
45歳、老後資金2000万もありません。何から始めたらいい?【40代お金の悩み・後編】
「老後のお金が不安です」。オトナサローネで行ったアンケートで「いま、いちばん不安なことはなんですか?」という質問に対し、とても多かった回答がこちらでした。
私自身も、40代・独身、老後資金に不安をかかえる一人。
前回は老後資金に対する漠然とした不安について聞きましたが、今回は老後資金にどう対策したらいいか? 40代からでも間に合う老後資金の対策方法を、楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト 篠田尚子さんにお聞きしました。
Q 40代にオススメの老後資金の対策は何ですか?
A ズバリ、「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」と、「つみたてNISA」の2つです。
最初にオススメしたいのは、節税しながら資産運用ができる国の制度。それがiDeCoとつみたてNISA、この2つです。これらの制度をフルに活用し、毎月着実に積み立てていけば、無理なく20年で2000万円を貯めることができます。
iDeCoは、国民年金や厚生年金などの公的年金に上乗せして、任意で加入できる私的年金の一種です。 積み立て時、運用時、受け取り時、3つの税制優遇を受けられるので、将来に備えつつ、節税できるメリットがあります。
NISAは、毎年一定金額内の範囲で金融商品に投資し、利益が出た場合、通常約20%かかる税金がまるまるゼロになるものです。「投資」によって得られた利益が「非課税」になる制度なので、正式名称は「少額投資非課税制度」と言います。
こうした制度は日本だけじゃなく世界中で用意されていて、グローバルスタンダードになってます。国の制度として始められているので、「皆さん使ってください」というもの。大きなメリットは節税できる点ですね。これはもう国の制度じゃないと有り得ません。本来払うべき税金がかからないということなんです。
Q 会社員でも「節税」効果があるのですか?
A iDeCo、つみたてNISAともに、会社員でも税優遇の恩恵を受けられます。
会社員のかただと税金は給与から天引きされているので、節税という考えがあまりないかもしれませんね。
まずは、より高い節税効果が期待できるiDeCoからご説明しましょう。iDeCoは毎月の積立額(掛け金)全額が所得控除の対象となります。たとえば、掛け金を毎月2万円×12カ月で年24万円支払うと、その全額が所得控除され、結果として所得税・住民税の負担が減ります。所得控除を受けるための手続きは会社員や公務員の方であれば、年末調整だけで終了します。
さらに前述した通り、iDeCo、つみたてNISAともに金融商品に投資して利益が出た場合、通常20%かかる税金がゼロになります。運用益が出なかった場合、そもそも税金はかかりません。
iDeCoとつみたてNISAの運用益での節税メリットを実感するには、10年単位の時間をかけられることが前提です。iDeCoはそもそも60歳まで引き出せないですし、つみたてNISAも20年間継続することが原則です。お子さんの教育資金や住宅ローンの頭金など、向こう5年以内くらいに使う予定がある資金の預け先としてはオススメしません。
例えば、いざお金が必要なときに、十数年前のリーマンショックや、昨年春のコロナ・ショックのようなことが起こる可能性も否定できないわけです。でも、10年単位で時間をかけられれば、軌道修正ができるのはもちろんのこと、市場が持ち直して再び上昇貴重に乗ることも期待できます。投資や資産形成で成功する一番の秘訣は、このように「時間」を味方につけることです。
Q 投資ってやっぱりリスクが大きいイメージがあるんですが…。
A iDeCoとつみたてNISAは、国と金融機関が厳選した商品が選ばれています。
iDeCoとつみたてNISAについては、選べる金融商品がある程度ピックアップされています。国が設けた一定の基準があって、それに基づいて金融機関が選んでいます。その2つのレイヤーである程度フィルターされているので、価格変動の大きいギャンブル生の高い商品は含まれていません。そういう意味では、ある程度安心していただけると思います。
資金面でも精神的にも余裕が出てきたら、株式投資などにチャレンジしてもよいですが、まずは用意されている国の制度から始めてみてください。
Q iDeCoとつみたてNISA、どっちから始めたらいいですか?
A より節税効果の大きいiDeCoから始めましょう。
お勤め先に企業年金制度がない方やフリーランスのかたは、まずiDeCoの加入をオススメします。フリーランスや個人事業主のかたは、iDeCoのほかに小規模企業共済にも加入できます。会社員と比べて受け取れる公的年金が少ない分、自助努力が必要になることを意識し、早め早めに準備しましょう。
Q そもそも「投資信託」ってどういうものですか?
A 食べ物で例えるなら、「シェフが腕を振るう一品」。
投資信託とは、運用をプロにまるっとお任せできる金融商品です。具体的にはファンドマネージャーと呼ばれる運用のプロが、あらかじめ掲げた投資方針にのっとって、投資家から集めた資金を株式、債券、不動産などに分散投資し、その成果を最終的に投資家に還元するというしくみです。「投信」「ファンド」と呼ばれることもあります。
食べ物に例えるなら、株式や債券は、野菜、果物、お肉などの食材。投資信託は、シェフが調理したお料理だと思ってください。先ほどご説明した、運用のプロであるファンドマネジャーがシェフというわけです。このように、既に出来上がった状態で提供されるのが、投資信託です。投資信託の利点の1つは、少額から投資ができるということ。たくさんの投資家の資金をまとめて運用しているので、ネット証券なら最少100円から購入することができます。
iDeCoやつみたてNISAといった資産形成のための制度の「中身」として投資信託が活用されているのは、資産形成と投資信託の相性が良いからです。数百円、数千円単位という少額の資金から、世界中のさまざまな資産に投資ができる投資信託は、まさに長期分散投資にぴったりの金融商品なのです。
【次ページ】40代で投資を始めるなら、いくらくらい投資したらいい?
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