
「私の人生、こんなはずじゃなかった」元TBSアナが「日常になんとなく不満を感じた人に観てほしい」と語る意外な作品とは
アンヌ遙香です。今おすすめしたい映画や映像作品をフックに今思うことを語る連載で、今回は『笑ゥせぇるすまん』をクローズアップ。
【こちらも読まれています】◀◀◀元TBSアナの幼少期に強烈なインパクトを残したクセあり作品。大人になって観てみたら「人生をやり直したい」モヤモヤ、不満、ストレス描写にどハマりしてしまい
誰かと人生、交換したいですか?
たしかに、誰かと人生を交換する、もしくはあるピンポイントの時期から人生をやりなおしたいという願望や妄想は、誰もが一度は胸によぎることがあるかも。昨今ではキラキラしたSNS投稿をしている友人やインフルエンサーに刺激され、それに比べて自分は……と落ち込んでしまうひとも多いのでは。
数あるエピソードの中で私が印象的だったのは「初恋」というもの。多くが男性主人公である中、めずらしく主婦を主人公に据えたエピソードです。
かつての交際相手だった陶芸家・唐津陶吉の個展に足を運んだ主婦・恋野夢美(36)。夫と娘と平凡ながら幸せな生活を送っている夢美でしたが、「あの時もし陶吉さんと一緒になっていたら……」という思いがよぎります。そんな夢美に、喪黒の誘惑が、、、というストーリー。
自分の生活にはなんの不満も抱いていないはず。でも、昔交際していたときには一文無しだったはずのかつての恋人が、今や押しも押されもせぬ人気陶芸家になり、彼の妻は華やかな生活を送っているという現実。「初恋の淡い思い出」では済まされないような複雑な感情が沸き起こり、その考えが頭から離れなくなります。そんなある日、年頃の娘が出来心から補導されてしまい、日々帰宅が遅い夫から「お前がしっかりしていないから」と責められ、自分の中の何かがプツリと切れてしまいます。
一方で初恋相手である陶吉も、商談担当である妻の尻に敷かれていることにうんざりしていました。再会した二人は手と手をとりあって出奔。夢美は、「あるはずだったもう一つの人生」を選ぶべく、これまでの人生を捨てて新たな人生を歩み始めます。でも、、、というストーリー。これが10分で観られるのですよ。
私の人生、こんなはずじゃなかった!?
夢美がどのような人生を歩むことになるのか、気になる方はぜひご覧いただければと思いますが、これは「笑ゥせぇるすまん」が醸し出す世界。結局は「私の人生、こんなはずじゃなかった」という言葉が夢美から最後に飛び出すのです。
最近SNSでたまたま拝見し印象に残っているのが、作家の湊かなえさんの言葉。「誰かの人生と交換することになった時、手放したくないと思ったことがあなたの人生の宝物。」ずしりと胸に来ました。もちろん、「こんな人生一からやり直したい」と思う日、誰にでもきっとあるでしょう。なにもかも投げ出したいと思うときだってあるでしょう。
ただ、思い返せば、家族、友人、ペット、好きな趣味、幼少期の記憶。ひとつひとつのピースを組み合わせればどれもが希少で、実は誰とも交換なんてできない、と感じさせる宝物の人生の断片がそこには一つは絶対あるはずなのです。
そしてこの「初恋」のエピソードから私が強く感じたのが、「もうこんな人生やりなおしたい、これは私の人生ではない」と感じてしまうときは、たとえどんな人生を歩んでいても同じような考えに至るのではということ。よくよく考えれば、「自分の人生捨てたもんじゃない」と感じさせるポイントがあるはず。でも、でも、どうしてもそう思えないのだとしたら、喪黒福造に新しい人生を与えてもらったつもりで、わっとあたらしい環境に飛び込むのもアリかもしれません。でも絶対後悔してはいけません。振り返ればすべては、この瞬間に至るまでの道程であるわけですから。
日常になんとなく不満を感じたら、『笑ゥせぇるすまん』をちょっと覗いてみてください。いつのまにか喪黒福造に「癒されて」いる自分がいるかもしれませんよ。
アンヌ遙香
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院ジェンダー日本美術史修士。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』等担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、TVコメンテーター、タレントとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト/YouTube『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。仏像と犬を愛す。
