「結婚20年、夫はモラハラだけど家庭を維持しています」職場で年下男性に恋した50代女性の「性のリアル」って

2023.07.11 LOVE

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音信が途絶える――LINEをはじめカジュアルな連絡手段がいくらでもある現代社会において、それはとても不安を覚えるできごとだろう。何かあったのか、何を考えているのか。まして会社で顔を合わせるのに、プライベートな連絡には応答ナシとなると、ネガティブな想像ばかりしてしまう。

 

東海地方在住のユイさんは、ここ2カ月ほどずっと頭を抱えている。交際しているソウマさんが、LINEに返信してくれない。

 

だからといってユイさんから「なんで連絡くれないの」と詰め寄ることもできない。ユイさんは既婚者で子どももいる。そして彼が、現在50歳のユイさんより15歳年下だからだ。

【40代、50代の性のリアル】#26前編

ゆっくりと二人の距離が近づいたと思ったのに。急に連絡が取れなくなった

 

「彼から連絡が途絶えるのは二度目なんです」と眉間にぐっとシワを寄せ、ユイさんは話す。

 

ソウマさんとの出会いは、職場。他部署に中途入社してきたソウマさんのことを、最初から好ましく思っていた。目立つタイプではないが、よく見ると顔が整っている。人当たりがよくて、誰にでもフレンドリーに話しかける。同じプロジェクトに参加するようになり、頭の回転がとても速いことも知った。

 

「会社ではいくつか趣味のサークルがあって、20~30代が中心だけど私もよく誘ってもらうので参加するんですよ。そこに彼もいて、話してみたら私が好きな作曲家を彼もよく聴いてるって」

 

ふたりはLINEを交換し、その日から頻繁に言葉を交わすようになる。ときにそれは深夜まで及んだ。それでも話し足りないとなれば、「一緒にご飯にいきましょう」となるのは自然な流れだろう。

 

「ふたりとも車なので、お酒はナシでお食事だけ。でも、誘ってくれたのが本当にうれしかったし、彼から私の髪に触れてくることもあって、距離がだいぶ縮まった気がしました。食事だけというのがその後2、3回つづいて……あるとき、急に連絡が取れなくなったんですよ」

 

会社では顔を合わせる、仕事の話もする。けれどLINEでプライベートなことをやり取りしようとすると、返信がないか、あってもほんのひと言、ふた言。ユイさんは、煩悶した。

 

「理由がわからないんです。彼にとっての私って、特別な存在ってわけじゃなかったのか……ああでもないこうでもないと考えて、毎日を過ごしました。でも我慢するしかないんですよね。つらい思いを飲み込んで、引き下がろうと決めました」

 

なぜだろう。彼女は常に「私の側に問題がある」と考え、我慢している

 

我慢する、飲み込む。実はこのフレーズ、別のシーンでもユイさんは口にしていた。それは筆者が、夫との関係を尋ねたときだった。現在は夫の単身赴任中につき別居状態にあるが、結婚以来20数年を共に暮らしてきた。

 

「夫は気が短くて怒りっぽい人なんです。結婚前はお互い好きという気持ちで盛り上がっていたし、そんな一面はわからなかった。でも家族になると遠慮がなくなるのかな、全部さらけ出していいんだと思ったのでしょうね。自分の思いどおりにならないと激しく腹を立てるけど、どこに地雷があるのかわからない。だから私、言いたいことがあっても我慢するんです。飲み込んで黙っていればいい……もう慣れました」

 

この話を聞けばほぼ10割の人が、それはモラハラやDVといわれるものだと思うだろう。しかし、ユイさんは「うまくあしらえなかった自分に問題がある」と感じる。筆者が「そんなことないと思いますよ」と伝えると薄い笑いで応えてはくれるが、気持ちの芯の部分には届いていないようだった。

 

理不尽なことがあっても相手と対峙せず、飲み込む癖がついてしまっているのかもしれない。ソウマさんからの音信が途絶えて4カ月ほど経ったころ、彼からのLINEが突然、復活した。何ごともなかったかのように誘ってくる彼に、ユイさんも言いたいことは山ほどあっただろう。しかしそれも飲み込んで、またふたりで出かけるようになった。

 

「今度は飲みにいくことになりました。彼は近くにホテルをとって泊まり翌朝はそこから出社するというので、時間を気にせず飲んだのですが、二軒目を出たときにキスしてきたんです、向こうから」

 

しかしソウマさんはその直後、ユイさんにごめんなさいと告げ、「好きだけど、付き合うことはできない」と言った。ユイさんは思う――「何も始まってないのに?」。

 

つづき▶「始まってもいないのに、何を終わるの?」踏み込んだら見えてきた彼の側の事情

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