
“抜荷(ぬけに)”の罠が花魁を追い詰める。一方、また城で残酷な遊びにふけっていた道廣は【NHK大河『べらぼう』第24回】
*TOP画像/蔦重(横浜流星) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」24話(6月22日放送)より(C)NHK
吉原で生まれ育ち、江戸のメディア王に成り上がった蔦重の人生を描いた、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合)の第24話が6月22日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。
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ていの本への想いを汲み取った蔦重…お互いの希望を実現するために
蔦重(横浜流星)が営む耕書堂の日本橋移転に一時は反対していた女郎屋の主人たちも、今ではすっかり蔦重の熱心なサポーターに。
扇屋の主人・宇右衛門(山路和弘)は馴染みである亀屋の若旦那(濱田和馬)の名で丸屋を買い取ることを提案し、女郎屋の主人たちもこの意見に賛同しています。一方、蔦重はこのアイデアに後ろ向きで、騙し討ちで店を買うことにモヤモヤを抱えているようです。とはいえ、宇右衛門らの熱意と推進力に呑まれ、てい(橋本愛)のもとを訪れることになりました。
蔦重(横浜流星) 扇屋の主人・宇右衛門(山路和弘)を含む女郎屋の主人 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」24話(6月22日放送)より(C)NHK
ていはこの提案に隠されている何かを証文に記載されている名前や亀屋の若旦那の話の矛盾から察します。また、鶴屋の主人・喜右衛門(風間俊介)の鋭い勘は視聴者にもおなじみですが、若旦那が吉原で借金を重ねていること、そして名前を貸す見返りにその借金を帳消しにしてもらう算段を見事に見抜きました。
てい(橋本愛) 鶴屋の主人・喜右衛門(風間俊介) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」24話(6月22日放送)より(C)NHK
蔦重が去ったあと、ていは『韓非子』の「千丈の堤も蟻の一穴より崩れる」を引用し、この男への思いを言葉にしていました。ていは立派な堤も蟻の巣穴(=蔦重の店)をたった一つ許すことで、その内側より崩れてゆくと考えているのです。
けれども、蔦重とていは自分の店や本に対する想いは重なり合っていました。蔦重がこの事実を知ったのは、ていと覚圓(マキタスポーツ)のこの会話でした。
「私には もうこの本を屑屋に出すしか手はありません。しかし 屑屋に出せば 本は本ではなくただの紙屑と成り果てます。[中略]けれど 手習の子らの手に渡れば 本としての つとめを立派に果たすことができます。子らに 文字や知恵を与え その一生が豊で喜びに満ちたものとなれば 本も本望。本屋も本懐というものにございます。」
蔦重はていのこの言葉を偶然耳にし、源内が教えてくれた書をもって、世を耕すという言葉と通じるものを感じました。
蔦重は同志であるていの思いに心を動かされ、「どうです 女将さん。一緒に本屋やりませんか?」と誘いました。さらに、ていがおきてに背かず、店を続けられるようにと、「俺と一緒になるってなぁ どうです?」「それなら お達しには背かねえし店を一緒にやるのは当たり前」と続けます。
てい(橋本愛) 蔦重(横浜流星) 女郎屋の主人 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」24話(6月22日放送)より(C)NHK

丸屋の暖簾 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」24話(6月22日放送)より(C)NHK
蔦重は同業者としてであれ、ていに強く心惹かれたのは確かだと思います。この女性とならビジネスのためとはいえ、夫婦関係になってもよいと思ったのだから。また、蔦重にとって耕書堂は最も大切なものです。それを共に背負う相手は、よほど信頼できる人でなければ選ばないでしょう。
思い返してみると、青二才の蔦重に“恋心”を教えてくれたのは瀬川(小芝風花)でした。他のだれよりも幸せになってほしいと思える人こそがかけがえのない存在であるということを。
蔦重の心には今も瀬川がいて、ふたりの夢を実現するためにていと一緒になることを決めたのか、それともていの本屋の主人としての思いに共感し、ビジネスパートナーとして選んだだけなのかは分かりません。
そうはいっても、今のていにとっては蔦重は憎悪の対象でしかないため、誘いをきっぱり断っていました。ていは蔦重の心にふれる中で気持ちがどのように変化していくのだろうか…。
一方、城で残酷な遊びにふけっていた道廣は 次ページ
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