「あの人いつまでも若作りよね」という人に限ってピンピン長生きする「聞けばその通り」の原因とは

「いい年して見た目ばっかり気にしちゃってさ……」。この言葉、実は揶揄ではなく、医学的にも「むしろ追い求めるべき正解」であることがわかり始めました。「見た目が若い」=「体内の年齢も若い」ことが次々と実証されつつあるからです。

愛媛大学大学院医学系研究科抗加齢医学・新田ゼラチン講座教授の伊賀瀬道也先生に、人はどう老いていくのか、どうすれば若さを保てるのかについて、身体に栄養を運ぶための重要なパーツ「血管」の視点から教えていただきます。

前編記事『ヒトは「見た目」「血管」「耳」とともに老いるって…?抗加齢研究トップランナーに聞く「老けない身体」の作り方』に続く後編です。

 

2つめ、「ヒトは見た目とともに老いる」。老いとは必ずしも年齢とイコールではない

続いて、気になる「見た目」のお話です。とりわけ更年期はホルモンバランスが乱れ、肌に変化が現れやすい時期なのだそう。

 

「閉経前後に肌のコンディションががぐっと落ちるという声を聞きますが、これには毛細血管の老化も関係していると考えられています。見た目年齢が若い人ほど血管年齢が若く、血管が老化している人ほどシミが多いのです。頸動脈で血管年齢を検査した結果ですので、もし毛細血管で検査すればもっと見た目年齢との関連が出るはずです」

 

大切なのは血圧の維持。まず、現代人は塩分が過剰で、1日20gほど摂取していますが、10~15gに収めるのがベターだそう。日本高血圧学会の塩分推奨量は6g未満なので、なるべく減らしていく心構えが必要です。

 

「低すぎず高すぎずの、ある程度の血流と血圧を保つことが重要です。血圧が高いほど血管の壁をどんどん傷め、とりわけ毛細血管が早く傷ついていきます。末梢血管が傷んで抵抗性が上がってくると血圧も上がり、さらに血管が傷むという悪循環に陥ります。血圧は基準値の中におさめえることが大事で、薬を早めに飲んで対応するのが大切です」

 

では、服薬に至るもっと手前のほうでどうすれば血圧を一定に保てるのでしょうか?

 

「昔からの教えは大抵有用で、血圧をあげる要因はできる限り取り除きます。まずは禁煙、たばこをやめないで血圧の薬を飲むというのはちょっと順番が違う。ですが、お酒一切NGというのは大げさかなと思います。ストレスのかかる現代社会では、1日の終わりに適量のお酒でストレスの解消するのはOK、むしろ血圧が安定することが知られます。ただし適量には個人差が大きく、超えると交感神経の緊張が続いて血圧が上がります。ほどほどを知ることが大事です」

 

体内年齢は、なんと60歳になると上下が10歳も開くのだそう。健康な人は60歳時点で体内年齢が50歳ですが、老けて見える人は70歳。ここからさらに老けていきます。血管年齢も40歳時点ではそれほど差がないものの、50歳ごろに血管壁の厚みが徐々に増し始め、60歳ではかなり厚くなります。なるべく手前で異変を見つけるため、血管弾力性検査や毛細血管チェックを折に触れて行うことが大事です。

 

「外見の老化の3割が血管、7割は紫外線で引き起こされます。シミの成因は3割ほどは血管から説明ができるというわけです。大きい血管を守っていけば脳と心臓の命にかかわる病気を押さえられますが、本来は毛細血管こそ大事にすべきです」

 

そのために、食事と運動はとても大切。運動は有酸素運動が重要、血管年齢を若く保ちます。息は弾むけれど会話ができるくらいの運動がいいでしょう。食事は大豆イソフラボン、にんにく、青魚のEPA、ナッツ類を意識します。ただ、あまりこだわりすぎるとストレスになるため、できる範囲で行います。

 

