ダメ出しやキャンセルがうまい人が実践する「頼みごと」の秘訣

提案されたものが理想から遠いものだった、 都合により予定が変わったなど、ビジネスシーンでは想定外のことが日常茶飯事に起こりますね。

 

本当に仲の良い友達であれば 「このデザイン、私の思ってたのと違うんだよね」「ねえねえ、ドタキャンになっちゃうかも。別の日にできないかな」などと言えることでも、仕事ではこれが無理です。そこでお願いのメールや依頼文などを送ることになります。

 

最近は様々なテンプレートが出ていますので、言葉選びも楽ですよね。ところが、このようなテンプレートの言葉をつぎはぎしただけの文章では、結局真意が伝わらず、戻ってきた返事に再びがっかりするということにもなりかねません。

 

自分ががっかりするだけでなく、相手も無駄な労力を二度三度費やしてしまうことに。それは、文面で気配りをしすぎているからなのです。どうして気配りのし過ぎで依頼などのメールが台無しになってしまうのでしょうか。

 

「相談する」のか「お願い」なのか

ご相談」という当たり障りのない言葉があります。相手を傷つけずに、しかも相手がプライドを保てる言葉です。

・ご提案ありがとうございます。しかしながら、デザインの部分に関してはご相談さしあげたいことが
・誠に申し上げにくいことではございますが、イベント開催に関してご相談いたしたく存じ

このように便利な言葉というものは、まるでオブラートに包んだように、心に引っかかることなく流れます。美しく見えます。しかし、心に引っかからないということは、相手の注意がそこに向きにくいということでもあります。

・デザインのやり直し
・イベント開催のキャンセル

など、相手にとって本当に大変なことを、やんわり言うことが、どれだけ誤解を生む可能性があるのか、反対の立場であれば分かると思います。メールを受け取った人をがっかりさせたくないという気持ちが出るのですが、本当に伝えたい相手はメールの文面を見るひとりではなく、その向こうで動いている大勢の社員やチームメンバーですよね。

 

相手を気遣う言葉を使うことでむしろ伝わらない

日本には、このようにオブラートに包むような表現方法が沢山あります。

・このようなことをお願いするのは、心苦しいのですが
・誠に申し上げにくいことではございますが
・大変面倒なお願いで恐れ入りますが
・勝手なことを申し上げているとは重々承知しておりますが
・重ね重ね恐縮ではございますが

ところがみなさんどうでしょう?この言葉を見た途端、目が文字面を滑りませんか? 一字一句「ああ、この人は恐縮しているのだ」「この人は勝手なことを言っているのを恥じているのだ」と意識して読みませんよね。あまりに定型文化してしまい、「それで何なの?」とさえ思えてしまいます。

これらの言葉は、相手は悪くない、非は自分にあるのだということを示すことで生まれたもので、一般的に回りくどい言い方です。そう、回りくどいのです。「それで何なの?」と本質を探すように読んでしまうのはそういう意味があります。

年代によっては、この言い回しの方が良いと思っている場合もありますが、最近のスピード重視のビジネスシーンでは、このような遠回りの表現は避けるべきですね。

もう一つ、このような表現をすることで出る弊害があります。それは、この言葉に続くように、肝心の依頼部分まで敬語を付け続けなければならず、メール全部がオブラートにつつんだようになってしまうことです。

・デザインのやり直し
・イベント開催のキャンセル

例えばこのような深刻な事態についても、

・このようなことをお願いするのは、心苦しいのですが、ご無理のない範囲でデザインの変更が可能であるかどうかご相談致したく……
・勝手なことを申し上げているとは重々承知しておりますが、今回のイベント開催に関しましては、見合わせるという形で運びたく存じて……

このように、伝えたいことがどんどんぼやけてしまうのです。

 

実は非は自分にある

先ほど、「相手は悪くない、非は自分にあるのだということを示す」と点について触れました。これは日本の敬語の特徴でもありますが、その通りであると私は思います。つまり、相手に真意が伝わらなかったのは、口頭にしろ文章にしろ、こちらが悪いのです。

人が人に何かを伝える時には、「相手は分かってくれるだろう」「これくらいは常識だろう」という固定観念を取り払う必要があります。相手がまっさらな状態でもきちんと全てが伝わるようにすることが大切なのです。特に相手が誤解をした場合は、何かしら誤解を招くような態度や言葉がこちらにあったということです。ですから、そこを詫びることが先決です。それは謙遜でもなんでもなく、きちんと謝ることが必要。言葉に心が出ます。

「こちらの言い方も悪かった」の「も」は不要というわけです。

 

要件部分は、敬語を控えてなるべくシンプルに

 

・デザインのやり直し
・イベント開催のキャンセル

このような深刻な事態であっても、この部分に関してはオブラートに包まないで書きます。

・デザインのやり直しについて、お話を進めたいと存じます。
・イベント開催のキャンセルにつき、お知らせ致します。

その後で、自分の非を詫び、どういういきさつでそうなったのかを書けば、要件はぼやけません

 

むしろ女性に気を遣いましょう

私たちは、相手が傷つかないように言葉を丁寧にしたり、敬語を使ったりするわけですが、もし、要件がきちんと伝わらず、二度も三度もメールが行き来するようなことになれば、手間も時間も取らせます。しかも相手の向こうにいる社員やスタッフにも迷惑がかかり、「最初のメールで相手が傷ついたかどうか」ということはどうでもよくなりますよね。

それだったら、伝えたいことはきちんと伝え、お詫びやフォローは他の部分でするという形を取った方が良いのです。

そして、何人かお話しして感じるのは、最近の若い男性は学びの姿勢が強く、ダイレクトなアドバイスを有り難く思う傾向があると言うことです。むしろ言い方や文章について、気をつけなければいけないのは、女性の方です。言葉を表面で受け止めたり、そうかと思うと行間を読もうとする人もいるので、少々やっかいです。男性にしろ女性にしろ、普段の行いでフォローしましょう。

 

信頼は、文章ではなく普段の行いで

相手が傷つかないように心配りをすることは、とても大切なことですが、それを文面に盛り込みすぎると、本質がぼやけます。それよりも文面ではビジネスを進めるためにもなるべくオブラートに包まず話をし、実際に先方にお会いした時や、普段の他のやりとりなどで、感謝を伝えましょう

また、このようなことを文章を指導する立場から言うのも変な話ですが、相手を気遣う心を持つ人物であるということを示す為には、文章よりも普段の行いの方が大切です。そこで信頼を得ていれば、オブラートに包まないストレートな文章も、ビジネスをスムースに進めることに気遣ってのことと判断されます。ビジネスのトラブルは双方で乗り越えられるように、普段のおつきあいをしっかり。

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