ホルモン補充療法はいつまで続けられる?がんのリスクは?【宋美玄先生に聞く 更年期のこと、私たちの体のこと】#5

毎回大好評!公開取材シリーズ4回目、今回のテーマは「更年期、私たちの体、そしてセックスのこと」。

更年期という時期の過ごし方、体に現れる変化、そしてちょっと気になるセックスや膣まわりのことなど、読者からの生の声を宋美玄先生にズバリ質問。さらには、公開取材に参加してくれた皆様からの質問にリアルタイムで答える形で取材を進めました。

今回は「お寄せいただいたすべての質問にご回答いただく」ハードな公開取材でしたが、なんと60分で24もの質問に答えていただきました!

1時間の取材を12本の記事に起こし、丸ごとお届けする本連載。この記事は5本目です!

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ホルモン補充療法はいつまで続けられる?

質問:49歳です。ホルモン補充療法を4カ月前から開始し、体調は良くなりました。体への悪影響がないのか心配ですが、主治医に聞いても特別な健診などは不要(年1回の会社の人間ドックで十分)、病気になるような薬ではないと言われました。本当に大丈夫でしょうか?

また、やめ時もわかりません、できればずっと飲み続けたいです。やめるのが怖いです。死ぬまで飲み続けても大丈夫でしょうか?

 

宋先生:むかしは、ホルモン補充療法は5年でやめることになっていたのですが、今は安全性が確認されて、期間に限定はありません。それこそ、死ぬまで飲み続けても大丈夫です。更年期になってからは身体が老化してくるし、がんなども増えてきますが、HRTをやっているからといって、通常以上の検診が必要になるということはありません。

 

編集部:逆に、受けておくべきがん検診って何でしょう?

 

宋先生:がん検診でエビデンスがあるものは、乳がん、胃がん、肺がん、子宮頸がん、大腸がんだけです。

 

編集部:健康診断で、女性がんは忘れずに受けておくのがいいですね。血栓のリスクはどうですか?

 

宋先生:ホルモン補充療法の薬のうち、経皮吸収のものなら、気にするほどのリスクはありません。もちろん一般的に、年齢とともに血栓はリスクが増しますが、経皮吸収の薬を使っているときと、使っていないときでは、それほど変わらないです。

 

プレマリンを飲んでいます。がんのリスクが気になります

質問:63歳です。更年期からホルモン投与を10年以上受けています。うつ病持ちで、プレマリンを飲むと落ち着くので、やめられずに来ました。がんのリスクが気になりますが、いつまで飲み続けていいものでしょうか。

 

宋先生:飲んでいるのは、プレマリンだけなのでしょうか? 子宮があると、黄体ホルモン剤も処方されていると思います。その種類によって、乳がんのリスクがちょっと変わってきます。エフメノという天然型の黄体ホルモン剤なら乳がんリスクがあがらないので、みなさんそちらに切り替えていますよ。長期で飲むなら、エフメノがおすすめです。乳がんは頻度の高いがんで、70歳までに1割の人がなります。長期でホルモン剤を飲むなら、少しでも安全なものを選ぶと良いと思います。

 

編集部:60代に入ると更年期という名目ではホルモン剤の投与ができないので、自費になってしまうとかかりつけの婦人科に言われた、という話をたまに聞きます。

 

宋先生:年齢で保険を切られるというのは、地域によってはあるようですが、必ずしもそうではないです。私の患者さんでも、60代で保険適応で(ホルモン剤を)出している方はいます。

 

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(文/星雅代)

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