東大生5人の頭脳でも導きだせない⁉「ケーキを公平に3つに分ける方法」を考えてみた
2つのケーキを公平に分ける方法は
先日、法学の講義中に「ふたりの子どもがいます。ホールケーキが1つあって、公平に分けたいと思います。どうやって分けますか。道具はナイフしかありません」という問いを出された。
東大の多くの講義ではリアクションペーパー(以下、リアぺ)なるものを書かされる。講義を受けた後に、質問や所感を書いて提出することで、平常点が与えられる仕組みになっている。
「このケーキを2つに」問題もリアぺでの回答を求められた。
読者のみなさんは、なにか合理的な分け方を思いつくだろうか。
ぼくは、「一人がケーキを半分になるように切り、もう一人が2つに切られたケーキの好きな方を選ぶ」である。
切った人は半分に切ったつもりだから、2つのうちどちらを選んでも納得する。もう一人は大きいと思った方を選べば良い(明示されていないが、大きい方が嬉しいという前提があることを行間から判断する)。
おそらく東大生なら5秒くらいで95%が思いつく分け方だ。残り5%はさらに素晴らしい切り方を提案したり、屁理屈を言ったりするかもしれない。
この問題の解決は容易だ。ただ、ここで1つ疑問に思った。三人の場合は同じように公平に分けられるだろうか。
3つのケーキを公平に分ける方法は
ぼくの自宅に東大生たち4人がやってきたときに、この問題を解決したいと相談した。彼らはしばらく沈黙してから、議論を始めた。
数学で出てくる「場合分け」という仕組みをつかって考えてみることにした。場合分けとは、「この場合ならこちらを実行、そうでなければあちらを実行」というように、場合に応じて複数の処理方法のなかから選んで実行すること。高校数学で習った記憶がある人もいるのではないでしょうか。
まず、便宜的に3人に名前をつける。
3人のうち誰かが最初にケーキを切らなければいけないので、彼をA、その次に切る人をB、切らない人をCとした。
1人が2回ケーキに入刀すると…
Aが1回目も2回目も切る場合を考える。
縦に2回包丁を入れるとケーキは①②③の3つになるが、ケーキの大きさがちょうど同じでないならば、ケーキを切っていない二人が公平にケーキを取ることができないので、この方法は採用できない。
2人が1回ずつケーキを入刀すると…
次に、1回目に切るAと2回目に切るBが存在する場合を考える。
Aは1/3(①と呼ぶ)と2/3になるように切る。次にBは2/3を切るがここで工夫が必要だ。Bの気持ちになって場合分けしなければならない。
・場合分け❶
客観的に見て①が1/3以下の場合。2/3を半分に切ればよい。それをまずCに選んでもらい、もう一方をBが選び、Aは自分で切った①を取れば公平だ。
・場合わけ❷
客観的に見て①が1/3より大きい場合。ここからが難しい。
2/3をちょうど半分に分けても、Cが①を取るので、Bは確実に Cより小さいケーキを取ることになる。
だから、2/3を分けるときに、①と同じ大きさになるように切る。これを②としよう。2/3を②と③に分けるので、③は一番小さい。
3つに切り分けられた①②③を誰から順に取るべきだろうか。
まず考えられるのはCだ。Cが①と②の中で大きいと思う方を選ぶ。Bは①と②を同じ大きさに切ったつもりなので、どちらでも納得する。
さて、Aは余った③を取ることになるが納得するだろうか。
▶つづきの【後編】を読む
東大生たちがさらに議論をすすめる! 「場合分け❷」の条件で、さらに3つの場合分けをして議論を進めていくと……。
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