
つり革は触っていい?電車から降りてすぐ手洗いをすべきなの?【医師に聞く】
前編の『コロナ感染爆発でも「電車通勤が必須」の人、感染リスクを下げる乗り方は』に続き、
岐阜県岐阜市で地域のファミリードクターとして総合診療を担う医療法人社団藤和会 あんどう内科クリニックの院長・安藤大樹先生に「オミクロン株が蔓延する中での通勤時のアドバイス」について伺いました。後編です。
つり革は触っていい?電車から降りてすぐ手洗いをすべきなの?
―中には、満員電車や密が気になって電車を降りて駅の構内のトイレで手洗いなどをされてるという方も聞くのですが、この行為はどうでしょう??
「家でも外でも、トイレ、洗面所などの水回りは壁で囲われていて、空気が動かず換気の悪い場所です。密になりやすい場所に向かうという行為そのものがリスクに思えます。中には、感染に気付かないまま移動していて、洗面台でうがいをする人もいるかもしれません。あまりおすすめできない行為です」
―そもそも駅のトイレを使うということ自体避けるべきでしょうか?
「通常の使用なら問題ありません。が、長時間の滞在や手洗いうがいは勧めません。女性の場合、トイレにとどまってる時間が長いんです。盲点は鏡。ウイルスは鏡にかなり付着しますし、鏡を消毒することもありません。他にも流し台などよくつく場所があります。よほど換気がちゃんとされてるトイレならいいかもしれませんが、トイレは感染リスクの高い場所だと思っておいてください」
―つり革を手で触らないよう手袋をしている人もいます。使い捨て手袋などを用意したほうがいいでしょうか?
「そのほうが心理的に安心できるという場合は否定しませんが、個人的には、携帯用のアルコールをその都度使うだけで十分だと思います。むしろオフピーク通勤やテレワークをできる限り実施して電車の密の度合いを下げること、さらに出勤と帰宅時の手洗いをしっかりすることに集中したほうがいいのではと思います」
マスクをしているから絶対安全というわけではない、密に注意
―電車内での感染を過度に恐れる必要がないことはわかりました。いっぽうで、感染ルートが電車以外考えられないという人もいました。
「すでにどこで感染したかがわかるほうが少ない事態です。電車内は換気面でのリスクは低いものの、誰かと顔が近づくという状態が起きる満員電車は注意が必要です」
―私はマスクをしているし、みんな黙っていて、誰も喋っていません。それでもだめですか?
「マスクをしているかよりも、密でないかが重要です。N95マスクを使っているのなら別ですが、一般の不織布の場合は黙っていてもマスクの隙間から呼気が漏れます。顔と顔が近ければそれが他の人の顔にかかり、感染リスクが上がるのです。しゃべる人がいる場合はもっとリスクが高い、咳をする人がいればさらに高い。可能な限り密を避けてください。改めて言いますが、やはり基本は“三密の回避”です」
―いっぽうで、「どうしても密な通勤電車に乗らなければならない人」がいることも事実です。オフピーク通勤・在宅勤務が可能な人はできるだけ働き方を変える、できることからの譲り合いがいまこそ必要ということですね。ありがとうございました。
前編>>>『コロナ感染爆発でも「電車通勤が必須」の人、感染リスクを下げる乗り方は』
お話・安藤大樹(あんどうだいき)先生
内科医
医療法人社団藤和会 あんどう内科クリニック院長。藤田保健衛生大学(現藤田医科大学)卒業後、同大学病院研修を経て、同大学病院総合診療内科所属。2011-2015年にかけて同院最優秀指導医賞受賞。岐阜市民病院総合内科を経て現職。岐阜大学総合病態内科学非常勤講師、藤田医科大学救急総合内科客員講師。
『医療よろず相談所』をクリニックのコンセプトに掲げ、医療に関わるあらゆる問題に向き合う生粋のプライマリ・ケア医。「プライマリ・ケアは日本の医療を救う」と信じ、若手医師の教育も積極的に行っている。
岐阜県岐阜市東駒爪町5 tel: 058-262-2974
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