「さすがです」は実は失礼?相手をうんざりさせる3つの敬語

敬語に関して、使う立場としては、本当に色々気を遣っているのですが、果たして敬語を受ける立ち場の方から見ると、どのような感じなのでしょうか。私も年齢を重ね、人並みに敬語を使われる立場になりました。同じ立場の友人たちにもヒアリングしてみた結果、言われる方がうんざりするような敬語の特徴が浮び上がってきました。

敬語を使うことが、人間関係を作っていくのに、マイナスと感じるのはどのようなときかという文化庁の調査に対して、「敬語を使っているために、相手との距離を縮めることができないとき」という回答が5割台半ばと最も高いという結果が出ました。

(平成28年度「国語に関する世論調査」結果より)

敬語を使うと、相手と距離を置いてしまうように感じる。でも使わないわけにはいかない。そんなジレンマがまずあります。その結果、本心からの言葉が使えず、それがまた距離感を生んでしまうという悪循環がありますよね。また、距離を縮めたい思いが雑過ぎて、それが言葉に出てしまい、その結果本当に距離を置かれてしまう場合もあります。今日はそんな敬語と距離感について。そして言われる方がうんざりする敬語3つのパターンとは。

 

1 さすが、すごい、お目が高い…しらじらしい敬語

ヒアリングの結果、しらじらしい、見え透いた敬語を使われると、しらけてしまうという意見がありました。営業トーク調の敬語ですね。

お目が高い、さすがです、すごいですね

実はこのような目上の人を「評価」することに該当する言葉は、敬語であるかどうか以前に、そもそも失礼にあたるので、普通は言わないのが良いのですが、なぜかこういう言葉を連発する人がいます。お世辞ではなく、どうしても受けた感銘を伝えた時などは、自分に軸を置くと良いでしょう。

「お目が高いですね」は「こういう物を選ばれるセンスに憧れます」に
「流石です」は「私もこのような行動が取れるようになりたいです」に
「すごいですね」は「感銘を受けました」に

相手がどうなのか、ということではなく、自分がどう感じたかを素直に述べれば、相手を評価することにはなりませんし、ご自身の感想なので嫌味もありません。むしろ、若い人がどう感じているのか、知る機会にもなり、言われた方も嬉しいものです。

 

2 デパートのごとく丁寧すぎるのもNG

日本人は不思議なもので、人と距離を置く目的で敬語を使う場合もあります。仲の良かった恋人に、急に丁寧語を使われた時、「私、何かしたかしら?」と不安に思う、そんな例です。これは、ネガティブ・ポライトネスの考えで、対人関係において、消極的に慎ましさを示すこと、相手の距離を近づけないようにすることを利用した距離の取り方と言えます。

この「よそよそしい敬語」は、どの敬語がよそよそしいかという問題ではなく、いつまでも距離感を調節せずに「敬語さえ使えば良い」という姿勢から発せられたありとあらゆる敬語が該当します。

本日はお足元の悪い中、わざわざお越し下さいまして、誠にありがとうございます。

例えばこれがデパートの館内放送ならばまあ良いのですが、面と向かって、しかも平坦な調子で言われた時ほど、よそよそしく感じることはありません。心配と感謝がセットになったこのような一文は、長い時間をかけて、一文で言うようにアレンジされた結果です。 雨の日はこう言っておけば無難、そんなマニュアルがあるのでしょうか。考えなしに、常套句のように使ってはいけません。

実際にこの言葉を発する時には、まず、足元が悪い=天候が悪い時に来てくれたことに関して、履き物や上着などが濡れなかったか、汚れなかったか、心配している感情と、そんな中なのに、本当に来て下さってありがとうという感謝の感情は、別々にあるはずです。

そういうときこそ、相手を思いやって、本当は何と声をかけるべきなのか、きちんと自分の頭で考えることが大切です。

そして、相手に応じて、また、状況に応じて、特に心配しているような場合は、ネガティブ・ポライトネスではなく、逆にポジティブ・ポライトネスで、ぐっと近づいて気持ちを伝えることが、むしろ若い人の特権のように感じます。

わー、先生、雨、大丈夫でしたか? お洋服汚れませんでしたか?

前述の「本日はお足元の悪い中、わざわざお越し下さいまして、誠にありがとうございます。」と比べてみましょう。本当に自分のことを心配してくれている、そういう気持ちが伝わりますよね。そんなふうに、口語的に言われて、イヤな気持ちになる人はいないと思います。

ただ、注意点があります。態度までなれなれしいと、こういう行為は「なれなれしい」となってしまいます。あくまで「敬語」を使う相手への話ですが、ポジティブ・ポライトネスであっても、態度までなれなれしくなってはいけない、このあたりの距離の取り方の調整が大切です。

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