更年期とセックスレスは関係アリ?この先50年も愉しんで【100人の更年期#8】

一般に、閉経の前後5年を更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は50歳なので、45-55歳の世代は更年期に当たる人が多いもの。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。

 

今回は、夫婦関係をテーマに、執筆活動、カウンセリング、対談、TV出演など多くの分野で「パワフル」の代名詞のようにマルチに活躍するカウンセラーの三松真由美さんにお話を伺いました。こんなにパワフルな人でも、かつて更年期症状には苦しんだのですね。

 

【100人の更年期♯8 作家・カウンセラー 三松真由美さん】

 

プロフィール
恋人・夫婦仲相談所 所長/執筆家。
夫婦仲、恋仲に悩む女性会員1万3千名を集め、「結婚・再婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。
「理想の結婚」「堂々再婚」「セックスレス」「ED」のテーマを幅広く考察。
ED診療ガイドライン作成委員。セックスレス改善に定評がある。
著書 夫婦の「幸せ循環」を呼ぶ秘訣 (講談社α新書)、
『40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣』(扶桑社)「堂々再婚」(wave出版)他多数。

 

日頃元気だからわかった「疲れがひどく残る」状態の異常

更年期の到来を感じたのは55歳のときでした。周囲からは全然そう見えなかったらしいのですが(笑)。

 

夜のお食事会や飲み会に行くと、翌日ぐったりして、お仕事しようという気持ちにならなくなってしまったんです。

 

もともとお付き合い程度にしか飲まないので、深酒をして二日酔いというわけでもないのですが、とにかく起きても原稿を書く気にならなくて。

 

こんな状態では、元気がないから取材を受けてもキレがない。「疲れがひどく残る」悪循環の状態に陥ってしまいました。

 

30代からずっと、生活は規則正しいんです。朝7時に起きて、りんごとにんじんのスムージーを飲んで、午前は原稿執筆。午後はカウンセリング、取材を受ける時間に当てています。週3回はジムに行くようして、家事もこなして、夜は11時には寝ていました。

 

40代までは1日おきに会食や接待があっても大丈夫でしたが、50歳過ぎてからさすがに2日日続くと疲れるようになり、自宅でのんびり夕食を作って食べたほうが翌日の調子がいいことに気づいて。

 

 

更年期とセックスレス、私は関係あると思います

私は仕事でセックスレスの女性がたへのカウンセリングをしています。30代後半にホットフラッシュやうつっぽい症状で悩む人がいます。個人的見解ですが、若くてこの症状が出るかたにセックレスで悩む方が多いかなと。

 

 

医学的にはセックスと更年期症状は無関係とされます。大勢のセックスに悩む方々にお会いすると無関係だとは思えなくなります。セックスレスでないということは、他者に求められて、女性として認められる嬉しい感覚です。30代で夫に求められなくなってしまうと「もう卒業よ」と口では言うものの、「おばちゃんになってしまった??だから夫に触ってもらえない?」という小さな疑問が芽生えます。また、セックスがないと、女性の性器官が動くことがありません。セクシーなことを考える脳の領域も動きません。

 

 

夫婦仲相談所に来られる方々は、仕事も家事も美容もおこたらない方が圧倒的多数です。

 

 

セックスレスに悩む方々は、ちょっと早めにホットフラッシュ、ふくらはぎのこわばり、倦怠感などの更年期症状が出てきている傾向を感じます。私は自分が更年期障害になるずっと前から、「更年期って年齢じゃないんだな」と思っていました。つまり、本人の健康状態だけではない、取り巻く環境、生活スタイルも関わっているのだと思います。

 

 

他の人なら「こんなものか」だったかもしれないけれど、私は打ちのめされた

私の話に戻しましょう。私の母は私の10倍すごい、ものすごく元気な人で、更年期で悩んでいるそぶりなんてみじんも感じませんでした。

 

また、私自身、きっと人よりは更年期がラクなんだろうなという感覚がありました。ずっと運動していますし、友達付き合いも多いし、メリハリがある生活を心がけていますから。アクティブに生活している人ほど軽い傾向があるのを知っていたんです。

 

だけど、それは甘かった。実際は55歳のとき前述の疲れの取れない状態になり、「これが更年期か」と打ちのめされました。女性ホルモンが、これほど偉大なものと、初めて知りました。

 

もともと活動量が多いので、少しパフォーマンスが落ちただけで、「ああ、だめだ。終わった。隠居しよう」と感じました。計測で出てくる女性ホルモンの数値と、体感の辛さは違います。

