
「更年期で太っちゃった」という人、それ更年期のせいじゃないのかも…?更年期♯3
青年期、壮年期などと同じような時期の呼び方として、女性の閉経の前後5年を更年期と呼びます。
日本人の閉経の平均は50歳のため、45~55歳は更年期にあたる人が多数。この時期に女性ホルモンの分泌が急激に減少するため、更年期障害と呼ばれる状態に至る人もいます。
乳がんのセカンドオピニオンを中心に診察する医師の新見正則先生に、更年期とその治療について伺います。3回目の今回は「更年期太り」と「ホットフラッシュ」について。
【更年期とホルモン補充療法♯3】
更年期障害で受診する最初の症状は「ホットフラッシュ」
初診時の主訴はホットフラッシュが多いですね。ただし、ホットフラッシュの場合、ホルモン補充療法は全然きかない人とすぐよくなる人に分かれます。やってみないとわかりません。
でもね、のぼせやほてり、汗が出る、どきどきする、眠れない、関節痛、怒りっぽくなる、うつっぽくなる、性交痛、骨粗しょう症、高コレステロール……これら更年期症状と言われるものはいずれも加齢でも起きること。本当にHRTを適用すべきかは疑問です。
閉経ごろに何かが起きるとみんな更年期障害と診断されちゃうでしょ? でも、実は、本人の訴えってそれほど正確ではないんです。抑うつの気分があるのに、本人は汗が出るからと受診することがあります。汗は客観的な症状なので口にしやすいいんですね。このように実情からずれることが多いことを踏まえ、その裏に潜む真の症状をうまく見つけるのが上手な臨床医です。見つけられないから、顔が暑くなるくらいいいじゃんって無神経な発言をしてしまうんです。
「太りました」は更年期のせいではありません
更年期で太るという声を聞きますが、太る原因は更年期ではありません。女性ホルモン分泌の不足ではデブにはなりません。人の身体は年齢を重ねれば省エネ運転になるものですから、太る原因は加齢です。
たとえば、あなたの父母の世代の人たちの手を握ってみてください、ひんやり冷たいでしょう? いっぽう、子どもの手を握ってください。熱いでしょう。体温って加齢とともに下がっていくんです。体温が高いということはエネルギーを使っているということ。子どもは同じものを食べても太りませんが、冷たい身体の年齢になったらエネルギーを節約しているので、年をとったらおのずと太るんです。
しかも運動もしなくなる。なんでもかんでもエストロゲンのせいにせず、運動してください。ぼくは無料でできることか、有料ならば明らかにエビデンスのあることだけを勧めます。無料の筆頭はランニングや散歩です。走ることや散歩は身体に非常にいいので今すぐ行ってください。
そして、閉経後の肥満は乳がんのリスクファクターです。乳がんは二相性で、40代後半と60代に、2つの発症ピークがあります。更年期に太ると(10%以上の体重増加)その後乳がんになりやすいので、ちょっと注意してください。
閉経後はそれまで卵巣で作っていたエストロゲンが脂肪から合成されるようになります。だから太るとも言えます。確かにそうかもしれません。でもね、少々なら太ったっていいじゃん。鶏ガラみたいに痩せるより、女性らしい美しさがあっていいじゃん。
ぼくのクリニックの患者さんはこういう雑談をしにきて、病気の話はあまりしません。なぜかというと、みんな安心したいのです。安心ともう一つ、希望がほしい。でも先生、こんなに辛いんですって訴える人は治療します。でも、それ以外の人は、雑談をして笑って帰れば楽になるのです。
20日11時配信 次の記事>>>更年期にイライラするのは当然のこと。悩まなくていいんです
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お話/新見正則医院 院長 新見正則先生
1985年 慶應義塾大学医学部卒業。98年 英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。2008年より帝京大学医学部博士課程指導教授。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在は乳がん患者に対するセカンドオピニオンを中心に、漢方、肥満、運動、更年期など女性の悩みに幅広く寄り添う自由診療のクリニックで診察を続ける。乳がん治療に於いては、明確な抗がんエビデンスを有する漢方、フアイアの普及も行う。
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