がんだけじゃない!病気の治療を「騙されず」に選ぶため、患者が知っておくべき3つの判断基準とは
2人に1人ががんに罹患する時代、私たちには「がんとつきあいながら生きていく」未来が早かれ遅かれ訪れます。
「そもそも、ぼくは乳がんの術後治療も本当に必要なのかなと思うことすらあります」。そう語るのは、外科医としてキャリアをスタートし、現在は乳がんを含むがん全般のセカンドオピニオン医として自由診療を続ける新見正則医院・院長の新見正則先生。
がんと付き合っていく未来の心構えを聞きました。
前編『40代50代女性は「がんのリスク」も上がっていく。がんにかかる前に「知っておきたい」その後のこと』に続く後編です。
免疫力を総合的に上げる方法の1つに「エビデンスある生薬」も検討できる
フアイアとはエンジュの老木に寄生するキノコの菌糸体からの抽出物。2018 年に、肝細胞がん手術後1000例に対するランダム化試験という大規模な臨床試験を経て抗がん作用が発表されています(掲載内容)。生薬であるため多成分で複数の作用機序が存在し、免疫修飾作用がパワフル。免疫力を上げる必要がある抗がん作用では上げる方向に、いっぽう乾癬など下げる必要のある場合は下げる方向へと働くのが特徴です。
「ぼくは1998年に日本ではじめてセカンドオピニオン外来を始め、そのころからずっと乳がんの患者さんに寄り添ってきました。乳がんのうち女性ホルモンが影響を及ぼすタイプは術後5年は女性ホルモンを止める薬剤で再発防止を行うため、患者さんはみんな急性の更年期障害の状態に陥り、大変に苦しみます」
大変に苦しむ割に、この薬剤を投与して抑えられる再発リスクが抜群に高いというわけでもないのだそうです。
「なので、代わるものがないかと長い間探し続け、漢方の勉強も進めました。書籍も50冊以上執筆し、漢方っていいな、西洋医も気軽に使っていきたいなと思ったので、西洋医が漢方を取り入れるときの導入となる『モダンカンポウ』というフローチャートシステムも作りました。そんな中、今から15年前くらいに存在を知ったのがフアイアでした」
効きそうだなとは思っていたものの1000名規模の臨床試験がないと医師として効くとは言えないと待っていたところ、2018年に大規模臨床試験の結果が出て「ぼくの直感はあっていた」と納得。それからと啓蒙普及に励んでいるそう。
抗がん剤は単一成分のため、身体全体に作用する総力戦のような機序では働きません。いっぽうのフアイアは身体全体の免疫力そのものに関与するとみられるため、すでにエビデンスのある外科治療や放射線治療、抗がん剤治療などの邪魔をすることがない点も外科医から見た大きなメリットとのこと。
「フアイアは肝細胞がんで1つめの臨床試験を勝ち抜きましたが、これから乳がん、肺がん、消化器がんなどでの結果が発表されます。エビデンスが積み重なっていき、標準的ながん治療の選択肢の1つになっていくことを願っています」
患者が知っておくべき「3つの判断基準」。お金がかかることは必ずエビデンスを確かめること
「ぼくは普段から、無料でできることは迷わずに何でもどんどんやればいい、でもお金がかかることは必ずエビデンスを確かめろと言っています」
お金がかからないものはそのこと自体で儲かる人がいないため過大な宣伝が起きにくい。結果、「確かによい」ものだけが残ります。そのため、「どっちでもいいよ」と言われた場合はお金がかからないものを選ぶのがおすすめなのだそう。
「たとえばがんに罹患したとき、抗がん剤治療をするかしないか『どっちでもいいよ』と言われたなら、お金がかからないほう、つまり『しない』を選んでいいんです。そんなことして大丈夫なの?と思うでしょうが、あなたのがんには抗がん剤が著効するわけではないことを医師は知っているから『どっちでもいい』と言っているのです」
散歩は無料、日光浴も無料です。バランスいい食事も、そのこと自体で誰かが儲けるわけではありません。
「よい睡眠も、寝具メーカーが儲かるかもしれませんが、快適な睡眠が得られるのならば妥当なレベルでしょう。こうして対策をひとつずつ判断していけば、怪しい健康法や治療法にひっかかるリスクが格段に減ります」
とくに健康分野の情報で気を付けたほうがいいことは3つ、【機会損失・副作用・経済毒性】だと新見先生。
「機会損失とは、それを選択したことで西洋医学による標準治療を受けるチャンスを逃さないかどうか。副作用は言うまでもなく望ましくない反応です。そして3つめ、経済毒性は重視してください。対価による経済的な害のことで、値段が高すぎないもののほうが毒性は弱いという意味です」
この3つをフアイアに照らすとどうでしょう。
「機会損失は西洋薬の邪魔をしないため起きません。副作用は20倍量の60gを飲むと軽い下痢が起きることがあります。経済毒性は少しあります。1日3gで1100円、月3万円を超え、安価とは言えない。ですが、医療費控除の対象になりますし、得られるものを考えれば妥当だと考えています」
人生100年時代、健康寿命の延伸が課題です。
「ぼくは認知症の母を見送った経験から、個人的に恐れるべきは認知症だと思っています。認知症さえなければ長生きしても楽しい。どれも辛いながらも、がんはまだ別れを告げながら去っていけます。でも、認知症は壊れていく点が怖いのです。この認知症の原因となるアミロイドベータも免疫が除去していることがわかっています。免疫力を上げ、上がった免疫力をラクに保つ方法をあれもこれもたくさん持つことが、これからの日本にとっては重要なのです」
お話/新見正則先生
新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。2002年より帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在は、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙普及のために自由診療のクリニックでがん、難病・難症の治療を行っている。『フローチャートコロナ後遺症漢方薬』はAmazonで三冠(東洋医学、整形外科、臨床外科)獲得。最新刊は『しあわせの見つけ方 予測不能な時代を生きる愛しき娘に贈る書簡32通』
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