「私は歩く習慣をつけたことで体重が調整できるようになりました。松山の道後温泉の真ん前に住んでおり、電車も車もすぐに乗れるため従来はほぼ歩かない生活でしたが、コロナ禍以降25分歩いてからバスに乗る習慣をつけたところ、2か月で2㎏も体重が減りました。周囲から痩せたねと言われてその気になり、現在では1日50分、最低でも6~7000歩歩く習慣がついています。理想は1万歩、心の健康を保つには4000歩必要と言われます。都会は意外と歩きますが、案外と最低の4000歩程度なので、スマートウォッチ等で計測してみるといいでしょう」

 

そして3つめ「ヒトは聴力とともに老いる」。血管を若く維持するために必要なものは

最後に、50代以降は聴力が低下するというお話です。通常の聴力検診は高低だけを測定し、それが聞こえていればOKと診断されますが、もう少し細かく周波数ごとにチェックすることもできます。

 

「聴力低下には遺伝性があるため、両親どちらかの聴力が落ちているようなら早めに検査したほうがいいでしょう。特に現代はヘッドセットやイヤフォン、ヘッドフォンを付ける習慣がありますが、近い距離から直接音を入れるため、1時間以上つけていると高周波領域から聴力が落ちていきます。耳は使いすぎることで老いていきますので、ときどき音を止めて休んだほうがいいのです」

 

検査してみて、4~8kHzの間が聞こえにくい場合は気を付けたほうがいいのだそう。

 

「聴力低下は不可逆で、いちど落ちると戻せません。血管を守ることが聴力の維持につながります。難聴のいちばんの原因は騒音への暴露で、2番目が血管の老いです。一時的に起きるめまいなどとは違い、放っておいても治らないため、血管年齢を若く保つことが聴力の維持につながります」

 

ここまで3つの老いをご説明いただき、「血管を若く保つ」重要性がよくわかりました。先生はこれらの血管年齢の維持とコラーゲンペプチドの関係を研究なさっていますが、コラーゲンぺプチドはなぜ有用なのでしょう?

 

「コラーゲンペプチドとは、ゼラチンなどのコラーゲンを低分子化したものです。中でもアミノ酸が2つ結合したジペプチド、3つのトリペプチドはそれ以上分解されず小腸から直接血管中に吸収され、筋肉、血管などを元気に持っていく信号を伝えることがわかっています。1日5gの摂取で、半年でシミが減る、血管年齢が若返るという二重盲検の臨床データがあります。毛細血管が若返った結果、末梢でシミの原因の排出がうまくいくようになったと考えられます」

 

よく動脈硬化には内臓脂肪が関係すると言われますが、仮説では内臓脂肪の蓄積が進むとリポサイトカインとして血管老化ホルモンが分泌されるそう。身体の老化抑止のためには内臓脂肪をあまり増やしすぎないことが大事です。

 

「血管の材料となるのはタンパク質。毎日しっかりとタンパク質を摂取し、そのうえでコラーゲンペプチドサプリを併用するのもいいでしょう。時間栄養学では1日のたんぱく量100とした場合、なるべく朝にタンパク質摂取の比重をもっていくのがよいとされています。朝40、昼30、夜30という具合です。現代では夕食にウェイトがおかれてしまうので朝20、昼30、夜50になるが、朝しっかりとることが間違いなく体の筋肉量にもいいデータが出ています。朝ごはんをしっかり食べ、たとえばお味噌汁の中にコラーゲンペプチドを追加する等の摂取が理想的です」

 

伊賀瀬先生は毎日、紅茶にコラーゲンペプチドを入れて朝に飲んでいるのだそう。さまざまな健康習慣を取り入れ、いつまでも若々しくありたいものですね!

 

前編>>>ヒトは「見た目」「血管」「耳」とともに老いるって…?抗加齢研究トップランナーに聞く「老けない身体」の作り方

 

お話・伊賀瀬道也先生

愛媛大学医学系研究科

抗加齢医学(新田ゼラチン)講座 教授愛媛大学抗加齢予防医療センター センター長
愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長
1964年愛媛県生まれ。1991年、愛媛大学医学部卒業後に第二内科(循環器)に入局。2006年に抗加齢センター(現・抗加齢・予防医療センター)を開設、2019年4月より現職。著書、メディア出演も多数。
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