
更年期の「痛み」は婦人科でいい?私は何科にかかるべき?【医師Q&A】
医師で予防医療スペシャリストの桐村里紗です。
読者の方から健康のお悩み相談をいただきました。
Q:更年期、痛みが出ていても婦人科でいい?私は何科にかかるべき?
現在54歳で、経血量は減りましたが、まだ月経はあります。
51歳から、指のこわばり、関節の痛み、五十肩、眩暈、耳鳴り、鬱っぽくなる、眠れないなどの症状に苦しんでいます。
A:整形外科や分子栄養療法医にも相談してみては?精神科はちょっと待って
更年期に多岐にわたる症状が出ると、このまま婦人科だけで良いのか迷いますね。
■婦人科でできること
婦人科で、ホルモン補充療法を行うことで、いずれの症状も予防・緩和が可能ではあります。
漢方薬の選択や、女性ホルモン様物質・エクオールを補うことでも、緩和が期待できます。関節などの痛みも進行を抑えて軽減が期待できます。
また、その他は女性ホルモンの乱れによる自律神経症状ですが、それらも婦人科での治療でコントロールは可能です。
■指のこわばり、関節の問題は整形外科へ
まず、更年期に女性ホルモンが減少してくると、関節の変形が起こりやすくなります。
指の変形性関節症の一種であるヘパーデン結節やブシャール結節など。また、更年期に起こりやすい自己免疫疾患・慢性関節リウマチも、鑑別診断が必要です。
五十肩にもお悩みとのことですので、これら全てを一貫して診断するとなると、婦人科では難しく、整形外科での検査が必要です。
整形外科での治療は、主に痛みを抑える対症療法にはなりますが、症状が緩和すれば、日常生活が楽になること思います。
進行すると手術が必要になる場合もあるため、悪化しないうちに対処する方が良いですね。
■精神科はちょっと待って
抑うつなどの気分障害や不眠が現れると、何か心の問題かも知れないと、精神科を受診したくなるかも知れません。
でも、私の意見としては、ちょっと待って頂きたいというのが、本音。
女性ホルモンが減少すると、精神を安定させるセロトニン、またセロトニン から作られる睡眠ホルモン・メラトニンの分泌も減少します。
抗うつ剤を使い始めるのは簡単ですが、一度始めると止めるのに苦労します。
また、一般的にこうした薬は徐々に量が増えやすいということもお伝えしておきます。
婦人科で処方できる漢方薬・加味逍遙散(カミショウヨウサン)は、更年期の精神症状にも効果があります。
それが効かない場合は、ホルモン補充療法などで女性ホルモンを安定させることで精神症状が改善する場合もあります。
■不眠はレスキューもあり
ただし、不眠が続くと、精神的にも肉体的にも追い込まれます。
色々工夫しても難しい場合、レスキューとしての睡眠薬はありだと思います。
本格的な睡眠薬は、依存性や耐性の問題があり、休薬が困難となりますが、最近では、依存性や耐性がなく、安全に使用できる睡眠薬もあります。
更年期障害の一環であれば、こうした軽い薬剤で十分効果が見込まれます。
■総合的には分子栄養療法医にも相談を
また、分子栄養療法的な視点からこれら全ての症状の原因になりうるのが、「鉄不足」です。
更年期であっても月経量が安定しないと、鉄不足が悪化する可能性もあります。
鉄不足は、コラーゲンが減少し、関節痛を起こしやすくなります。セロトニン やメラトニンの分泌も低下します。めまいや肩こりなども起こり、更年期障害とよく似ています。
更年期障害に鉄不足が合併すれば、より症状は悪化します。
貧血と診断されていなくても、「かくれ貧血」であればこれらの症状は起こりうると思ってください。
タンパク質やビタミンB群の欠乏でもこれらの症状の原因になりますので、栄養不足が原因であれば、栄養改善することで安全に症状を改善できます。
一般医療のクリニックでは診断ができませんので、ぜひ、全国の分子栄養療法医を訪ねて血液検査を受けて下さい。
詳しくは>>>
40代は「鉄」が足りない!検査はどう受ける?サプリは何を選べばいい?|医師に聞く更年期#2
桐村先生は2月24日放送の「ほんまでっかTV」に腸内環境評論家として登場予定です!
■「桐村先生に相談してみたいこと」募集中!
「健康診断の説明がわからない」「私の持病はどう変化する?」「こんな症状で受診していいの?」「何科に行けば?」
桐村先生に相談したい悩み事を教えてください。
桐村里紗先生
内科医・認定産業医。tenrai代表取締役医師。1980年岡山県生まれ。2004年愛媛大学医学部医学科卒。内科医・認定産業医。治療よりも予防を重視し、「ヘルスケアは、カルチャーへ」というコンセプトを掲げ、新しい時代のヘルスケアを様々なメディアで発信している。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」「とくダネ!」他メディア出演多数。著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)他。
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