
従順な妻にモラハラ夫が仕掛けた「信じがたいワナ」そんな仕打ちがあり得るのか
夫婦問題・モラハラカウンセラーの麻野祐香です。経済的に自立した「働く女性」であってもなお逃げ切れずに苦しむ夫のモラハラについて、長年に渡りカウンセリングを続けてきた私なりの対策をお伝えしています。
前編『モラハラ夫に25年間苛まれても「いまなお逃げられない」妻の悲しすぎる理由。「田園都市線沿線の専業主婦によく聞くお話です」』に続く後編です。
ゴミを捨てるか捨てないか。従順な妻にモラハラ夫が仕掛けた「信じがたいワナ」
さて、モラハラ夫には特有のパターンがあります。Bさんの夫も例に漏れず「モラハラに周期がある」「機嫌のいいときと悪いときの差が本当に激しい」タイプでした。機嫌のいいときは本当に優しく、Bさんに対しても思いやりを持って話をしてくれます。でもモラハラ時期の夫は、本当にひどいものでした。
「私が部屋の掃除をしていたときのことです。夫の部屋はベッドをととのえて掃除機をかけるだけにして、ほかのものはいっさい動かさないようにと言われていました。もちろんその日も掃除機だけをかけ、シーツを替え、ベッドをいつも通りととのえていました」
そのときBさんは、ベッドの下に丸めてくしゃくしゃのゴミを見つけました。何もいじらないようにと言われていたものの、無意識にそのゴミは拾って捨てました。
「本当に無意識だったのです。でも帰宅した夫は『部屋のもの何も動かさないようにって言ったよな』と私を睨むのです。机の上も本棚もいっさい動かしていないので、『動かしていません』と返事をしましたが、『ベッドの下に丸めた紙があったよね。それがなくなっているけど』と鬼の首を取ったように責め立てます」
Bさんは自分の顔色が変わっていくのがわかりました。確かに、無意識とはいえ、そのゴミを捨てた記憶がありました。でも、ゴミがどうしたの?なんでそんなことを言われる?と、意味がわかりませんでした。
「『ゴミでしょ』と恐る恐る答えた私に、夫は『何もいじるなって言っているのに、それもできないのか。あのゴミはキミが本当に俺の言いつけを守れるかどうかのテストだったんだ』と言い出しました。『キミはいつも家にいて掃除や洗濯、育児をしているというよね。だから僕はキミに生活費を渡して不自由ない暮らしをさせているだろう。でもキミは僕のことを尊敬もしていないし、大切だとも思っていないね。だから何も触るなという約束一つ守れないんだろう』」
それがゴミであったからこそ、何も考えず無意識に拾っていた。いうまでもなく、これは常識に照らして家の中を清潔に保つための当然の行為です。でもモラハラ夫はおかまいなしにBさんを責め続けました。
「キミは信用できない女だね」
「キミは妻失格、母親失格」
「キミは嘘つきだ」
「夫は私の心がえぐられるような言葉を次から次へと私に浴びせます。私が事情を話そうにも声を出すチャンスすら与えず、そればかりか『なぜこんな女を妻にしてしまったのか、自分の人生の最大のあやまちだ』とまで言うのです。ゴミを一つ拾って捨てただけでここまで言われるなんて。私はそんなにひどいことをしたのでしょうか」
結婚生活をスタートしてから25年間、このような夫との暮らしを延々と我慢してきたBさん。とうの昔から心を病んでいますが、体調を崩して朝食を作ることができなければまた責められるので、気力だけでなんとか毎日家事をこなしています。あと2年たち、下の子が大学を卒業したら離婚することだけを生きる希望にしています。
本人がそれでもなんとか心のバランスを取っているのであれば、周囲は見守るのが最善
大学生とはいえ、子どもたちもじゅうぶんに成長しているので、離婚してみてはどうかと聞いてみました。
「子どもが大学を卒業してからと決めているので、あと2年。夫は私のことを冷酷に責めることもありますが、いい人の時はいい人なので我慢できるのです。もしかしたら私の大切さに気づいてくれるのかもしれないし。ここまで我慢したのだから2年くらいどうってことないです」
Bさんはこうおっしゃいますが、モラ夫が考えを改めたり、気づいたりすることは残念ながらありません。Bさんの心が強くなったというより、麻痺してしまったのかもしれません。このようにご自身でここまでという期限をつけている場合、不安定ながらも本人はバランスをとっているため、周りはとやかく言わずに見守っていくことが大切です。私も全力でサポートを続けていきます。
モラハラはわかりやすい暴言を浴びせるだけではなく、Bさんの夫のように理詰めで揚げ足をとり、手を一切あげることなく心をつぶしにくるタイプもいます。知能が高い人によく見られます。しかし、どんなタイプのモラハラであれ、すべてはDVであり、幸福に生きる権利の蹂躙です。どうかひとりで悩まずに、相談できる相手を見つけてください。
つづく▶『モラハラ夫に25年間苛まれても「いまなお逃げられない」妻の悲しすぎる理由。「田園都市線沿線の専業主婦によく聞くお話です」』
夫婦問題・モラハラカウンセラー 麻野祐香
モラハラ/HSP専門カウンセラー。モラハラで悩む方の心を守ることを使命とし、カウンセリングとTikTokライブでモラハラとHSPで悩む方のサポートを続けている。モラハラと夫は別れるべきと勧めることが多い中、離婚をしたくても事情があって別れられない人々のために、モラハラ夫からの自分の心の守り方を発信。著書「モラ夫のトリセツ」「夫婦の気持ちすれ違い解消ドリル」「モラ夫のトリセツ2」
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