45歳、イライラが酷いのは更年期ですか?自分が更年期かどうか知る方法は?【Dr.新見の更年期相談室】♯4

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青年期、壮年期などと同じような時期の呼び方として、女性の閉経の前後5年を更年期と呼びます。

日本人の閉経の平均は50歳のため、45~55歳は更年期にあたる人が多数。この時期に女性ホルモンの分泌が急激に減少するため、更年期障害と呼ばれる状態に至る人もいます。

乳がんのセカンドオピニオンを中心に診察する医師の新見正則先生は、丁寧に私たちの訴えに耳を傾けながら、「だいじょうぶ!更年期は絶対終わるから!」と太鼓判を押してくれる力強い味方。そんな新見先生に「質問以前の質問」をまとめて聞くシリーズです。

【Dr.新見の更年期あかるい相談室】#4

Q ・更年期の入り口。イライラや気持ちの落ち込みには何をすればいいのでしょうか?

こんにちは。私は更年期にさしかかる世代です。ここしばらく、イライラが止まらず、すぐカーッとなるという自覚があります。

家の中の片付け、まだ小さな子どもたちの育児、料理や洗濯など毎日の家事、夫との関係。あらゆることが上手く行かず、毎日落ち込む繰り返しです。この1年ほどで顕著になりました。

病気ではなく、きっとホルモンのせいなのだろうという自覚があります。このくらいの状態になったらこんな対策をするといいよという一覧表はありませんか? 人それぞれでしょうが、自分はいまどのくらいの「更年期の位置」にいるのか、目安を知りたいと思っています。

(初心者さん・45歳 更年期症状の度合い/不調が出ることもあるが、なんとか乗り切れそう)

 

A・客観視しなくていい。悩みがあるのならば、それらはすべて「対策すべき更年期症状」です

なかなか難しい質問です。更年期障害は、一般的な病気のような、たとえば「汗が1日2回噴出するようならば更年期障害」というような明らかな客観尺度があるわけではありません。

 

ホルモンに由来すると考えられる症状があり、かつ本人が困っているならば、どんな些細なことでもそれは更年期障害です。逆に、どれだけ症状が強くても「汗出ちゃったわ~、お風呂入ろ」で済んで困っていないなら障害ではないのです。あなたの辛さはあなたが決めていいんです。

 

でもね、大抵みんな困ります。困るからこそいま、社会を挙げて更年期の女性をどう助けていくかが問題になっているんです。

 

それぞれの症状に対する対策の答えはありますが、その症状に個人差があるから更年期症状は難しい。たとえば、プラセンタを試してみてよくなるなら続けるといいです。でも、たとえば頭痛のように、鎮痛剤を飲んだらすっきり熱が下がりました!というようなことはあまりないので、みんな治療を求めて難民になってしまうのです。

 

まず、あなたの症状を軽くしてくれる対策は必ず複数あります。それを探すのが更年期の、とくにプレ更年期から入り口くらいの時期のミッションだと思ってください。

 

その更年期症状は、あなたにかかったストレスのサインかもしれません

まだ若い45歳のころに更年期症状を訴えて病院にくる人は、ぼくの診察範囲では多くの場合何かしら身の回りにストレスを抱えています。

 

育児、夫婦関係、仕事。もしかしたら、金銭トラブルや親の介護が降りかかっているかもしれません。子どもの受験、ママ友や親戚との付き合い、ご近所問題が起きているかもしれません。

 

あなたは知らず知らずのうちに何かしらのストレスを抱えており、あなたの身体は早めに不調のサインを送っているのだ。ぼくはそう考えています。

 

この場合、投薬治療も必要ですが、そのストレスを別の方法で解決しないと苦しみは終わらないんです。だから、この不調は更年期かもと思う何かがある場合、風邪のときに前駆症状があったら身体を休めるのと同様、自分のメンタルをちょっと休めてあげようとしてください。

 

更年期症状の簡単な見分け方は「10年前の自分との比較」です

更年期症状かの見分け方を一つお伝えしましょう。「10年前の自分と比べて●●」です。

 

たとえばカーッとなる場合、若いころからカーッとなりやすい人はもともとの体質です。ですが、もとは穏やかだったのに、10年前と比べて怒るようになった、ここ数年でカーッとなるようになったなら、おそらくホルモンの影響でしょう。

 

医療はこのように、その時点での「点」でなく、以前からの、あるいは全身の「線」で見ます。10年前の自分と比べて明らかに激しく変化しているならば、治す方法があるのか、あるいは時間が解決してくれることなのか、医師に相談してみていいことです。

 

本当は加齢のファクターがいちばん大きいのですが、「年とったせいだよ」と言われてもみなさん納得しないですよね(笑)。更年期症状としてホットフラッシュがよく挙がるのは、10年前になかった症状なので気づきやすいから。ホルモンの影響である可能性が高いから気づきやすいんですね。そして、実際にホルモンの影響ならば、特に治療をしなくても必ず治ります。更年期はいずれ終わるので、むしろ心配しなくていいです。

 

ぼく個人がHRTをそれほど積極推進しない理由は

ぼくは乳がんのセカンドオピニオンを行っている医師の経験として、副作用のリスクを否定できないホルモン補充療法(HRT)は、つらくてしかたない人の最後の手段にしておきたい。または、なるべく最初にやって、こんなに効くんだと実感するかのどちらかをお勧めします。

 

といっても、やるなという話ではありません。いちばんよくないのが、効いてるのかどうかいまひとつ確証のないままでダラダラ続けることです。メリットを明らかに自覚して始めてほしい、そうでないとやめるタイミングも認識しにくくなり、リスクだけが上がるからです。

 

サプリメントもそうですが、女性ホルモンが減ったから飲んだ、症状が治ったという、そういうこと自体は起きるだろうと思います。でも、更年期症状そのものが何もしなくてもいずれ必ず治るもの。できればコ・メディカル、薬剤師さんなどに相談して自分の症状をモニタリングしてもらいながら続けたほうが「漠然と飲む」状態に陥らずに済むと思います。

 

昨今、女性のQOL向上のためHRTが推進されつつありますが、ぼくは乳がんのセカンドオピニオンのほか血栓症を見る血管外科医だった経験上、その両方のリスクをわずかながらでもアップさせるHRTにはあまり積極的ではありません。ぼくなら自分の娘にはやりません。でも、心身ともに辛くて仕方ない人にとってはとてもメリットがあります。いいことも悪いこともあるので、それを両方知った上で使ってください。

 

それほど症状が強くないのに「勧められたから」くらいの動機でHRTを始めるよりは、ランニング、ヨガなど、リスクはゼロだが効果は確実に出る対策からしていくといいのだと思います。

 

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お話/新見正則医院 院長 新見正則先生

1985年 慶應義塾大学医学部卒業。98年 英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。2008年より帝京大学医学部博士課程指導教授。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在は乳がん患者に対するセカンドオピニオンを中心に、漢方、肥満、運動、更年期など女性の悩みに幅広く寄り添う自由診療のクリニックで診察を続ける。がん治療に於いては、明確な抗がんエビデンスを有する生薬、フアイアの普及も行う。

https://niimimasanori.com/

 

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この記事を書いたのは
新見正則医院 院長 新見正則

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