「ご回答ください」は間違い?やっかいな日本語の正誤5選

先週、仕事のスケジュールの話になったとき、私の仕事量について「苛酷なスケジュールですね」とコメントをくれた方がいらっしゃいました。意味から察して正しくは「過酷」です。私の体を心配してくださっているコメントでしたので、ありがたくちょうだいし、言葉を正すようなことはしなかったのですが、どうもこのような誤用が気になってしまう職業です。

他にも、発音すると同じだけれど、漢字を間違えるとちょっと困る、同音異義語を集めてみました。今日もこっそり勉強しましょうか。

 

 

問題1 苛酷なスケジュールと過酷なスケジュールの違い

苛酷(かこく)
1 むごいこと。非常にきびしいこと。
例 苛酷な刑罰
(広辞苑第6版)

過酷(かこく)
1 なみはずれてむごいこと。きびしすぎること。
例 過酷な試練
(広辞苑第6版)

もともと「かこく」と言えば「過酷」しかありませんでした。それが2010年に「苛」の文字が常用漢字として認められ、新聞や雑誌でOKになりました。そこから本来の「苛酷」と「過酷」を分けようという動きも出てきています。
苛酷と過酷、似たような意味ですが、「苛酷」の方が「無慈悲」の意味を含みます。「苛」に「むごい」という意味があるからです。一方「過酷」は「過」のイメージから「オーバー」「過ぎている」「度を超している」のようなニュアンスが伴います。

ですから、冒頭の、仕事のスケジュールですと「多すぎる」という意味で「過酷」が正解です。例えば、私の仕事が、危険が伴い時々怪我をするだとか、報酬が少ないだとか、過密スケジュールで睡眠もとれないというような場合は「苛酷」です。

 

問題2 回答と解答。質問に答えるのはどちら?

回答(かいとう)
1 問いに答えること。返事すること。
例 まだ回答が来ない。読者の質問に回答する。
(小学館 例解学習国語辞典)

解答(かいとう)
1 問題をといて答えること。また、その答え。
例 この問題集の解答は別冊になっている。算数の問題を二つえらんで解答する。
(小学館 例解学習国語辞典)

小学生の辞典より。こちらも漢字から判断します。「回」には「まわる」「めぐる」という意味があります。何かの問いに関して、答えることでセットになるもの、アンケートや質問などは「回答」の文字を使います。それに対し「解」は「解く」の意味です。主にテストや試験などで使います。その他、会社や社会の課題に取り組んで出す答えは「解答」です。

ですから、問題文の「質問に答えるのはどちら?」ということでしたら「回答」が正解です。

 

問題3 どうにも気が気でないのは「強迫観念」か「脅迫観念」か

強迫(きょうはく)
1 相手を自分の意に従うよう無理じいすること。
2 民法上、相手方に違法な害悪を加える旨を通告して、畏怖心を生じさせる行為。強迫による意思表示は取り消し得る。
3 つまらない考えや感情などが頭にこびりついて、抑えようとしても不可能な症状。
(広辞苑第6版)

脅迫(きょうはく)
1 おどしつけること。おどかし
2 刑法上、他人を恐怖させる目的で害を加える旨告知すること。また相手方の反抗を抑圧する程度のものを指す場合(例えば強盗罪)もある。民法上の「強迫」に対応。
(広辞苑第6版)

民法と刑法で漢字の使い分けがある事実には少々びっくりしますね。「脅迫」には「脅す(おどす)」という意味の漢字があるので、刑法上、というのには納得です。それに対し「強迫」は強く迫る感じ。それが自分に対しても起こるのが「強迫観念」「強迫行為」です。

 

問題4 映画は観賞?鑑賞?

観賞(かんしょう)
1 見て楽しむこと。見て賞翫(しょうがん)すること。
例 鑑賞植物
(広辞苑第6版)

鑑賞(かんしょう)
1 芸術作品を理解し、味わうこと。
例 名画を鑑賞する
(広辞苑第6版)

「観賞」の意味に「賞翫(しょうがん)」が登場します。難しい言葉ですが、「事物の美しさを愛でる」という意味があります。器や書などの静物、植物などを愛で、味わうときに使います。それに対し「鑑賞」の方は「鑑」の字。「見分ける」というニュアンスが含まれます。広辞苑ですと「理解」という言葉も意味にある通り、客観的に眺める、目で愛でるよりもう少し内省を要します。じっくり考える感じですね。
ですから、じっくり見て、受け止め、内容について考えさせられる映画に関しては、たとえぼーっと見ている場合でも「鑑賞」となるわけです。

 

問題5 振り子は震動する?振動する?

震動(しんどう)
1 ふるえ動くこと。また、ふるえ動かすこと。
例 家鳴り震動
(広辞苑第6版)

振動(かんしょう)
1 ゆれうごくこと。ふりうごかすこと。
例 車体が振動する
2 物体が一つの中心のまわりを、ほぼ一定の周期をもって、ゆれうごくこと。また、電磁場・電流の強さで、ある量が一定値を中心に同様な時間的変化をする場合にもいう。
(広辞苑第6版)

イメージとしては、ぐらぐら、ゆらゆらと地震のように揺れるのが「震動」で、振り子のように規則的に揺れ動くのが「振動」です。
ですから、振り子の場合は「振動」です。

この記事を読んだ皆さんは、とりあえずこの5組についてはしっかり覚えておきましょう。また機会をみて一緒に勉強しましょうね。

 

参考書籍
『読めそうで読めない間違いやすい漢字』出口宗和

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