
心を整える第一歩が「息を吐く」こと。正しい呼吸法を身につけて【悩みを手放す21の方法#2】
曹洞宗徳雄山建功寺第18世住職で、庭園デザイナーの枡野俊明さんの新刊『悩みを手放す21の方法』(主婦の友社)の中から、自分がラクになれるヒントを8回に分けてご紹介します。
前回と今回のテーマは「息を吐く」です。
▶前回の記事を読む
『即効性あります。イラッとしたときにその場でできる対処法とは?』
行動の切り替えのたびに、いったん息を吐く習慣
禅的生活をおこなううえで大切なことは日常の立ち居振る舞いです。それはマナーがよい、見た目がいいというだけのことではありません。所作は、その人のすべてを物語るといっても過言ではないのです。
その人が今どんな精神状態なのか、どんな生活を送っているのか、何に価値を置いているのか、どんな経験をして生きてきたのか、そのすべてが所作に表れているのです。
ドアをバタンと閉める、食器をガチャンと置く、脱いだ服をソファにほうり投げる、人に声をかけられてもぞんざいな返事をする……。そのような行為は、あなたを「物も人も尊重できない人間だ」と証明することになりかねません。
心を整えるためには、まず立ち居振る舞いを整える必要があります。そのために大切なことも、呼吸なのです。
感情にまかせた雑な振る舞いをしているとき、呼吸は必ず浅くなっています。食器をテーブルに置くときにも、人に物を手渡すときにも、パッと衝動的に動きそうになっら一瞬立ち止まって、ゆっくり息を吐きましょう。呼吸が整うだけで、動作そのものがおのずから変わっていきます。
不愉快なメールに返事を書くときにも、家族の発言にムッとしたときにも、ゆっくりと息を吐きましょう。せわしない気持ちがすっと落ち着き、地に足がついたような心持ちになるはずです。
最近は科学的なデータでも、呼吸の重要性が証明されているようです。呼吸が整うと、全身の血流が25%アップするというデータがあります。逆に呼吸が乱れると、血流が悪くなることもわかっています。脳に酸素を運ぶのも血流ですから、冷静な思考力も呼吸と大きくかかわってくるはずです。もちろん健康のためにも、深い呼吸は重要な役割を果たすことは間違いありません。
私たちが生きる社会は、どうしてもストレスフルになりがちです。自分だけ巻き込まれないでいるのは難しいものです。だからこそ、イラッとしたら息を吐く。そんな習慣をつけましょう。
やってみよう【一禅チャレンジ】
「丹田呼吸」を習慣に
上手に呼吸するために「丹田(たんでん)呼吸」を練習しましょう。これは「正しい姿勢」や「坐禅」にも欠かせない呼吸法です。
丹田はへその下二寸五分(指4本分)の場所で、ここを意識しながら呼吸するのです。まずは丹田にある空気をすべて吐ききります。次にゆっくりと息を吸い込みます。息は胸にとどめるのではなく、 丹田まで落とし込むことを意識しましょう。
ポイントは、ゆっくり吐いてゆっくり吸うことです。1分間に何回呼吸(吐いて吸う)しているか数えながら練習するといいですね。 坐禅に慣れた人であれば1分間に3~4回程度になりますが、最初のうちは10回以下を目指すといいでしょう。
▶次回のテーマは「姿勢」
〈つづきを読む〉『同い年なのに老けて見える人の特徴は?』
悩みを手放す21の方法(枡野俊明著/主婦の友社刊)
プロフィール
枡野俊明(ますの・しゅんみょう)
1953年、神奈川県生まれ。曹洞宗徳雄山建功寺第18世住職。庭園デザイナー。多摩美術大学名誉教授。大学卒業後、大本山總持寺で修行。「禅の庭」を通して国内外から高く評価される。芸術選奨文部大臣新人賞受賞、ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年ニューズウィーク日本版「世界が尊敬する日本人100人」に選出される。『禅僧が教える不安に負けない心の整え方』(主婦の友社)など著書多数。
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