて、温かい手料理のある家庭を夢見ていた美元さん。きっと仕事と家庭を両立させようと再び猛烈な努力をしたことでしょう。そうして頑張れば頑張るほど、自分の中のインナーチャイルドをもっと深く傷つけたかもしれないと感じるそうです。

 

「そう思うと、日本に住むことが難しくなったあの当時のできごとも、今は『母からのギフト、学びのために用意してくれた試練』だったのかもしれないと思えます」

 

そう笑顔を見せる美元さん。

 

「娘には『ママは2回目の結婚なんだよ』と伝えてあります。離婚や再婚は人生の途中経過です。いいことも悪いことも、いろんなことがあって、ここにたどり着いた。自分の価値づけを他人の判断にゆだねることなく、自分の人生は自分で切り開く。『幸せって思ったもん勝ち』、そんなふうに生きてほしいと伝えています!」

 

撮影/畠山あかり ヘア&メイク/kanagon。

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