SNSで「デマを撒く人」の意外な正義感とは?正しそうだから正解とは限らない

2020.03.14 LIFE

こんにちは。「予防医療」のスペシャリストで、医師の桐村里紗です。

この連載では、人生100年時代の折り返し地点、50歳になる前にやめたい悪習慣についてお伝えしていきます。

オイルショック並みにトイレットペーパーが棚から消える現象が発生によって、デマに流されやすい人の特徴が見えてきました。

【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」#18

ウイルスより情報の方が感染する

ウイルスよりも「情報ウイルス」の方が早く感染拡大すると痛感する今日この頃です。

 

日本全体が閉塞ムードの中、心にじわじわと広がる不安と恐れ。

 

終息の気配がなく、先が見えない状況の中で、何か情報が欲しい。

 

そんな時に、「トイレットペーパーが無くなるかも」という情報が流れてきたら、潜在的なざわつき程度だった不安や恐れの気持ちが一気に表面化して、不確かな情報とわかっていても、つい行動に駆り立てられてしまうのが多くの人間の心理です。

 

人間は弱く利己的な生き物

人間は、弱い。

 

特に、一番根源的な恐れである「生死」に関わる一大事の時には、まず生存本能として自分を守ろうとします。

 

だから、その人たちを利己的だとは非難できません。

 

また、今回の行動は、母性にも関連しています。

 

母性が強い人ほどデマで行動しやすい

母性とは、親ライオンが子ライオンを必死に守る本能ですが、一方で近づいてくる他者を全て外敵とみなして排除しようとします。

 

母性が強い人は、男女問わず、家族を必死に守ろうとします。

 

家族の安全と幸せを守るためなら何でもしますし、家族を脅かす他人や出来事の一切を許しません。そのような状況では、社会のことなど頭には一切なくなります。

 

「うちの家族がお尻を拭けなくなるなんて、絶対にダメ!」という気持ちから、他人などお構いなしに、我が家の為にトイレットペーパーを買いに走ってしまうのです。

 

デマに流されないために出来ること

でも、今回はデマだったわけですから、本来は流されたくはありません。

 

デマに流されない為には、自分の軸をしっかりと持つこと。

 

デマに流される人は、自分の軸がしっかりしない人です。

 

他人の言葉を受けて、自分で判断せずに、そのまま行動に移してしまいます。

 

自分で考えて行動しているかに見せかけて、全く考えていない。

 

自分の軸となる価値観や判断基準が明確になく、ご都合主義で日和見的な生き方が身についています。

 

他人に操作される脳のプログラム

これは、デマを受けての行動だけでなく、あらゆる行動に応用されている脳のプログラムです。

 

SNSで有名人が「〇〇がいい!」と言ったら、スーパーの棚が空っぽになるのと同じ原理です。

 

でも、あなたには、本当にそれは必要ですか?

 

その行動は、あなたの本当の気持ちからですか?煽られていませんか?

 

それを、今一度問いながら行動してみてください。

 

「正しさ」だけで判断しない

また、一つの情報だけが正しいとは限らないと常に疑ってみることが大切です。

 

情報社会に溢れる情報はカオスであり、デマやフェイクに溢れています。

 

「正しさ」で判断したとしても、専門家の主張でさえ、食い違うことが多いものです。ですから、同時に「自分がどうしたいか」も判断材料にした方が良い。

 

つまり、やはり自分の軸が必要なのですね。

 

総合的に判断して冷静に行動を

その上で、社会全体の動向などを総合的に判断して、行動することが賢明です。母性を発揮して家族を守ろうとする行動は、家庭を守る人としては立派ですが、社会性に欠けてしまいます。

 

周りの動向はどうかな?社会全体はどうかな?

 

周りの友人と喋ったり、ニュースや情報を見て、社会全体と繋がりを持ちながら、自分がどうすべきかを冷静に考えてみましょう。

 

コロナウイルスが収束せず、この状況が続く場合、また新たなデマが拡散しないとも限りませんから、振り回されないように備えましょう。

 

【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」、週1回、土曜の夕方に配信!】

文/内科医・認定産業医 桐村里紗

tenrai代表取締役医師。1980年岡山県生まれ。2004年愛媛大学医学部医学科卒。内科医・認定産業医。治療よりも予防を重視し、最新の分子整合栄養医学や生命科学、常在細菌学、意識科学、物理学などをもとに、執筆、webメディア、講演活動などで、新しい時代のライフスタイルとヘルスケア情報を発信。著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)ほか。

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