 

前後して、風邪のいちばんひどいときのような喉の痛みが2ヶ月以上続きました。リンパ腺が腫れているのに、どんな検査をしても原因不明のまま。

 

「このまま元気のないおばあちゃんになっていくんだな…」

 

絶望的な気持ちになっていましたよ。

 

 

この年に母が倒れてしまい、介護が大変だったこともあります。あの気丈な母が弱ってしまった……ショックでした。

 

 

でも、周囲には「更年期?いやいや、元気じゃん!」と言われてしまうんです。だって、週3回ジムで踊るし、ヨガするし、ママ友会にも参加するし。でも、私にとってそこはルーチンなんですね。ぐったりしているより、運動しているほうが楽しかったんです。

 

 

私の更年期症状はある日突然バッと出るのではなく、1年くらいかけてちょっとずつ出てきました。

 

あれ、私こんな悩み症だったかな、キャラが変わってない?とふと気づき、すぐ医師に女性ホルモンパッチを処方してもらいました。

 

でも、パッチは痒くなっちゃうんです。そこで、女性ホルモンパッチ以外にいいものはないですかと相談して、自由診療でのテストステロンの注射を勧められて。すぐ取り入れました。

 

テストステロンは副作用も予見され、量の調整が難しいとのこと。とりわけ女性に打つ場合は量を守らないとなりませんが、男性的な活力の根源なので、元気のない人は目に見えて元気になるそうです。

 

私も、どれだけ検査しても原因不明だった喉の痛みがさっと取れ、やる気がみるみる復活。認可されている治療ではありませんが、合う人にはばっちり合います。

 

もちろん、年はとっていますから体力そのものは落ちているのですが、「私もうおばちゃんだから無理…」というように気力で負けてしまうことがなくなりました。

 

 

セクシュアルな異性関係があるかどうかが大事

医学的には、セックスと更年期は関係ないとされます。私は日頃のカウンセリングの経験から、軽いスキンシップや手をつなぐ行為以上の、一歩発展した、お尻をなでられるようなセクシュアルな異性とのやりとりがあるかどうかは重要だと感じています。必ずしも挿入をともなう営みをする必要はありません。妻が更年期ということは夫も更年期です。体力と気力は減少しているはずです。

 

 

単なる軽いハグではセクシュアルなスイッチが入りません。私は著書やコラムで「セクシースイッチをオンにしましょう」と表現していますが、このスイッチを自分でオンにできる女性は更年期障害も乗り越えやすいと思います。

 

ちなみに、私は職業柄、毎日セクシースイッチはオンです。カフェで朝から官能小説連載を書くこともありますし。

 

更年期とは、自分のセックスを見直すことができる人生最高の機会だと思っています。人生100年時代に30代でセックスレスになりそのまま年を重ねるのが寂しいと考えたことがありませんか。

 

セックスレスには、夫との関係性だけでなく、ご本人の病気、子供の教育、介護、死別などいろいろな背景があります。

 

だから「セックスのことは考えないようにする、と決めつけないで」と相談者には伝えています。自分にとってのセックスの定義を決める時期でもあると思います。

 

「ほかのことが楽しいから今のままでいい」場合は別です。でも、少しでも、夫や彼にキュっと抱きしめてほしいという気持ちがあるなら、見つめ直してほしいです。ひとの3大欲求のひとつをなぜに封印するのかと。

 

 

性の世界は自分で開く

セクシースイッチの入れ方は、人によってさまざまです。みんな好みが違います。まずは官能小説やエロチックな映画やドラマに毛嫌いせずに触れてみる。それで「あら?ドキドキする」と思うことがきっかけです。

 

更年期障害を感じてからは、それすらヤル気がなくなります。予防として40歳を過ぎたら、自分のセクシースイッチを探し始めるのもいいでしょうね。

 

セックスレス専門の相談を受けている立場としての更年期対策ですので、医学的に絶対効く!というわけではありません。ただ、疑似恋愛感情や、セクシーな妄想で、元気になった方々の話も聞いています。イケメンアイドルのおっかけを始めて月経が甦ったかたは、いつも疲れた顔でしたが、別人のようにきれいになられました。

 

まさに性の世界を自分で開かれたかたでした。

 

ひとそれぞれの更年期の乗り越え方があるでしょう。わたしは、運動と友達との交流以外に『自分の性に関する仕事』から、対策を講じることができました。

 

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【100人の更年期】隔週日曜20時連載です。

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