『笑ゥせぇるすまん』
7月18日(金)からPrime Videoで独占配信
©藤子スタジオ/TV TOKYO
誰もが知るアニメキャラクター“喪黒福造”を、日本一の憑依型キャラ芸人・秋山竜次氏が演じ、宮藤官九郎氏やマギー氏ら脚本家チームが、ダークでメルヘンなアニメの世界観はそのままに、完全オリジナルの脚本で描いたテレビドラマ『笑ゥせぇるすまん』を7月18日(金)から独占配信。各エピソードには、毎回主演級の豪華ゲストが出演するのも見どころのひとつ。お楽しみに!詳細はこちらから
続きを読む
スポンサーリンク
【注目の記事】
- 「更年期世代は枕がオジサン臭くなる」って先輩が言ってたけど、私の場合はそれだけじゃなくて【マンガ100人の更年期R】#5
- Snow Man宮舘涼太も驚愕「3人に1人が栄養不良」の危機を打破するお弁当のポテンシャルに期待!「これならできそう!」43歳が救われた理由
- 【ユニクロ】ゆるっと着ても野暮ったく見えない。黒ワイドパンツで大人の体型カバー【40代の毎日コーデ】
- 夏の通勤に万能なネイビーパンツ。選ぶポイントは、着心地・ラクラクお手入れ・体形カバー!【40代の毎日コーデ】
- 女性の毛髪への新アプローチ「S-DSC毛髪再生医療」とは?「毛の成長を促す起点となる細胞の一つを移植する」治療への期待を専門医に聞きました
- 形がきれい!合わせて着るだけで上品見えする【ユニクロ】の黒セットアップ【40代の毎日コーデ】
- 【立ったまま1分!骨盤矯正】体のねじれを整えて、垂れ下がったお尻もぷりっと丸く引き上がった【鬼軍曹ゆか様ダイエット】
- 熱中症「頭が痛くなった」はもう危険スレスレ!昨年の倍搬送されている2025年、「この梅雨明けまえがいちばん危ない」これだけの理由【専門家が解説】
- 48歳独身女性、立ち上がろうとした瞬間「あれ??」。このめまい、もしかして「更年期」なのかな?【マンガ100人の更年期R】
- 「まさか、私が乳がんに?」53歳でがん告知。抗がん剤で動けないつらい日々に、私を支えてくれたものとは
- 大人気【ユニクロ】ワイドスウェットパンツ。オシャレな人が購入しているカラーとは【40代の毎日コーデ】
- 「意地でもシミを増やさない」紫外線対策4つのポイント。「日傘だけでは不十分!?」50代美白のカリスマ美容家さきめぐ先生に聞いた
- 【熱中症搬送数激増中】実は6月下旬からの「高湿度」が最も危険!「さぼると熱中症リスク激増」の意外すぎる習慣とは?
- 「私の老化度、本当に54歳ぶんなのかな?」更年期以降は全員が気にしたい「自分の生物学的年齢」を計ってみたら衝撃的すぎる結果に
- 「体温が1℃下がると太りやすくなる」問題が、更年期世代の女性にとって特に深刻なのはなぜか?「お風呂に入る前たった1分でできるヤセ習慣」とは?【石原新菜先生が解説】
- 超激務ヘアメイク藤原美智子さんが「42歳で思い切って変えたこと」その顛末は?「顔も体も片側だけ引き攣った状態になるまで」働いて
- 「更年期のあと」ってどうなりそうですか?54歳コンビが語る「ここまでは冗談みたいにしんどかったけれど」の話
- 43歳、新しい職場で心が折れた。でも、25年ぶりにピアノを弾いたら胸が熱くなって──そこから私の転機が始まった
- 更年期後に「消える症状」と「そのまま残る症状」って?7万人のデータが教えてくれる「更年期の真実と、これからの人生」
- 更年期、どうやって乗り越える?運動、食事、サプリ、そして注目成分「ゲニステイン」まで、更年期の専門医が教えます
- 今の生活が「しんどい」なら「命の前借り」をしている証拠。知らずに「疲れを溜めてしまう」生活習慣とは【医師監修】
- 【徹底検証Hip Fit】はいて1日23分、ながらで使える手軽なヒップトレーニング!SIXPADの女性向けショーツタイプEMSで「ヒップから健康」は叶う?
- 「1年で約6倍」老化スピードが速い人と遅い人、その違いは?美人女医が伝えたい老化を早める3つの原因【医師監修】