子宮内膜症が持病です。閉経後はどうなりますか?【医師に聞く♯4】
厚生労働省によると子宮筋腫・子宮内膜症の疑いや罹患の経験を持つ女性は約4人に1人。とても身近な病気なので、思い当たる人も多いのではないでしょうか? 40代を過ぎ、これから閉経を迎えるにあたりそれらの病気との付き合いはどうなるのでしょうか? 気をつけるべきこととは? 山王病院の産婦人科医師、野間先生にお伺いします。今回は『子宮内膜症』について教えていただきました。
10人に1人が発症してると言われる子宮内膜症。気付いていないだけかも
子宮内膜症とは、本来子宮内腔にしか存在しないはずの子宮内膜の組織が卵巣や腹腔内など子宮以外の場所にできる病気です。現在は異所性子宮内膜症といいます。
子宮の内側にある子宮内膜は、月経の時に月経血として体の外に出ていきますが、子宮以外の場所で増殖した子宮内膜はその場所で月経と同様に出血し炎症を起こします。つまり、経験する月経の回数が多ければ多いほど子宮内膜症が悪くなる可能性が高いのです。子宮内膜症の原因ははっきりとわかっていませんが、女性の社会進出や晩婚化により月経が続き、子宮内膜症をひどくしているケースが多いです。
しかも子宮内膜症の大きな症状のひとつとして月経痛が挙げられますが、長年生理痛を経験しているとその痛みに慣れてしまい、また人と比べにくい為に異常かどうか分からず我慢してしまいがち。すると炎症や癒着を引き起こし、ある日突然我慢できない激痛が襲うことがあるのです。
閉経すれば子宮内膜症の進行は止まる。でも怖いのが癌化すること
月経が関係している子宮内膜症なので、閉経すれば症状が軽くなりますし、新たに発症することはありません。でも怖いのが内膜症の悪性化です。卵巣内に認めるチョコレート嚢胞は発症した後の自然消滅は考えにくく、月経のたびに増殖と出血を繰り返します。長期間放置すると悪性化するリスクが上がります。40歳以上で10cm以上が高リスクとされます。
子宮内膜症は進行性の病気。早めの対策が何より大切
子宮内膜症は月経痛、腰痛など一般的な痛みの症状がメインのため、つい我慢してしまい発見が遅れがちな病気のひとつです。子宮内膜症はどんどん範囲を広げていき、病巣部で炎症を繰り返すと骨盤の臓器が癒着し始め、将来不妊の原因となったり、癒着がひどく治そうとしても手術が不可能になる場合もあります。そうならないように、早めに検査・治療を受けることが大切です。
お話・野間 桃先生
山王病院 リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター(不妊治療・生殖医療・婦人科内視鏡)。北里大学卒。東京大学医学部附属病院 卒後臨床研修プログラム修了。元国際医療福祉大学三田病院女性腫瘍センター。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。日本医師会認定産業医。
患者様にとって長期にわたることもある通院治療や入院治療だが、産婦人科医であると同時に一人の女性として、患者様の声に耳を傾ける。数々の治療の負担を和らげるため、またお一人おひとりそれぞれに異なる悩みを解決するため、患者様と心をひとつにしつつも、冷静な判断で治療にあたる。
(記者より)
10人に1人という保有率から比較的軽く考えがちな子宮内膜症ですが、忘れてはいけないのが「いつ爆発するかわからないこと」「最悪の場合、癌化すること」。これらの知識があるとないとでは、自分の体との向き合い方が大きく変わると思いました。私も普段から生理痛が重く、子宮内膜症があるのをわかりつつ放置してしまったのですが、ある日経っていられない激痛に襲われ救急車のお世話になることに。このときは癒着も破裂もありませんでしたが「なぜここまで放置した」と担当医に呆れられたのを覚えています。閉経まで何も悪さしなければ、それはただラッキーなだけ。取り返しの付かないことになる前に、普段からの検診を怠らないことが大切です。
(取材・文/根本聡子)
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