
平安貴族の「めちゃモテ姫」に必要だった意外な「素養」とは?「現代人でよかった、私にはムリだわ」
*TOP画像/まひろ(吉高由里子) 大河ドラマ「光る君へ」13回(3月31日放送)より(C)NHK
『光る君へ』ファンのみなさんが本作をより深く理解し、楽しめるように、40代50代働く女性の目線で毎話、作品の背景を深掘り解説していきます。今回のテーマは平安時代における「女性の就業」について。
前編記事『平安時代の庶民が「できなかった」ために苦汁をなめたことって?「現代でも似たようなことがまだ起きてるよね」』に続く後編です。
平安の昔から、働く女性は存在した。でも、現代と大きく違うことは
女性も最近になってようやく外に働きに出るようになったというイメージを抱きがちですが、そういうわけではありません。
平安時代は中下級貴族の姫君の中にも働きに出る人は多くいました。中下級貴族の娘にとって宮廷は憧れの職場ともいわれています。当時においても出世という概念はあったため、キャリアアップに励む女性も珍しくありませんでした。(清少納言はキャリアウーマンタイプの女性です)
いつの時代においても秘書は女性にとって憧れの職業といえるのかもしれません。帝の秘書官的な役割を担う内侍司 (ないしのつかさ)での勤務に憧れる女性は少なくなかったようです。
ただし、当時は女性が顔を人に見せることは品位に欠けると考えられていたため、人に顔を見られるリスクの高い宮仕えの女性を好まない男性もいました。
また、自活しなければならない事情があって、自分よりも身分が高い貴族の家に女房として仕える女性もいました。藤原伊周の娘の二女は父亡きあと、藤原道長の長女・彰子の女房として迎え入れられています。彼は娘が女房として仕えることを好んでいなかったため、彰子は父の思いや意志に反する出仕でした。
もちろん、庶民の女性も働きに出ていました。田主に雇われて田植えをする女性、市で商いに従事する女性、薪を売り歩く女性もいました。
天皇の后の座を射止めるために必要だったのは、美貌や家柄に加えて…えっ、ソレ?
女房とは女官の中でも地位が高く、房(部屋)を与えられる女性です。女房は人にお仕えするという立場からメイドをイメージする人もいるかもしれませんが、メイドに近い立場は下仕えや下女。
女房は雑務だけではなく、姫君の教育も任されます。また、皇族の乳母は女房の中から基本的に選ばれました。このため、教養や学があることはもちろん、ある程度の家柄の娘でなければ採用されません。
権力者は我が娘が天皇から寵愛を受けられるように、教養ゆたかな女性に育ってほしいと願っていました。上流貴族は教養のある女性や著名な歌詠みを女房として招き、娘の身のまわりの世話、和歌などの教育を任せていたのです。
彰子には紫式部だけではなく、和泉式部、赤染衛門など名だたる歌人が女房として仕えていました。彼女の女房は40人ほどおり、家柄が特によく、教養ある女性が多かったと伝わっています。
中下級貴族の場合は、母と娘で同じ姫にお仕えすることもありました
最近は、職場に我が子を連れてくることを許可する企業や公的機関が話題に挙がることもありますよね。親が仕事をしている間、子どもは読書や宿題などをして過ごすんだとか。
一方、平安時代は母と娘が同じ職場で働くケースも多々ありました。
女房の中には幼い頃は女童(7歳から16歳くらい)として仕えていた女性もいます。母親が女房の場合、7歳くらいから母親の勤め先で女童として働く女子も多くいました。
紫式部の娘・賢子は母親と同じく、彰子に仕えていました。また、彼女は彰子の妹・嬉子にも仕えており、この縁で出世を果たすことになります。
女童は使い走りのような雑用も任されますが、美しく着飾ってサロンや行事、儀式などに参加したり、女主人から和歌を教わったりします。将来は女房、そして立派な妻になることが見込まれています。
当時、今でいう小学校や中学校のようなものはなかったため、中流層以上の生まれであれば働きながら、淑女になるための教育を受けるケースもあったのです。
参考文献
・服藤早苗『「源氏物語」の時代を生きた女性たち』NHK出版 2023年
・福家俊幸『紫式部 女房たちの宮廷生活』平凡社 2023年
スポンサーリンク
【注目の記事】
- 運動嫌いだった56才、ゆがみを整えたら「ネガティブな性格」を卒業できた。「離婚から立ち直り、推し活も始めました」【鬼軍曹ゆか様ダイエット】
- 48歳独身女性、立ち上がろうとした瞬間「あれ??」。このめまい、もしかして「更年期」なのかな?【マンガ100人の更年期R】
- 「まさか、私が乳がんに?」53歳でがん告知。抗がん剤で動けないつらい日々に、私を支えてくれたものとは
- 【ユニクロ】サマーニット×タックワイドパンツ。今夏のオフィスコーデに選びたい色とは【40代の毎日コーデ】
- 【熱中症搬送数激増中】実は6月下旬からの「高湿度」が最も危険!「さぼると熱中症リスク激増」の意外すぎる習慣とは?
- 「私の老化度、本当に54歳ぶんなのかな?」更年期以降は全員が気にしたい「自分の生物学的年齢」を計ってみたら衝撃的すぎる結果に
- 「体温が1℃下がると太りやすくなる」問題が、更年期世代の女性にとって特に深刻なのはなぜか?「お風呂に入る前たった1分でできるヤセ習慣」とは?【石原新菜先生が解説】
- 超激務ヘアメイク藤原美智子さんが「42歳で思い切って変えたこと」その顛末は?「顔も体も片側だけ引き攣った状態になるまで」働いて
- 43歳、新しい職場で心が折れた。でも、25年ぶりにピアノを弾いたら胸が熱くなって──そこから私の転機が始まった
- 更年期後に「消える症状」と「そのまま残る症状」って?7万人のデータが教えてくれる「更年期の真実と、これからの人生」
- 「猫背・巻き肩の54歳がびっくり」着るだけで理想的なS字姿勢が身につく話題のインナーウエアをご存じかしら
- 更年期、どうやって乗り越える?運動、食事、サプリ、そして注目成分「ゲニステイン」まで、更年期の専門医が教えます
- 今の生活が「しんどい」なら「命の前借り」をしている証拠。知らずに「疲れを溜めてしまう」生活習慣とは【医師監修】
- 【徹底検証Hip Fit】はいて1日23分、ながらで使える手軽なヒップトレーニング!SIXPADの女性向けショーツタイプEMSで「ヒップから健康」は叶う?
- 「1年で約6倍」老化スピードが速い人と遅い人、その違いは?美人女医が伝えたい老化を早める3つの原因【医師監修】
- 「一度使ったらやめられない」人気スタイリストも40代編集もリピ買い中の『涼ブラ』って?「滝汗でも不快感なし」「つけ心地がラクなのに~」続々と魅了される理由とは?
- ゲッターズ飯田「引っ越すときに確認すべきたった一つの大切なこと」とは?運気を上げる心構えの基本は
- 57歳「更年期が終わったあと」には何が起きますか?美容ジャーナリスト・小田ユイコさんの場合は